あんへる

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンのあんへるのレビュー・感想・評価

4.0
「お前が間違った働き方をするもんだから、お前以外の全員が間違った怠け方をする」

「すべての英雄は過労で死ぬ」

いやぁ、シビれるほどに金言だよなぁ。

本来「英雄」なんてものを有難がるべきではない。
英雄が居なければ成り立たない世界なんてものは、そもそも劣悪で破綻した世界である。
最も大事なのは、英雄が生まれない為の環境作りだ。

アンチヒロイックというと意味合いが少しズレてしまうんだろうが、人々を救いたい想いと、組織におけるリスクや労力の適切な管理の両立を信条とするイクタの考え方というか人生観には惹かれる部分がとても多い。
このマインドって、なにも創作物やファンタジー次元の話ではなく、リアルな現代社会を生きる人々にこそ重要な事だと個人的には思っている次第で。

未だに“頑張ること”こそ絶対的な美徳と考える人は一定数いると思うが、今の時代“頑張り方”なんかより“正しい怠け方”を覚えた方が間違いなく生きやすいよ。
まぁ結局言うは易し、組織レベルでは簡単な話じゃないのは周知の事実なんだろうが、英雄を否定するイクタの信念には痛いほど共感できるし、ただの綺麗事で片付けるにはあまりにも真理だと自分は感じる。

そーいや、だいぶ前に普段この手のアニメとか全く観ない知り合いからこの原作(ラノベ)を激推しされてた気がする。
アニメもかなり良く出来ていて面白かったけど、よほど原作も面白いんだろうなぁ。←(未だに読んでない)

戦記物としては納得の作りだが、ラノベ原作のアニメのイメージのままでみると、全体的に確かにちょっと渋めな感じはした。キャラ絵とか特に。
それなりにファンタジー寄りにバランス調整されてる感じもするが、良くも悪くも硬派な作品という印象。物語の質も高いし、相変わらず岸田教団の主題歌もカッチョイイんだけど、まぁ万人受けはしないよね、って感じ。

ラストの感じからして、1クールフルに使って〈壮大なプロローグ〉を描いた印象だったんだが、きっともう2期はないんだろうなぁ…。
あんへる

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