めしいらず

星影のワルツのめしいらずのレビュー・感想・評価

星影のワルツ(2021年製作のドラマ)
2.7
福島で津波に呑まれ瓦礫に乗ったまま沖に流され、3日間もの長きに亘り海上を漂流し九死に一生を得た男性と、その妻、東京に暮らす娘夫婦の実際の3.11被災体験を再現。かなりマイルドな表現にしてあるけれど、それでも極寒の夜を二晩も乗り越えられたのには、奇跡的なちょっとした偶然(漂流していた乾いた布団、妻がポケットに押し込んだ栄養ドリンク)と、亡くなったと推察される妻との記憶をよすがにどうにか生き抜こうとした本人の固い意志(小便など)によるものであったことが十分に伝わってきた。自分や家族のことだけではない。岸から15kmも離れた沖で原発事故を目撃した時の絶望感はどれほどだっただろう。また離れた地で消息不明の両親を慮りながら何もできない現状に焦燥感を募らせる娘の思いもそう。3日目に巡視船が男性に気付き合図してくれた時の腰が抜けそうな安堵感。あの日事態を甘く見積もり逃げ遅れ死なせてしまった妻への申し訳なさ。すぐ一件落着とはならない厳しい現実。被災者のいろんな思いが込められていた。
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