マグルの血

ブラック・ミラー シーズン6のマグルの血のレビュー・感想・評価

ブラック・ミラー シーズン6(2023年製作のドラマ)
3.9
新作非常に嬉しいです!大好物海外版世にも奇妙な物語。

毎シーズンオムニバスになっていて、微妙に話がリンクすることもあったり。
何より、エピソードごとの内容が非常にエグいのがいいですね。後味が悪かったり、怖かったり、エロかったりですが、どのエピソードも振り切っているので非常に見応えがあります。また近未来SFも売りで結構現代でもあり得そうだったりと藤子不二雄のSF短編集好きにも超おすすめです。


○ジョーンはひどい人
一発目からブラックミラー節爆発です。
よく思い付くなあこんな話。悪夢のような物語ですね。利用規約はちゃんと読めって言うけど、こんな非人道的な規約は現実にありそうで怖い。
そこに着地するんだなってオチまで含め、きちっと「ありそう」な奇妙な世界観を演出しており、見応え抜群の良作でした。トゥルーマンショーのブラックジョーク版。ケイト・ブランシェットのカメオは笑いました。


○ヘンリー湖
ヴィレッジホラーですが着地が少し不思議。地元で起きた猟奇殺人事件を調べたら意外な事実が…。
小さな田舎町特有の閉塞感が猟奇性を際立たせるのはもちろんですが、何か倫理観が欠落しているような感じがホントに怖い。感覚が麻痺した大衆心理はブラックミラーの得意技ですね。

○ビヨンド·ザ·シー
時代設定は過去ですが、部分的に発達したテクノロジーはブラック·ミラー的でグッド。
2人の宇宙船の乗組員。地球に自分のレプリカがいて、自分の意識だけを地球に飛ばすことができる。自分の家族と宇宙船との行ったり来たりの日々に最悪の出来事が。
宇宙という特殊な空間が人を狂わせるのか。その後を示唆する描写はないですが、同じ境遇を共有することで、なんとなくその後はうまくやっていくのかもしれないなんて私は思いました。関係性は最悪でしょうけど。

○メイジー·デイ
パパラッチの話と思いきや…。
ちょっと変わった作風。まさかの展開に話がこんがらがっちゃってびっくりです。社会風刺とみせかけてまさかの展開に。別の話同士をミックスさせてる感じがジェームズ·ワンのマリグナントを観てるような気分になったけど、本作はもうちょっとチープです。
従来のブラック·ミラーとはだいぶ違うかなって印象です。好き嫌いはもの凄く別れそうです。私はちょうど中間くらい。シーズン6の中ではイマイチだったかな。

○デーモン79
真面目に働いていたインド系販売員が、ひょんなことから悪魔にとりつかれて、3日以内に3人生け贄を捧げないと世界が滅びるよって脅される話。
あらすじだけ観るとダークな世界観なのかなって思うけど、蓋を開ければシーズン6では一番ポップな作風だと思います。悪魔とのやり取りがデスノートっぽいという感想も散見されます。一見レイシスト批判かなと思ったけど、意外とそんなこともない、不思議なオチでした。
人は誰でも黒い一面を持っているのかな。善人か悪人か。結局その人の価値観次第だけど。


本作わりと「レトロ」な世界観がミックスされている作品が多く、従来のブラック·ミラーシリーズの中ではわりと異色だったように感じました。個人的にはデーモン79、ジョーンはひどい人あたりが好きです。

「非日常の中の日常」というフレーズにピンとくる方はオススメです。なさそうである話、ありそうでない話。観賞後の不思議な感覚がクセになります。時間作って過去の作品ももう一回観てみたいと思います。
マグルの血

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