亘さん

ヒーラマンディ:ダイヤの微笑みの亘さんのレビュー・感想・評価

4.2
1920年代、マハトマ・ガンディがインドの独立運動の平和的解決に向けて動いていた激動の時代の話。ヒーラマンディは現パキスタンにあり、アフガニスタンにも近い為オスマン帝国の影響を受けたムスリム地帯というのを理解していないと、後半の登場人物達の行動に置いていけれるかもしれない。
ヒンズー教ではマハラジャ、ムスリムではワーリーという日本で言うところの藩主が支配者であり、それぞれの地域の政治を司っていた。しかし実際には藩王を裏で操っていたのはヒーラマンディという高級娼館の女達で、愛人として藩王の子を産みスパイ活動をして権力を握っていた。
前半は女達の権力争いと身分違いの恋物語を中心にストーリーが進む。後半はその恋が引き起こした藩王の混乱とイギリスからの独立、愛憎劇の重厚な話に転換していく。
インドのドラマらしく要所要所に舞踊と歌のシーンがあるけど、これが圧巻!とにかく美しい。『パドマーワト 女神の誕生』も同じく北インドのアフガニスタンに近い地域の話なので、インドとアラビア文化のエキゾチックでゴージャスなダンスシーンに圧倒された。出演している女優も絶世の美女ばかりで目の保養。後半はかなり悲しい話になるけど、それでも動く宝石のような存在に胸が躍った。
インド・パキスタンの独立と娼婦として生きた女達が自由を求めて立ち上がるストーリーは、現在のヒーラマンディ・性産業で働く女性達、全ムスリムの女性達へのエールでもあると思うと本当に胸がいっぱいになる。
亘さん

亘さん