あんへる

四月は君の嘘のあんへるのレビュー・感想・評価

四月は君の嘘(2014年製作のアニメ)
4.7
【2014年秋・2015年冬アニメ作品{全22話}】

演奏家同士は互いにひかれ合うッ!!
↑ジョジョ風に言ってみた


音楽がテーマの青春ラブストーリー。
言わずと知れた平成時代を代表する泣きアニメの名作ですね。

ラストはわかってても泣かされる。
号泣回避は至難の業。
実際原作も含めて、漫画・アニメ史に残るレベルの傑作だと思ってる。


基本的には原作に忠実な内容。
その上で、アニメとしての完成度が恐ろしく高く、とにかく死角がない。
ここまでくると、もはやズルい!と感じてしまう。

何処をとっても美しく、何処までも繊細なアニメという印象。
特にモノローグや会話の間の描き方などの人物描写が素晴らしく、物語を感動的に彩っている。

公生が見るモノトーンだった世界が、かをりと出会い、徐々に音楽で心を通わせながらカラフルに色付いていく。
キャラを通して〈音〉や〈色〉の美しさがダイレクトに伝わってくる。
これってアニメーションで出来る表現上の一つの到達点、と言っても決して過言ではない気がする。

あと風景描写に現れているが、光と陰の演出が秀逸。
作中での四季の移ろいを効果的に、より美しく描いている。
細かい所だけど本当に見事だなと思うし、何より制作側の拘りを感じる重要なポイント。

物語としてはさほど物珍しいものでもない。
予定調和的な展開も多い気がする。
分かっていても先が読めても、ここまで感動的に見えるのは何より構成や演出面が優れている証拠だろう。


ただ強いて難点を上げるとするならば、逆に物語やキャラクターが不自然なまでに“美化”され過ぎている感があった。

まず主要な登場人物たちは中学生、だとしたら生きてきた時間に対して背負ってるものが流石にちょっと重すぎやしないかい?
そういった描写があるからこそ作品に深みが増すのは勿論わかってはいるんだけど…。
この子達、せいぜい十数年生きてきただけで、ここまでシリアスな展開に持っていけるものなのだろうか…?

そう考えると方々で若干の違和感を覚える。
何故そこまで大人びた言動や、達観した様な思考ができるんだろう?って感じる所がちょいちょいある。
それを裏付けるような説得力のある描写は特に無いし。
もう少し年相応の子供らしい振る舞いを見せた方が自然にみえた気もしないでもない。
せめて設定が大学生くらいだったらもっとリアリティがあったのかもね。

まあ、これは屁理屈じみた無理くりな観点なんで、あまり参考にはならないね。
基本、創作物として細部まで美しく完成された作品なのは間違い無い。

何より「四月は君の嘘」ってタイトルが秀逸。
この真意は最後まで観た人にしか伝わらないけど、ラストでグッとくるタイトルと紐付けられた見事なギミックだと思う。


そーいえば実写?
そんなのあっ……おや?誰か来たようだ。。。


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[主題歌]

OP
(前期) Goose house「光るなら」
(後期) コアラモード.「七色シンフォニー」

ED
(前期) wacci「キラメキ」
(後期) 7!!「オレンジ」


[挿入歌]

ENA「My Truth〜ロンド・カプリチオーソ」「For you〜月の光が降り注ぐテラス」

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