めしいらず

結婚できない男のめしいらずのレビュー・感想・評価

結婚できない男(2006年製作のドラマ)
4.0
頑固。偏屈。こだわりが強い。好き嫌いが明確。食事や趣味に対する儀式めいた向き合い方。女心が分からない。言うべきことは言わないのに言わないでいいことは言わずにいられない性分。押しに弱い。他人に関心がなく気ままにお一人様ライフを満喫しているその男桑野。どんなに風変わりに見られても人から見放されない独特の人懐こさ。結婚に対してもシニカルな見解を持つ彼が、女医早坂と出会って少しずつ変化を見せ始め、何度も喧嘩を繰り返しながらも遂には二人の関係に前向きな未来を見据えるまでになっていく。壊滅的な人間関係構築力でも仕事には極めて有能というギャップが女性には魅力的なのだろうか。軽口のつもりが相手を怒らせる。怒らせもするけれど妙に息が合った感触もある。それでも言葉を重ねるとやはりまた怒らせる。そんな素直じゃない者同士の息の合った掛け合いが小気味よく、一種独特の間合いを取った演出がひたすらに可笑しい。阿部寛と夏川結衣の素晴らしい怪演。キャッチボールじゃなくてドッジボールのような言葉の投げつけ合いはまだ続いているけれど、とりあえず一歩目は踏んだ。きっとこの二人の未来はすんなりとは行かないことだろう。 
放送時、妹に桑野そっくりと言われた私個人の性分。全く他人事でない。だから桑野の母の言葉「あなたは本当のひとりぼっちを知らないのよ」、「私が死んだらあなたのことを本気で考えてくれる人が誰もいなくなるのよ」がやけに切迫した調子で私をも苛んで止まない。
再…鑑賞。
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