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ロリエ・ゴドローと、あの夜のことのmadokaaaのレビュー・感想・評価

3.5
最速プレミア試写会にて。

「カンヌの申し子」「映画界の神童」との異名を持つグザヴィエ・ドランが自身初となるTVドラマに挑戦。

ドランと言えば、19歳で発表した『マイ・マザー』がカンヌ国際映画祭で上映されて以来、『Mommy』『たかが世界の終わり』など、話題作を発表し続けてきました。

当日は、映画ジャーナリストの立田敦子さんが登壇。
ELLEなどで記事を拝見することも多かった立田さん。
ドランの人柄やドラマの見どころを、様々な映画のエピソードを交えながらお話してくだり、とても惹きつけられる時間でした。
ニコニコ素敵な笑顔で一瞬でファンになってしまったなあ。

立田さんいわく、本作はドラマでありながら5時間の「映画」であると。
最後の1話を観てはじめて「このために4話が存在するのだと思える」の言葉で、俄然続きが気になってしょうがない存在に。

作品としては、一番身近でありながら一筋縄ではいかない「家族」という存在に焦点を当てつつ、相容れない恐怖感や切り離せない因果に対する絶望のようなものを複雑に心理描写しています。

正直、1話は登場人物の人物像や関係性の紹介がメインで序章のような位置付けのため、これからどんな展開になるのかは全く予想がつきません。

ただ、このへんの見せ方はさすがドラン。

どこか閉塞的でヒリヒリした雰囲気や、極端に被写体の顔へ接近した生っぽいドアップ、センスの良いミスマッチな音楽など、不協和音の滲ませ方が本当にお上手。

手探りでストーリーラインを追う中で、この家族の根深い確執にはある過去が関係していて、その過ちを中心に複雑なしがらみや様々な感情が交差していることは読み取れるでしょう。

ドランは本作について「この作品に全身全霊を捧げ、そしてついに私の全てを語り尽くしてしまった。だから今の私にとって必要なのは、長い休みと変化、それに静寂や休息、プライバシーだと思っています」と引退や休業を示唆するような心情を吐露しています。

まずは全エピソードを観てから再評価したいですが、少なくともグザヴィエ・ドランの「今」を感じられる作品であることは間違いなさそうです。

「ロリエ・ゴドローと、あの夜のこと」は2月24日(金)よりAmazon Prime Video「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」にて配信中(全5話)
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