Sofia Vergaraが主演かつエグセクティブ・プロデューサーを務め、実在したドラッグ取引のボスであるコロンビア人女性 Griselda Blancoの生涯から着想を得たドラマ。力ずくで権力を獲得し維持する男性優位の業界で、勘の鋭さと周りを超えたレベルのバイオレンスによってマイアミのトップまで上り詰める様子が描かれています。並行して彼女を追う警察官Juneも同様に男性中心の業界で苦労しつつ深い洞察力を武器に活躍し始めるストーリーとなっており、善と悪、スケールの対照性はありながらも、当時の社会の枠組みに歯向かい成功を掴み取る女性、所謂エンパワーメントの文脈が一貫して感じられます。
まだNarcosを見たことがありませんが、定評ある同シリーズの制作陣が関与しているのもあり、ストーリー展開と演出におけるクオリティの高さを感じました。またModern Familyでのコメディとは打って変わり、半分以上スペイン語を話し、狂気すら感じさせる重厚感のある演技を見せるSofia Vergaraの存在感は圧巻。もっとこういう複雑な役で色々な作品に出演して欲しいなと思いました。
Griseldaによって多くの命が奪われたのは確かで、実際に子供を含む全く関係のない人たちが彼女のパラノイアと執着のために犠牲になった様子も描かれていますが、スクリーンタイム的には手短な印象であり、彼女の生涯を美化した作品であることは否めません。
美化することによってエンタメ性が増すことを倫理的に正当化できるのかどうかは、Jeffrey Dahmerのドラマでも疑問に感じた点ではありましたが、ドラマ化されている時点で鑑賞側としてはある程度割り切る必要があるのかもしれません。
