HicK

X-メン シーズン1のHicKのレビュー・感想・評価

X-メン シーズン1(1992年製作のアニメ)
3.7
《原作を幅広くかじりたい方にオススメの作品》

【幼少期】
小学生の時に見ていたアニメシリーズ。このアニメとカプコンのゲームでマーベルに興味を持った。人生を少し変えてくれた作品。

【最大の魅力】
自分は原作コミックはほんの一部しか読んだ事がないが、知識は薄〜く少しだけ広く持っている。たぶん。そんな自分でも今作の原作エピソードのカバー力に驚いた。このアニメシリーズは膨大な量の原作コミックから、それぞれのエピソードの美味しいところを抜き出して繋ぎ合わせている。X-MENに興味はあるが、大体の筋だけチャチャっと知りたい方にオススメ。

【人種・マイノリティー差別】
コミックのテーマでもある差別問題も結構フューチャーされている。週一の子供向け番組という特性上、ストーリーの進行優先なので、大人としてはもう少し深掘りしてほしいなとは思うものの、原作のメッセージ性に忠実な姿勢には好感が持てた。

【連鎖していくエピソード】
先述の通り、とにかくエピソードのカバー力がすごい。
・センチネルとの戦い
・マグニートーとプロフェッサーXのイデオロギーの相違
・カリスト率いる地下軍団
・ウルヴァリンとセイバートゥースの因縁
・ジェノーシャ島
・アポカリプス
・フューチャー&パスト
などなど、有名どころをシーズン1の時点でサクッと網羅。エピソード別に分かれているのでは無く、ひとつひとつが連鎖して事件が起きていくという繋ぎ合わせが秀逸だった。脚本の構成がお見事。実写映画X-MENシリーズでも扱ったエピソードもたくさん。

【そして、最大の欠点】
本気を感じれないアニメーション力の低さは見ればすぐに気づくと思う。アメリカの子供向け週一アニメに対する当時の重要度の低さからなのかもしれない。ちょっとひどい。が、今作に限った事ではなく90年代前後のアメリカのTVアニメーションってこんな感じ。日本のTVオンエア版ではOPが日本オリジナル作画に切り替えてあるが、まぁ素晴らしい(脚色しすぎ感はあるが)。

【総括】
アニメーション力や子供向けな安いセリフだけ許容できれば、面白い作品。特にスピーディーに各エピソードを連鎖させ、繋いでいく脚本構成が素晴らしいかった。1話20分程度なので軽く観れるのもポイント。クラシックコミックは翻訳されたものが少ないので、X-MENの原作紹介としては貴重な作品だと思う。なによりこのアニメの新作続編「X-MEN '97」が23年配信予定という事で、今からとても楽しみ!

22年現在、たぶん日本でTV放送があったシーズンのみの配信に留まっているので、日本未公開のシーズン追加も待ちたい。
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