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銀の匙 Silver Spoon 第2期のAPOのレビュー・感想・評価

銀の匙 Silver Spoon 第2期(2014年製作のアニメ)
3.8
食の有り難み、命の重み、仲間との絆、家族愛などなど学びが盛り沢山の作品。将来子供にこういう作品を触れさせていきたいと素直に思った。


主人公の八軒は大多数から共感を得て自然に応援されるようなキャラクター。札幌のバリバリの進学校だった私立中学で家族含めた周りとの受験競争に心底疲れてしまい、高校は実家を離れられる寮生活が確保されている農業高校である大蝦夷農業高等学校(以後エゾノー)に進学する。農業や酪農については殆ど何も知らない八軒だが、真面目で超御人好しな性格から周りからも愛され学んでいき成長してゆく。


進学校である地元中学から逃げるようにエゾノーまで来た八軒。周りは家業を継ぐなど道が定まっているような連中ばかりの中、将来どうするのか上の空なままである八軒が校長に言われた言葉。
「逃げて来たことに負い目を感じているが、その逃げて来た先で出会った人、起こったこと、それらは否定するものだったか。生きる為の逃げは有り。有り有り。逃げられない経済動物たちもいる。」
八軒は逆に家を継ぐしか選択肢が無い周りのクラスメイトはどうしたらいいのか訊ねる。
自分のことで手一杯なのに、周りの心配もする八軒に対し、「自分の言葉を上手く表現できるから上手く吐き出している。逆に苦しくても上手く本音を吐き出せない子もいるからそういう子に気付いたら力になってあげて。」と。
豆粒みたいに小さい校長だけど、生徒一人一人の事を思っている事が伺える素晴らしい台詞。


エゾノーでは全てが賄える。農業、酪農、林業などやろうと思えば何でも出来てしまう環境に心惹かれた。

初めて飼育担当する経済動物である子豚 "豚丼" との出会いと別れは考えさせられる。序盤でニワトリが卵を産むのを間近で見て、卵を食す事に抵抗を持っていた八軒もそうだが、普段何気なく口にしている食べ物の作られ方をまじまじと見て知る事の大事さはかなりある。豚丼も食肉の為に育てられる経済動物。いつかは殺され食べられる。スーパーなどで売られているお肉は命を頂いているんだと改めて自覚してちゃんと感謝出来る人であるべき。
昔、アメリカのドキュメンタリー番組で普段売られている牛、豚や鷄などのお肉がどのように作られているかを観たのを今でも忘れない。怖いもの見たさでその後YouTubeで更にそういう類いのものを観た。頭を強打し気絶させ頸動脈を切って殺したり、ガスで窒息死させたり、電気を流して殺したり。吐き気しかしなかったが、こうやって普段美味しい美味しいと口にしているお肉が作られていると現実を知ったのは大きかった。だからこそ、日本の「頂きます」の文化は尊重に値するし、食に感謝を忘れてはならないと思うし、いただきますの重みが増した。
今ではヴィーガンの文化も盛んでそもそも動物を食の為でも殺すのはどうなのか、という声が上がっているのも事実。お肉の代替品のアイディアも数々耳にする。
お肉を食べる食べない関係なく、全ての食に感謝を忘れず生きようと私は思う。

脱線したが、エゾノーで成長する八軒と共に農業や酪農について学べる本作は私得でした。のほほんとした中に厳しさや過酷さも同時に少しは知れて満足だが、原作漫画の続きが気になる。第3期やらないのかなあ。

北海道の広い土地と大自然の中で農業、素敵だ。
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