学生時代、授業のノルマとして覚えさせられた「祇園精舎〜」の一節。
こうして長い長い物語を経て改めて聞くと、沁み渡るような美しさがあってすーっと涙が。なんて美しく切ない名文なのか。
各話について長々と語りたいけど、取り急ぎ一番好きな「敦盛最期」の感想を。
この段、大学1年の時に初めて読んで、講義中にもかかわらず泣いてしまったほど刺さった思い出の段。銅像があると聞いて、須磨寺まで足を運ぶほどに好き。
素晴らしい映像化に最大級の賛辞を送りたい。
波に頬を撫でられながら、静かに言葉を震わせる敦盛の儚くも潔い最期。こんな最期を見せられた直実の心がどれだけ抉られたことか。そりゃ出家もするわ!
そして最終話での直実、小枝を大事に両手で持ってるね……。
ものによっては、敦盛の笛は、直実によって彼の父上の元へ送られたとしている場合もあるらしい。この時代の武士たちの、こういう律儀で慈悲深い態度が本当に好きなんだよなあ。
ラストでの後白河法皇の合掌シーン、思わず一緒に手を合わせてしまった。この浮世の無常を少しでも慰めるため、一体何人の人がこうして祈ったのだろうかと考えると、悲しみとは違う何かで胸が締め付けられて泣きたくなる。