演技派俳優揃い踏みなのに評価が低いのは、カタルシスがないストーリーだからか。あるいは、登場人物の心理について説明不足で感情移入し難いからか。
私がいちばん引っかかったのは、皆さんがご指摘されている、教祖の「人の心の弱い部分に入りこんで操る」超能力の不気味さ、現実感のなさより、教祖がなぜ、あれほどチェ・ヒョンイン(刑事)に執着したのかという点。チェ刑事だけが彼(教祖)の養父に罪を着せて拷問したわけではないし、ヒョンインはその時点で一番の下っ端だったわけで、首謀者は別にいる。
ここで例えば、「教祖は、父親に連れられて時々養護施設にやってくるイム・セユンがずっと好きだった」というエピソードがあれば、わかり易いのだけれどね。
学生時代の友人を次々と失っていく(実際の”喪失”だけでなく、見知らぬ他人になってしまうという意味でも)ジョンヒョンの心の動きも、どうも明確に表現されていない。
と、まあ、いろいろ不満と疑問はあるが、ミステリー、あるいはホラーとして面白かったので、このスコアに。途中、「ミッドサマー」みたいな不気味さもあって、なかなか良かった。
映画だったら、観客に答えを委ねるようなこのラストはアリだと思うけれど、ドラマだと厳しい評価がになってしまうのかな。
