シナリオ、キャスト、作画など、総合点としては、まあまあそれなりではある。
ただし、個人的にもっとも評価したいのは、本作がメディア展開を非常に丁寧に行っている点である。
原作がある場合、アニメ化などのおいて非常にネックになるのは、表現の変化における解釈と、補正および改変である。
本作はweb版、書籍版、コミック版、アニメ版それぞれで、キャラクターの性質から、全ての展開が違う。
文字によってありとあらゆる事柄を表現しうる小説。
視覚的表現と文章的表現の複合が魅力のコミック。
視覚的、聴覚的な表現でもって上記の二つを上回るアニメ。
これらは各々のメリット、デメリットが存在するわけで、とりわけアニメは、平成後期以降、話数の制限が大きい。
コミックなどで、区切りのいい場所までが既に確定していたとして、そこまで全てを順繰りに映像化していては、モノにもよるが一年間以上必要になる。
しかし、実際には3ヶ月という短いスパンでしか出来ない以上、どれほど魅力的であれ、はしょる必要がある。
ファンというのはわがままなもので…そういった事情を汲んでなお、原作破壊だの解釈違いだのと宣いたくなってしまうのが性なのだ。
原作の旨味を活かすより、まんまコピー&ペーストを想像してしまうのだ…
そういった時流の中で、本作は非常に魅力的な展開手法をとっていると言える。
面白いか面白くないかは、個人の主観なので評価は各々が決めるべきだとして、1度本作を観て、気に入ったら小説やコミック版を読み比べるてみていただきたい。
メディア複合展開における、挑戦とあり得るべき答えとしての作品が、消して失敗で終わっていない事は、非常に評価すべき点であると私は感じた。