りゅっくサック

3年A組ー今から皆さんは、人質ですーのりゅっくサックのレビュー・感想・評価

1.1
1話から謎が謎を呼ぶ伏線バシバシでこの先が楽しみ!
…と思ってたら2話から同じ展開の繰り返しでビックリ。
いじめられっ子を自殺に追い込んだ犯人は誰だ!?
生徒A?→B?→C?→D?の繰り返し。
毎回ラストで菅田将暉先生が説教。

1話ごとに生徒が1人ピックアップされて
「実は僕・私もこんなに悩んでたの!辛かった!だから…つい…!」
と涙の告白されても「あ、はい。でもお前のせいで自殺者出てるし。(´・ω・`)」としか。

菅田将暉の熱い説教も、ワイドショーの評論家が言うような一般論でしかない。
あったり前のことしか言わないから全然響かない。
会話も説明台詞で「何グダグダ話してんの?」と飽き飽きしてくる。

この脚本家さんの作品に共通する「サプライズ展開を思い付き設定で言い訳」はもうそういう作風なんですね、真面目にやってたんだ。
伏線も無くあっと驚かせる展開、ミスリードの為にキャラが急に「実は○○でした!」とかやりまくる。
真剣に見る気失せます。
(急に出てくる半グレ組織、大友康平、唐突に動画解析しだす瑠奈)

すっごく嘘つきなんですよつまり。
話の中身も作り方も。
その場の勢いと見せかけが命、止まったら死ぬマグロみたいな展開だなぁと。


長々と種明かしを引き延ばした最終回は
「誰が犯人とかじゃねぇ!ネットで中傷したお前らのせいで死んだんだよ!」
はぁ?
これまで登場人物達に問われていた責任を、劇中演出のSNSと視聴者にメタく突きつける論点のすり替え。


『身近な学校のいじめよりも、ネットの誹謗中傷が自殺の原因』ってねぇ…
あのー、嘘つくのやめてもらっていいですか?
陰湿な集団いじめしてた3年A組の生徒たちが、被害者ヅラするのも気持ち悪い。

インターネットの悪意描写は的外れすぎて不快。
現実の2ちゃんねるだってTwitterだって個人情報や盗撮なんか上げたら
「それは駄目だろ!」って非難する人は一定数いますよ。

おまけにネットで誹謗中傷していた人間として主に描写される、引きこもりのアニメオタク。
これ自体「こういう奴ってネットで中傷してんだろ?」っていう【悪意にまみれたナイフ】ですよね?
そのオタクも最後ネットをやめて更生しました!みたいな安易な描写。
「こういう人はこうなった方がいい」っていう押し付けがましいおじさんの偏見が見て取れます。

所謂老害おじさんの「最近の若い奴は〜すぐネットでよぉ〜…」って愚痴とやってること変わらないんですよ。
そういう話なら公共の電波じゃなくて、居酒屋でやってください。

例えば「景山澪奈はネットの応援を励みにしていた」というような中傷前後の対比すらない。
「頭のいい生徒は空き時間でネット学習していたから成績が良かった」
「柊先生に感銘を受けた人々のクラウドファンディングで校舎が修復できた」
とかネットの良い面を描くバランス能力がない辺り、ネットを全く知らないんだな〜と思います。

これ完全に憶測ですけど、この脚本家の武藤さんってTwitterを始められたのがここ2〜3年なんですよね。
どうも「SNSなんか見ない方がいい」と周りに言われたらしく。
それでエゴサとかしてるうち「あ、こういうことか…」ってなったと思うんですよね。
最終回のスピーチは武藤さんの心の声にしか聞こえないんですよ。


クライマックスは菅田将暉先生が病気で死亡。
「私達に命をかけて大切なことを教えてくれたぶっきー先生…」と感動。
すぐ洗脳されちゃって君たちカルト教団!?ストックホルム症候群なの!?
だっから…お前らの妬み嫉みの根本を解決しなきゃ成長とは呼べないのでは。。

柊先生は最後まで理想論ばかりの、知った風な口ぶりで問題提起してますが、一般人から見たら未成年人質集団立てこもり事件のテロリスト。
最終的に菅田将暉と田辺誠一が裁かれるシーンすらない。

伝えたい事があるなら手段は選ばなくても良い、適切な方法を模索しなくても良いってことなんですね?
そこが「言いたいことだけ言って逃げた感」の原因だと思います。

そしてニクいのが『このドラマを称賛できない人は、“柊先生の言葉が伝わっていないナイフを持つ側の人間”』という図式を作っていること。
作品の非難をすると、人間性を疑われてしまう。

この何となく物申した風なドラマに感動された方々が
「ネットで悪い言葉を使うのやめようぜ!ポジティブポジティブ!」と全員同じことを仰っててよっぽど怖いです。

役者さんは悪くないです。
菅田将暉さんと上白石萌歌さんも悪意に汚されていく様が良かった。
こういうテーマの物を今の時代にやる気概は凄いと思います、ただ作り手がズレた倫理観だっただけで。

☆1.1はクロマニヨンズの新曲とオフショット風のエンディングに( ✌︎'ω')✌︎

まとめると『いじめ、ネットの善悪を扱う真剣さが足りない、新鮮さが足りない。』
ってことになります。

最後にいじめをテーマにしたAKB48の楽曲「軽蔑していた愛情」からこの歌詞を送りたい。

“大人は訳知り顔して
動機を探しているけど
ピント外れたその分析は
笑えないギャグみたい”
りゅっくサック

りゅっくサック