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女の中にいる他人のnorisのネタバレレビュー・内容・結末

女の中にいる他人(2017年製作のドラマ)
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このレビューはネタバレを含みます

本作も見ているのだが、以下は2002年の中原俊版について(filmarksに見当たらないのである)。

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タイトルが似ていると思ったら、成瀬巳喜男の「女の中にいる他人」と同じ、乱歩が激賞したというアタイヤの「細い線」が原作だった。

江戸組み紐で女の首を絞める趣味がある本田博太郎は、加減を間違えて浮気相手の女資産家#杉本彩 を殺してしまう。凶器の組み紐は倒れた母親(#岸田今日子)に代わり妻の#余貴美子 が営む江戸組み紐教室の教材である。当日の杉本とのデートを目撃されたり(見たのは余だが)、罪の意識に苛まれて自殺を試み、妻に告白するも、日常の崩壊を恐れた妻が夫を毒殺して自殺を止めたりする流れは、原作通り。

違うのは、余の弟が6年前に車で崖から落ちて死亡しており、生き延びた同乗者が綾乃という役名の杉本彩で、その後、村上秀明を婿養子にしたという設定である。弟は事故の直前に「綾乃が姉さんと話をしたがっている」と電話をしたのだが、実は綾乃ではなく早野(村上の旧姓)だったというトリックがあり、高校時代から姉弟を逆恨みしていた村上が弟の車のブレーキに細工し、本田が妻を殺すよう仕向け、さらに青酸カリを本田に与えた黒幕だったことがだんだん判明する。

西岡琢也のプロットはずいぶん練られたものだったが、余貴美子を中心にするには感情の振り幅が大きすぎ、2時間ドラマにはオーバースペックだったと思う。乱歩好みのプロバビリティの犯罪だが、尺からすると、原作通り小心者の夫の苦悩のくだりが足枷になってしまう。

鎌倉の豪邸に住み、ガウン姿で趣味のスポーツカー改造に励む村上弘明は、最初から胡散臭いのだが、それに惹かれたりもする当時47歳の余貴美子は、中盤あたりから驚くほどの魅力を発揮しており、最後まで惹き込まれる。タイトル通り、みごとな「顔」であった。

監督は最近その名を聞かない#中原俊。
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