あんへる

その着せ替え人形は恋をするのあんへるのレビュー・感想・評価

その着せ替え人形は恋をする(2022年製作のアニメ)
4.3
【2022年冬アニメ作品{全12話}】

本当に優秀なアニメータ―やスタッフを集めたんだろうな。
ただただ純粋に、偏に、アニメーションのクオリティに感動した。
アニメという媒体で出来る映像表現として、ここまで多彩且つバリエーション豊かに作品を形作れるのは本当に凄いと思う。

次のカットやシーンにはどんな演出や表現を使うんだろう?
どんな技術を使ったらこんなに美しい映像が出来るんだろう?
常にそんなワクワクした気持ちで観ていた。

少し大袈裟に言えば、自分にとってはアニメというものを本格的に好きになり始めた頃の忘れかけていた気持ちを呼び起こされた感覚というか、そういうところに近しい感情すらあった。
伝わる人にだけ伝わればいいが、例えばハルヒの「ライブアライブ」でロトスコープという技法を用いて描かれた楽器演奏のシーンとか、初めて見た当時の「なんじゃこりゃ!」「アニメすごっ!」とかいう何の捻りもない感動。
そんな感じのシンプルでフラットな感情を抱かせてくれたことに感謝なのである。
ちなみに最終話の花火のシーンとか滅茶苦茶良かったなぁ。

全体として、終わってみれば想像以上に爽やかな作品だった。
ラブコメのフォーマットに沿った物語の運びな分、強烈な印象こそないのかもしれないが、個人的に描かれているテーマやストーリーがかなり好みでもある。
エロ要素を極端に嫌う一部の特殊な層からは目の敵にされていたイメージもあるにはあったが、寧ろここまで上質且つ上品なエロをアニメという媒体に落とし込み、その上で高水準で表現できる技術力の凄さの方に着目してほしい気分ではあった。
何よりこの二人のキャラの嫌味の無さというか、愛おしさというか、もう途中からは完全に若人の恋路を見守る親目線ならぬ、五条君のじいちゃん目線で二人を応援してたよw
というか、頼むから二人はさっさと付き合って、そしてどうか末永く爆発してほしい気持ちで一杯だった。

真逆の世界に生きる者同士でも、きっと共通項はあって、それが交わることで新たな世界が広がり、物語が始まる。
できるできないと好き嫌いは全く関係ない。ましてや“好き”を《好き》と叫ぶことを躊躇う必要なんて微塵もない。それを否定する権利など誰にも無いのだから。
~だから、~の癖に、という諦めの常套句は基本的に何の意味も持たない。というメッセージ性にはきっと万人が勇気を貰えるし、共感しかないよね。

間違ってもふざけたノリで実写化だけはされないことを祈る。(めっちゃしそうだけど)
少なくともかぐや様みたいなパターンだけは勘弁な。


-------------------------------------------------------
[主題歌]

OP
 スピラ・スピカ「燦々デイズ」

ED
 あかせあかり「恋ノ行方」


[挿入歌]

 スピラ・スピカ「君に伝えたいことがあるんだ」

-------------------------------------------------------
あんへる

あんへる