トケグチアワユキ

かしましめしのトケグチアワユキのレビュー・感想・評価

かしましめし(2023年製作のドラマ)
5.0
(2023.07.10. 完走後追記)

エンディングのスタッフテロップ見てるだけで、プロデューサー陣の意志が伝わってくる。
2023年4月期のナンバーワンドラマ。

オープンニングのKIRINJI、劇伴の福島節と東川亜希子、フードコーディネーターに飯島奈美。

脚本は玉田真也と今西祐子。
監督は松本佳奈とふくだももこ。
チーフプロデューサーこそ男性だが、プロデューサーに3人の女性が名を連ねる。

非常にコンセプチュアルな会議が、企画の立ち上がりから行われていたであろうことが想像に難くない。
なぜこの原作なのか、キャストなのか、スタッフなのか。
何を見せたいのか、伝えたいのか。
ラストの、ほろ苦い現実に歩み行く3人の"匂わせ"まで含めて、味わい深いドラマシリーズだった。

パワハラ、人事評価、仕事への思いと裏腹な適性、社内社外の人間関係、もちろんパートナーや片思いの相手との心と体の距離。
アラサーの現実が容赦なく突きつけられる。
いいことよりツラさが先に立つ。
でも、おいしい食事は本当に優しい。
それを自らの手を動かして生み出すのだ。

このドラマでは、料理がセルフメディケイションの手段として選ばれているが、別にそれだけが日々の安らぎじゃないわけで、人それぞれ心のケアを思い思いのスタイルで見つければいい。

創作を志す人もいるだろうし、それがヤリモクだったにしろ不特定多数との出会いを求める人もいるだろう。
単独で推し活に邁進するのも、部屋にこもってモニターと向き合い続けるのもアリだ。
まずは自由な生き方を認めよう。尊重しよう。
人生設計は自由であっていい。

正論でありシンプルで美しい。
いま思い返しても清々しい気分がよみがえる、リアルで強かな、とてもいいドラマだった。

*******************************

設定がたまらんねぇ。(原作マンガ:おかざき真里)
アラサー美大同級生女子ふたりとゲイひとりが、かつて付き合っていたオトコ(付き合ってた時期はそれぞれ重なっていないらしい)の葬式で再会する。
第1話の途中で出てきた「私たちサオ姉妹」にハラ抱えて笑った。
新宿2丁目の自虐だよ。

3人で共同生活を送ることが決まったところで第1話は終了だったけど、この先が楽しみで仕方ない。
食卓を共にし、恋愛とは別の、あるいみ疑似家族を営む仲良し三人組、マジうらやまし。
こんな共同生活に混ざりてェェェと思ったけど、ゴリゴリのヘテロ男なんて隙さえありゃパンツ下すし、ぜったい混ぜてもらえないよなぁ。

監督は松本佳奈とふくだももこ。

全話完走後、改めてレビューとスコアリングします。