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特殊作戦部隊:ライオネスのvenom9のレビュー・感想・評価

特殊作戦部隊:ライオネス(2023年製作のドラマ)
4.0
CIA所属の即時対処チーム(QRF:Quick Reaction Force)と、暗殺対象者の懐へ潜入する元海兵隊の女性工作員の活動と葛藤を描きます。ガンアクション、カーアクションも秀逸ですがボリュームは控えめで、登場人物の心理描写、米国の対テロ活動と原油相場との相関関係、米国内での政治家や組織の思惑などにより重きを置いています。大人向けのスパイアクション/サスペンスですね。
まず、主演のゾーイ・サルダナは安定の素晴らしさですね。米国人女性としてはさほど大柄でもなく、どちらかというと華奢な彼女ですが、役作りとトレーニングの賜物か、QRFのゴツい男たちを率いるジョー役になり切っていました。現場の指揮官、母親、妻、それぞれの立場での葛藤、苦悩をうまく表現していました。製作総指揮兼脚本のテイラー・シェリダンから主演指名を受け、快諾したゾーイのイメージでシナリオが練られたそうです。
ケイトリン役のニコール・キッドマンの鉄面皮っぷりも良かったです。映っているシーンでほぼ瞬きしていませんよね、彼女。
CIAの副長官役のマイケル・ケリーも良かったです。CIAやらFBIやら、陰謀に加担する政府高官やらが多いこの方が登場すると、妙にほっとします。
もちろん、潜入工作員クルス役のライズラ・デ・オリヴェイラも素晴らしかった。肌を露出するシーンが多かったですが、しっかり鍛え絞られ、海兵隊員役として遜色ありません。身体中いつも痣や傷だらけで、生い立ちや異性体験も凄惨な設定で、痛々しかったです。
国家安全保障上重要な任務をこなしているとはいえ、破壊と暴力がその手段であり、ジョーとクルスの心を蝕む様子、さすがのテイラー・シェリダンです。本作での最終任務は成功し、QRFの人的被害もありませんでしたが、後味の悪い終幕でした。
(2024年3月 U-NEXTで鑑賞)
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