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キリング・イヴ/Killing Eve シーズン1のRockoのレビュー・感想・評価

4.5
『フリーバッグ』で製作・脚本・主演を務めたフィービー・ウォーラー=ブリッジが手掛け、2019年の『英国アカデミーテレビ賞』では15部門にノミネートされ、数々の賞を受賞した話題のサイコパスドラマ『キリング・イヴ』S3まで完走。

まずフィルマのS2からしか記載されていない製作指揮フィービー・ウォーラー=ブリッジのドラマ時代を先取りするセンスが素晴らしい!!
S1では脚本家チームを率いるショーランナーも務めており、S2からはエグゼクティブプロデューサー(だったかな?)として参加。S1、S2、S3とすべて脚本家が違うので同じドラマでもシリーズごとに個性がありました。(S2以降の脚本についてはそちらのレビューで。)

『グレイズ・アナトミー』でお馴染みのサンドラ・オーは安定した演技で個性的で豊かな表情が魅力的でしたが、何と言っても暗殺者ヴィラネル役のジョディ・カマーの華やかなルックスとあらゆる言語を操りながら鮮やかに人殺しをするファッショナブルな女性サイコパスをスタイリッシュに描くことで、新鮮味を備えた粋なドラマに仕上がっていました。まるでインスタ映えするサイコパス。

このドラマ毎回人が殺されるのに展開が速く、余計なセリフが無いのでドロドロしないんですよね。
ちょっと設定が甘いところもありましたが、倫理の問題など無視で人殺しをコメディのように映し出す部分があり、殺される人たちは大半が悪党で突然登場して殺されるので同情もできない。
警察官の殺人鬼ドラマ『デクスター』のような爽快感すら感じてしまい、気づいたらヴィラネルのファンになってしまっている私。

ジョディ・カマー『女医フォスター』では全く印象に残らない女優だったのに見事に化けました。
オーディションで外国語が話せるか聞かれ、全く話せないのに喋れると嘘をついて受かったそうですが、その後の努力は相当なもの。
ロシア語やフランス語の他言語やロシア訛りの英語を主で話す役だったので、主演女優賞を受賞したときにスピーチでイギリス英語を話し始めて観客が「え?」となってしまったというエピソードも。私も動画で見てアクセントの違いにビックリでした。

このドラマを観ていると時々、自分もサイコパスなのでは?と思わされます。そういった人間の内に秘めた闇の部分と主演2人の追いかけっこから始まる意外な関係性や組織的な攻防戦に発展するプロットも見応えがあり、めちゃくちゃ面白かったです!
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