zhiyang

ゾイド新世紀/ゼロのzhiyangのレビュー・感想・評価

ゾイド新世紀/ゼロ(2001年製作のアニメ)
4.0
爽やか。あまりこの言い方は好きではないけれど、大人こそ見て楽しめるアニメなのではないか。あとリノンがわがまま可愛い笑

初代からジェネシスまでのゾイド作品一斉配信で見たが、主人公が大人びて見えることがとても印象的。ピットはそもそも一人で仕事していたわけだし、バンにとってのアーバインやムンベイのような大人の保護者的な人もいない(トロス父は作中屈指の幼稚な人物だし……)。だからこそ最後の「冒険も良いかもな、なあライガー!」とライガーゼロに語りかけて終わるのが爽やか。子どもが言うのと大人が言うのとでは印象変わるじゃないですか。フリーランス的に毎日働きながら、しかしゾイド乗りとしての理想は見失わず相棒と一緒に生きるピットの姿は社会人になってこそむしろ格好良く見えるのでは。いやー、こういう大人になりたかった笑 布袋寅泰作曲、相川七瀬歌のオープニングもアニソンらしい盛り上がりを欠いた(?)重たいビート主体のロックで、むしろめちゃくちゃ格好良い。

バックドラフト団が違法なゾイドバトルを仕掛けているとはいえ巨悪らしい巨悪もおらず、平和な世界でのゾイドバトル稼業&日常コメディに終止している点もむしろ気軽に見れて良い。ラスボス?のベガも幼いだけ(と言うにはバーサークフューラーの性能がヤバ過ぎるのだけれど)で基本はゾイドバトルがしたいだけで、最後に「大きくなったらまた戦ってほしい」とピットに告げる能天気さも、作品全体の落ち着きのおかげで素直に受け止められる。

ところでこのころのゾイドはオーパーツ呼ばわりされるほどCGのクオリティが高くて、ゾイドの戦闘が迫力を帯びている。さらにいうと咆哮や身震いなど、生き物感もある。ゾイドは金属生命体と言われるが、どうしても戦闘の道具として描かれる。だからこそ乗り手とゾイドが通じ合っているかのような演出に意味が出るのだろうが、「生命とは……」みたいなこともちょっと思う。その点、今作のライガーゼロのじゃじゃ馬設定はゾイドを生きたものして描いていて良かったし、バーサークフューラーが決着つけたがったのも自然。最終的にゼロとフューラーで相撲状態だったし。CG技術が極まった結果、金属の塊も生命らしく描けた作品と言っていいのかもしれない。そんな作品を見る手段が相当限られているのは本当にもったいないなと思う。
zhiyang

zhiyang