mai

テレビ報道記者 ~ニュースをつないだ女たち~のmaiのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

1995年3月2日午前8時頃
オウム真理教の教祖、麻原彰晃こと松本智津夫が逮捕された。
その時、日本テレビで記者をしていた曽根昭子(仲間由紀恵)は逮捕劇をスクープするために現場に来ていた。

時が経ち2019年、日本テレビにジャーナリスト志望として入ってきた和泉令(芳根京子)はやる気に満ち溢れていた。
先輩の真野二葉(江口のり子)に指導してもらいながら忙しい日々を送っていた。

地下鉄サリン事件、秋葉原無差別殺傷事件、新型コロナウイルスを軸に、報道記者として女性がどの様な立場に置かれているかを描く。
昭和、平成初期では社会での女性の地位の低さ仕事がしたくてもお茶汲みや動物の報道しかさせてもらえない、女性の報道記者を単にアイドルの延長線上としか見ていない周りの男性達に嫌気がさす毎日

曽根さんがどれだけ嫌なことを飲み込み、男性優位社会を生き抜いてきたか、志半ばで日本テレビを去らなくてはいけなかったこと、どれだけ悔しかったか、仲間由紀恵の演技がそれを魅せてくれました。

和泉役の芳根ちゃんのコロナの時期の話も辛かったな
何をしててもうまくいかず、全てをコロナのせいにして現実をやり過ごすしかない毎日
自分はもっとうまくできるはずなのに、その気持ちとは反比例して悪い方向に転がっていくのは見てて辛かった。
#全部コロナのせい には、あの時ほとんど全国民が思ってたであろうことが詰まっていると感じました。
私は仕事柄、コロナで緊急事態宣言に日本がなった時も仕事をしていて、友人や家族が休んでいる時に何で働かなあかんねんと単純に思っていましたが、自宅待機によって仕事に行きたくても行けない人や、それにより減給になり暮らしていけなくなって渋々会社を辞めた人もいるなんて、その時の私は考えつきもしなかったです。
ドラマの中で和泉が老人ホームを取材しに行くシーン
自分がホームでの1番最初の感染者だと打ち明けるのがどれだけ恐怖だったか、あの時は感染者達が吊し上げられ、感染したら村八分みたいにされてたから、だけど感染者達もまた人間で、どうしたら防げるのか、感染したらどのくらいしんどいのか、それを伝えることもまた報道であると、数字を数字として見るのではなく、人間として見なくてはいけないと、大事なことなのにあの時は自分達のことで頭がいっぱいだったと身につまされた。

男女雇用均等法が可決され、それでもまだ女性に地位なんてなかった時代に曽根さんが初の報道記者として日本テレビに就職し、平尾さん(木村佳乃)が初の社会部部長に、真野は警視庁キャップに、それがどれほど大変なことであるか俳優陣4人の演技で伝わってきました。

日本テレビ開局70周年ドラマとしてすごく見応えがあり、とてもいいドラマだっただけに、やはり少し前にあった"セクシー田中さん"の原作者芦原妃名子先生への報道が残念で仕方ありません。
近年、マスゴミと呼ばれてしまう所以はそういうところにあるのではないでしょうか?
本当は、報道をしたい!そういう思いで入ってきているはずなのに、社会に揉まれるうちに何が善で何が悪か判断がつかなくなっていく。
それがどんなに恐ろしいことか、このドラマは今の日本テレビにとってブーメランの様な内容だと感じます。
真実を伝えたい、テレビの力を信じたいと思っている人達に、真摯に応えなくてはいけない、そう思います。
mai

mai