どう控えめに言っても最高としか言いようがない。お洒落でキュートで可笑しくて切なくて、どこを切り取っても鮮やかな切り口に魅了されてしまう圧倒的な面白さ。気が利いていて洒脱な会話の応酬が大好きな「カルテット」に似てるなぁなんて思っていたら同じ坂元裕二の脚本だった(うっかり知らなかった)。そのいちいち言葉尻を捕らえて詮ない言い争いを繰り広げる会話の馬鹿馬鹿しさ小気味良さは日本版スクリューボールコメディの趣。お話それ自体よりもその会話のやり取りから見えてくる欠点だらけだけれどどこか愛おしい人となりがこの物語の眼目なのだと思う。この人たちのその後の人生もずっと見届けたいと思わされるくらい後引く魅力がある。キャスト陣が揃いも揃って素晴らしいのは言わずもがな。一人一人のことを好きになるからそのお話だって愛おしく感じられてくるのだ。個人的には伊藤沙莉のナレーションの味わいが絶品で、この物語への好印象が第一話の最初の10秒でもう決定づけられてしまったくらい。そしてもちろん脚本と演出の都会的センスのこと。届け手が見せたいものと受け取り手が見たいものとが奇跡的に邂逅したような稀有なドラマだった。
