せきた

サイバーパンク エッジランナーズのせきたのレビュー・感想・評価

4.8
サイバーパンクという個人的に新鮮なジャンルの世界観に没入&魅了された。ネオン輝く美しい街の一歩先はまるで光の牢獄。華ある地獄。

治安の悪さ、街と人間の汚物感、救いようのない諦念と身の程を知らない野心が蠢く美しき掃き溜め。

抑圧と貧富の差、悲劇に支配された”そうなるしかなかった奴ら”が裏社会で名を上げ命を輝かせるためにこの街にそぐわぬ無垢な身体を汚す。

「どう死ぬか」が問われる救済なきイカれた世界を懸命に走り抜け、破滅へと突き進む一瞬の輝きに心を掴まれた。なにこの気持ち…!

下手したら全員死ぬであろうことが分かっていても、当然のように惨たらしい散り様を晒す彼らを目の当たりにしても、その美しさから目を背けられない。

夢は食い物にされ、命に平等性はなく、残された者は彼らの死を乗り越えられない。虚飾の中に潜むノンフィクションにひどく脱力する。

バッドエンドにも光が…なんてことはなく出会わなければ互いに幸せになれたであろう2人の愛はただただ純粋で涙を誘う。というか泣いた。

美しく汚れた世界で溢れ出す反骨心と儚く危うい愛、精神を蝕む義体を抱え駆け抜ける者たちの命をかけた一瞬の灯火。バチバチにオススメです。是非!
せきた

せきた