たわらさん

ヴァイオレット・エヴァーガーデンのたわらさんのレビュー・感想・評価

3.8
自我が存在しなかったヴァイオレットが自動手記人形の仕事を通して自我を持ち愛に気付くまでの物語。そんな本作は勧善懲悪や復讐劇などの分かりやすいテーマでは無く、心の機微を描いており不可視な心の成長をアニメ媒体で表現するのはとても難しく挑戦的なテーマといえよう。その心の機微を描き切れていたかというと疑問に残り、没入に至れなかったのが正直な感想である。アニメの尺で描くには短すぎると感じた。ただ10話は良いのは頷ける。

✔️なぜ感動に至らないのか
主人公の設定から否定するのは酷だが、感情を持ち合わせない主人公であるが故に悲壮感がないため感情移入ができない。感動を一概にもパターン分けはできないが、喪失の哀しみに暮れる世界の中にも人の慈しみや愛、心の強さ、生命の価値に心を揺さぶられるものの本作はそういった情景は窺えない。そもそも共感生を意識したのではなく、『T2』のような機械人形が感情を学んでいく物語だとしても感情の変化をエピソードに昇華できるとは言い難い。
たわらさん

たわらさん