人智を超えた可能性を秘めているAIはひとえに神に近い存在といえます。ロボットは人を殺せないという制約の元で従えていますが、そもそも上下関係があるものなのでしょうか。いざ対等な関係性になったロボが感情を覚えてしまったら、物理的な力によって人類は滅ぶのではないか。『PLUTO』から導き出される憎しみの空虚さは我々、人にこそ学ぶべきことだと思うんですよね。
既視感が強いのもあり、物語の面白みに欠けるのが正直な感想。浦沢直樹にはAIを経由せずともイラン戦争を元にした人間ドラマを描いても良かったのではなかろうか。原作準拠なのは良いが作品自体も20年前と古く、近年怒涛に変わりゆく世相やAIの現状を取り入れてほしいが本テーマを扱うハードルは高かったか。手塚治虫が今生きていたら何を描いたんでしょうかね。