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Dr.倫太郎のnorisのレビュー・感想・評価

Dr.倫太郎(2015年製作のドラマ)
4.2
なぜかBSで再放送。見返したいと思っていた水田伸生作品で、脚本は中園ミホのオリジナルである。全編、手持ちカメラが追う#蒼井優 が素晴らしい。
松重豊と遠藤憲一が両方出てくるという禁じ手を使っているのだが、高畑淳子の毒親など客演も申し分がない。最後まで見ることにした。

モフモフ犬を見て思ったのだが、いまだ映像化されていない「MASTERキートン」を堺雅人主演でやったらどうか。

◉2015/4/19 (おそらく初回視聴後の)感想
テレビドラマでなぜかネタがかぶることは時々あり、マーケティングの結果なのだと思う。今季、「心がポキッとね」「アイム・ホーム」、本作とメンタルヘルス系のドラマが揃うのも(まだ他にも出てきそうだ)、社会がそれを必要としているという読みがあるからなのだろう。キモチ悪いことである。

「woman」のスタッフに女優は蒼井優とゴージャスなドラマになりそうだし、ベテラン中園ミホの野心作でもあるのだろうが、持ち前のテンポがやや犠牲になっているきらいがあり、早いうちに展開を明らかにする必要がある。

◉その後、断続的に追記
ドラマの骨格がようやくわかってきた。蒼井優の毒親である高畑淳子はたぶん妄想上の存在であろうと予想。
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なんとも意図がわからぬままに見続けていて、他のドラマのような見方をはっきり拒む作り方をしている。例えば今回シンヤ君の発語を一瞬しか映さないのは、他のドラマではあり得ない。高畑淳子が実在しないのではないかという思いは強まる一方だが、それを打ち消す展開が続いている。
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遠藤憲一と松重豊を同じフレームに映すという禁断の挑戦をしている。頭がグラグラするドラマと言える。
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雅人をはじめ、そして蒼井優と高畑淳子による、とてもドラマとは思えない演技も、「mother」「Woman」の水田伸生による演出も素晴らしい。そう、中園ミホの脚本を除いては…(>_<)
精神科医と患者の逆転移の物語としては、なだいなだに「れとると」という必読の素敵な短編がある。昭和42年に出た本に収録され、芥川賞の候補にもなった佳作だが、中園はきっと読んでないだろう。
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◉さらに22/2/15追記(9話まで再見)
何が気に食わなかったのか、上記では中園ミホをやたらとディスっているが、再見の感覚では、中園はある種の実験を試みつつ、ドラマとしての整合性をちゃんととっていて、さすがだと思う。
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