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グローリアのごnのレビュー・感想・評価

グローリア(2021年製作のドラマ)
3.5
ポルトガルxネトフリ初作品ということで観てみた
どーせ地味で暗いんだろと期待してなかったんやが、思いの外良かった

観る前に、あらすじと当時のポルトガル情勢を頭に入れておいた方が良き
エスタドノヴォぐらいはググっておくと話が理解しやすい

東西冷戦のオモチャになってしまった小国の小さな街の話
なんだが、よくある東西二極化した情勢ではない
当時のポルトガル帝政というか、政府は、どっち派でもないってのがわかってないと、ジョアンの父やPIDEの立ち回りが理解し辛い
ジョアンの複雑な立場の背景も、まとめてドンと説明があるわけじゃないので、きっとそーなんだろう、と、想像していかないと、正確な相関図が見えてこない

とか、難しい部分もあるけど、最後まで、どうなるんだ、どうすんだ、こいつどっちだ、こいつもなのか、という、静かな緊張感で引っ張られる
スパイ行為は許されないが、国にせよ会社にせよ、情報の掌握とコントロールが武器になるのは自明
情報持ってるやつが強い
情報を握られるのは弱みになる
誰しも国家を揺るがしかねないものから小さな背徳まで隠し事が少なからずある
自分が怪しいことをしたら、周り全員が怪しく見える
そらヒリヒリするわな、と
一方で、ジョアンの父ちゃんの弱みが意外としょーもなかったり、散々引っ張ったミアのオチとかも、あらま、なんだけども、それはご愛嬌

あと、とにかくタバコ吸いまくり
中産階級以上はどこでもかしこでも何かってーと老若男女プカプカ
綺麗なおねいさんも鼻から煙出しまくり
医者が妊婦診察しながらタバコ吸うに至っては、ちょ待てよ、な
そういう文化なのか、演出として頼りまくっただけなのか
みてるだけで肺ガンになりそう

そんなこんなをすっ飛ばして、楽しめるのは、とにかく、なんとも華美になり過ぎないエレガントなオサレ感が漂っていて
映像トータル、ビンテージ感というか
ファッション、建物のエクステリア、インテリア、壁紙、小物、音楽も全部いい
放送局もいい、これはセットなのかな、メカも含めてめちゃくちゃセンス良い
何より車が色も形も内装も最高に良い、ハンドルかっこいい
それだけでずっと見られる
自然や街の区間すらデザインに見えてしまうくらい美しかった

ついでに、
大国がマスメディアを通じたプロパガンダを駆使して好き放題他国をオモチャにしていた時代は終わったのか、まだそうなのか、どうなんだ、とか真面目な思いも馳せられたりしました


ポルトガルを訪れてみたい気分になる作品でした
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