F田

ウェンズデー シーズン1のF田のレビュー・感想・評価

ウェンズデー シーズン1(2022年製作のドラマ)
3.7
学園ヒエラルキー、友情の崩壊と再生、恋愛という海外ドラマの超王道展開をそのままやってくれたのが嬉しかった。学生時代からその手のあるあるは実際に経験したことない上に社会人になって全く触れることの出来ない失われた10代のイベントを疑似体験できたことは典型的でベタなだけにハマってしまった。特に頑なにハグを拒んでいたWednesdayが終盤ルームメイトのイーニッドにハグされて最初こそ抵抗感を示すが傷だらけになっているイーニッドを見て思わず抱きしめ返すシーンはそれまでのWednesdayを見てるからこそ涙を我慢できないほど心に来た

ただ感動し興奮した展開そのものが自分の中の批判にもなった。弟の復讐とはいえプールにピラニアを入れて睾丸を潰したり幼少期から父に特殊な教育を受けたり目的のためなら人を攻撃することも厭わない人間がWednesdayだったはず ドラマだからエンタメ的な扱いにはなってるが、彼女は裁判所からの命令でセラピーを受けてる。つまり思春期特有の反抗期な学生とは全く異なる人間だったはず。友情や恋愛に対して抵抗があるものの、徐々に彼女の強ばった感情が解けていくのは一見感動を誘う展開ではあるが、そもそも彼女はそういった普通の人格を有する人間じゃないはずだ 人間関係の融和と構築を見せるにしてももう少しそれを示唆する描写がないとあまりにも彼女のキャラクターが軽いものとなっていた気がする 特に中盤なんの脈絡もなくタイラーの店に行きキスを拒まないシーンはあまりにも短絡的だった。

それから彼女とその親との確執もまさか5話であんなに呆気なく平和的な解決をするとは思わなかった あれでは単なる反抗期ではないか 親と子の関係はあるイベントをきっかけに綺麗に解消するような単純なものでは無く、一生続くからこそ複雑で本人たちでさえ無自覚な何かが作用してしまう繊細なものなのに

限られた枠の中でリアリティとエンタメのバランスを追求するには確かに難しい しかもこのドラマの対象はティーンエイジャーも含まれてるからリアリティに寄りすぎるとストレンジャーシングスを超える視聴率は取れなかっただろう ただティム・バートンが監督を務めた4話まではエンタメとリアリティのバランスが絶妙だった気がする だからこそ夢中で見ていた 5話で親子の確執と父親殺害容疑の件があっさり解決してしまったから、全話をティム・バートンが描いたらどうなるんだろうと空想せざるを得ない
F田

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