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五月の青春のsumiccoのレビュー・感想・評価

五月の青春(2021年製作のドラマ)
4.2
まるで
一本の映画のようでした。

1980年
韓国の光州で実際にあった
民主化運動の悲劇を背景にしている
看護師のミョンヒと
医大生のヒテの物語で
涙なしに観ることは難しいですが。

願いと祈りが詰まっています。


二人の雰囲気と
アコースティックギターの旋律が
春独特の望郷にぴったり。

冒頭で
41年ぶりに発掘された遺体は
一体誰のものなのか。

出てくる人たちを知れば知るほど
結末を知りたくなくなるのに
あまりにも一生懸命に生きているから
見守ることがせめてもの義務のような気がして
ところどころ泣きながら
まぶしくてたまらなかったです。


多くのことを俯瞰して
程よく手を抜きながら生きるのは楽だし
むしろ賢い選択だとも思う。
そして
そういう毎日を捨てたくもないのに。

今日のエネルギーを
今日を生きることと
誰かを想うことにしっかり使って生きる人には
どうしても
頭が上がりません。


特に
後半の回収が丁寧でした。

序盤の何気ない言葉たちが
あとから意味を持ち始めて
最終話で
"祈り" の真意がわかったとき
嗚咽がもう。

コ・ミンシ
いい女優さんですねえ…


ただ
今作での軍人の描かれ方は
ちょっと目に余るものがあったかなと。

擁護とかではなく
これはどの国のどの時代のどの争いにも
言えることだと思うんですけど
中枢部はともかく
指示に従うしかない末端の軍人たちは
自分の心を守るためにも
偽りの真実を
率先して信じようとする作用が働くものです。

意欲的に市民を殺していた人は
きっとあんなに大多数じゃない。

そこに本当に工作員が紛れ込んでいて
今にも自分たちを欺き
国そのものの存続を危ぶませるに違いないと
そう思い込んでいたからこそ
あんなことができてしまったんだろうと。

争いは
後世にたくさんのギョンスを
生み出してきたんだと思います。
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