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機動戦士ガンダムの青のレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム(1979年製作のアニメ)
4.1
アニメーションと印象的な画の数は劇場版の方が良いが、ストーリーの巧妙さについてはアニメ版の方が優れていると思える部分がいくつかあった(キシリアの動きは劇場版の方が説得的だった)。
劇場版三作を観ておけばよいという意見がある一方で、アニメを前話見たほうが結局のところ理解が進むという意見がある。更に、両方観ることが至高なのよという意見もあり、かくいう私は両方観る派に一票を入れる。
魅力的なキャラはシャアとミライさんだ。考えが読めそうなキャラでありながら、実は何を考えているのか掴めないキャラに仕立てあげられている。なのに、その心理がぎりぎり掴めそうだと鑑賞者に思わせてくれる台詞回しがある。面白い。
中盤まではアムロがガンダムを求めていたはずが、最後にはガンダムがアムロを求め、そしてアムロから捨てられるという展開がなされ、それがよかった。
ファーストとは毛色の違うらしいZも観てみよう。

以下、各話つぶやき。
1話: 直線的なロボットの輪郭は真っ直ぐ描かれるはずなのだが、ガンダムがザクを真っ二つにした止め絵では、ガンダムの脚は微妙に曲線的に描かれている。この線が、今にも動き出しそうな迫力と力強い躍動感を生み出している。たぶん!
2話: 劇場版をみたときには序盤の話の展開が随分速いなと感じた。だがもともと展開は速かったことを知った。
3話: シャアがミサイルを迎撃する場面は、2話アムロがミサイルを迎撃した場面との対比になっているのかもしれない。
4話: ブライトさんが妙に2枚目。
5話: 断末魔で叫んでもらえるなんて、シャア少佐の信頼度の高さが伺いしれますな。大気圏の摩擦熱を耐える仕組みは、劇場版とは違い、冷却シートに包まること。
6話: この回のゴタゴタした戦闘は劇場版ではカットされていた。「自信があるからやっているわけじゃない」というアムロの台詞は力のある者特有かと。
7話: 空中戦が思いのほか伸びやかで、見ていて心地よかった。アムロは情に支配された合理的な軍人って感じ。
8話: ジオン軍の二人は、あえて去り際に事実を述べたのだろうと思いたい。
9話: 戦う意志のないアムロの襟のホックがちゃーんと外れていた。描写が丁寧ですね。最後のナレーションは余分だと思った。
10話: 爆発の造形がいいよね。
11話: 画面に対して横向きにドアップになるシャアの顔よ。かっこいい演出だった。
12話: 群雄割拠の様相を呈してきた。グラサン(テレビ画面反射)姿で「坊やだからさ」の台詞を放ちハードボイルドを決めるシャア、いいよね笑
13話: 戦争を知らない母との齟齬。アムロ自身も己の変貌を自覚して無意識に動揺している様がいいね。もう軍人。
14話: 敵からも応援されるアムロ
15話: 謎回
16話: アムロはガンキャノンでも強い。砲撃による圧によって空中後退する演出がかっこいい。
17話: 管理職ブライトさんと他の隊員との信念の不一致がある。母に対しては軍人として振る舞い、ブライトさんに対しては非軍人として振る舞うアムロの支離滅裂ぶり。
18話: フラウは「幼なじみ」としていいキャラしている。
19話: 少年に食べ物をめぐむための適切な理由ってなんだろうね。盾を構えて突進するガンダムも、刀を持つ構えのガンダムも、両方かっこいい。
20話: 白兵戦ってのが生々しくていい。
21話: リュウの死に対する反応が、劇場版とは異なっている(劇場版: 何故りゅうを止めなかったのか!という憤り→ アニメ: リュウを止めることができなかったというやるせなさ)。ブライトさんは、責任者である以上、一貫した判断を自らに課そうとする。同情する。
22話: 「男の子」向けのアニメだなぁー
23話: ブライトさんは情けない指揮官だが、その心理は分かる。酷使されても愚痴だけで済まし任務を完遂するアムロのメンタルがタフすぎ。アムロ以外も含め前線組は心も軍人になっているのだが、司令組は前線組に見合うほどの変貌を遂げていないことが露わになる回。戦闘力(前線組)はあるのに、精神(司令組)が追いつかないホワイトベース御一行。かつてのアムロのようだ。
24話: ジェットストリームアタック。マチルダさんの散り方は劇場版よりもあっさりしていた。
25話: 水爆は本物だったのよね? マ・クベは結構投げやりな指揮官かも。発射された直後のミサイルを水面切りできるなんて、やはりガンダムはバケモノか。
26話: 海からバケモノが襲いかかってくる画は、どことなくエヴァを彷彿とさせた。久しぶりのシャア。相変わらず台詞回しが面白い。軍人さんはプライド一元論者なのか。
27話: そういえば劇場版では描かれた昇級の場面がない。そのせいでカイが船を降りるタイミングが今回(27話)であることに疑問符が着いた。カイが無意識のうちに軍人になってしまっていたことは、ミハルとのファーストコンタクトから伺えた。
28話: 劇場版ではよく分からなかったが、ミハルはミサイルが発射した時の爆風に吹き飛ばされていたんだね。虚しい死だ。
29話: シャアの迷言「冗談ではない」は、「冗談じゃない(ふざけるな)!」くらいの意味かな。挟み撃ちにされたことか、アムロとの戦闘を邪魔されたことに対してのお気持ち表明だろうか。
30話: 昇級場面はカットされておらず今回だった模様(27話ではなかった)。ただ、昇級内容は変更あり。セイラとシャアの再会場面は劇場版の方が笑えた。アムロがシャアを追いかける場面は劇場版の方が芸が細かい気がする。
31話: スレッガー中尉の登場
32話: 宇宙空間での戦闘。光の演出がパワーアップしていた。「スカートのモビルスーツ」
33話: ミライさんのフィアンセ回。劇場版の方が圧倒的に良かった。闘っている人は、そうでない人との温度差に敏感になるものよね。
34話: スレッガーはミライさんをビンタすることないのに……と思ってしまった。ただし、スレッガーの真意が、ミライさんをビンタすることでカムランの誠意を試すことにあるのなら、話は別だ。カムランはミライさん達に最大限協力する意思を示すが、そもそもミライさんのことを諦めてしまっていた。だから、カムランはスレッガーからミライさんを庇うことをしなかった。ミライさんを庇えないのであれば、カムランにとってミライさんは届かない存在だ。これらの心理を、スレッガーは暴いてみせたのかな? アムロ父はガンダムの設計段階からその操縦をアムロに託していた説(自説)を推したい。
35話: 連邦軍が強すぎる。
36話: ミライさん、前回までは芯のある人だと思えたのに、今回のスレッガーへの言動から、心理が分からない人になった。スレッガーの最期の描き方は個人的には劇場版の方が好みだなー。ドズルはきっと理想的な軍人。
37話: シャアはララァに己の何を見せつけたかったのか。
38話: シャアの復讐の決意が不明瞭な気がする。
39話: ララァとの交流は2001年宇宙の旅っぽい!ガンダムが遅いのではなく、アムロが速くなった。機体の性能をアムロの能力が凌駕してしまった。
40話: 「大佐!どいてください!邪魔です!」
41話: ララァとの一連の戦闘は、劇場版よりもテレビ版の方が好きだ。絵と会話含め。
42話: キシリアの声がいいよね。
43話: 見終えたー。が、シャアの野望が分からない。ザビ家の殲滅はもはや目的ではないといいながらも、ザビ家を根絶やしにせずにはいられないという、しょうもない拘りは理解出来る。全ての面においてアムロに負けているため、引くに引けない心理でも発動しているのかもしれない。ただ、彼はニュータイプをどうしたいのだ?結局、ララァの一番の理解者はアムロだった。アムロはフラウ・ボゥのことが大事だから、たまに無謀なことを口走るフラウと距離を置くことで彼女を守ろうとしたのかもしれないね。フラウ・ボゥは戦闘員にはなれないから。
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