mao

ウォーキング・デッド シーズン11のmaoのレビュー・感想・評価

5.0
「終わったら───お前を愛した人たちのすべてを話そう」


長い長い物語、ついに完結。

これからもあの世界で生きる彼らの日々は続くし、作品としてもスピンオフが大量にあるが、本編はこれで一区切りだ。

シーズン10でリック役のアンドリューが家族との時間のために降板、その後ミショーン役のダナイもキャリアのために降板となったが、最後の最後では、今後放送が予定されているリックとミショーンを主軸としたスピンオフへの布石と思われるシーンも。


「互いに与え合ったかけらが進み続ける
止まることのない命を君が教えてくれた
君が俺に与えてくれた」


あんなにも頼りなく、機械をいじって屁理屈を言いピクルスをかじるしか脳がなかったといってもいいユージーンが大きく成長したことが非常に感慨深い。彼を見つけ、守り繋いだエイブラハムの微笑みを何度も思い出している。

そしてロジータの強さにどれほどの人の心が震えたか。こんな女になりたいと憧れる女性ファンは少なからず生まれたはず。

たとえ離れ離れになったとしても大きなひとつの「家族」である彼らは、そのコミュニティの中でまた特別な存在を見つけていく。

初期から最後まで、紆余曲折ありながらもこの物語を引っ張り続けたダリルとキャロルが、生物的に求め合うのではなく、心の奥底で慕い合い、互いに魂のひとかけらを交換し合うような、そんな愛に落ち着くのがほんとうにうれしかった。あんたは幸せになれ、気をつけて、わたしを嫌わないで───ふたりのそんなさまざまな愛の言葉はこれまでずっと何度も耳にしてきたが、「I love you」「I love you too」はっきりと目を見てそう伝え合う姿に、息ができないほど泣いた。

ダリルのことがほんとうに好きだ。メルルのために怒った姿も、誰かを喪って流す涙も、ご機嫌そうな笑顔も、今ではすべてが愛おしい。

「あんたのために死ねる」とまで言った愛する兄弟の娘を、親代わりになって他の誰よりも大事に守ったこと、心を砕いて血を分け与えて生かしたこと、ずっとずっと忘れない。ダリルにとってジュディスはいつまでも〝おてんば娘〟のままなんだ。

原作に居ないキャラクターであるダリルが物語の最後の最後まで中心人物であり続け、タイトル回収まで持って行ったのだから、ノーマン・リーダスは凄いよ。

本編は終わってしまい、頭にはまたLiSAの「炎」が流れてしまっているが、心にずっと彼らがいる。残された彼らが生き続ける限り、道半ばで倒れていった者たちの光は受け継がれていく。命が止まることはない。死とともにある世界で、それでも人を愛し、信じて明かりを灯そうと走り続ける、弱くも強い人間たちの物語だった。

この作品に関わったすべての人、ひとり残らず、ほんとうにありがとう。




「長い間──闇にいる その中で──
ここにいるあなたは光り輝いてる 光が似合うわ」
「この光は君が導いてくれたものだ 闇は重い
闇を抱える者にはその重さに耐える強さがある
光を生むんだ いいか?君は光を生む そうだろ?」
mao

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