たわらさん

スキップとローファーのたわらさんのレビュー・感想・評価

スキップとローファー(2023年製作のアニメ)
4.5
各々が形成する言葉や行動を紡ぐのはそれまでの人生の蓄積であり、多かれ少なかれ存在するコンプレックスを克服することは容易ではない。故に攻撃的であったりネガティブに映る言動も、自分や他人を想ったり守るための抵抗であったりする。時に自己嫌悪して、思わぬすれ違い、痛みを伴いつつも、壁を乗り換えて優しさが伝播していく様に感動を覚えるのである。

等身大の高校生の描き分けが上手くて、天性の美貌である結月には到達し得ない努力の美人さん・ミカの解像度が本当に凄すぎる。理想に囚われがちで自分を据えてないところにナオちゃんという据えた女性を用意させる秀逸さ。

カーストを逸脱したスキローの交友関係はファンタジーに近いんですが、一学年全員が友達(親戚?)というローカルなコミュニティしか有してない美津未ちゃんを置くことでなり得た交友関係と思うと良いリアリティだと思います。ただメインキャラや特定のサイドだからといった理不尽をぶつけることなく、世の不条理による閉塞感を誰もが等しく感じつつも、同時に等しく温かさを享受している描き方に信用ができるんすよね。
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