25時

ポケットモンスター カントー編の25時のレビュー・感想・評価

5.0
長文です。
首藤さんが書くシナリオの、子供が抱くワクワクするような夢の世界と、大人になってから直面するシビアな現実を織り交ぜた独特の世界が大好きです。セリフを覚えるほど観まくりました。
また社会問題のような事を説教感なく、救う事ない姿勢で描いているのも刺さります。

全ての脚本家さんが首藤さんの世界観を自らの作品にしっかりと落とし込んでおり、全体の作風がブレずにまとまっているのも素晴らしいと思います。

カントー編では以下5つのエピソードがお気に入りです。

①ポケモンひっしょうマニュアル
今流行りの論破やマウントを題材にしたストーリー。途中、何年も留年した大人が出てきていじめの対象にすらなってないのが怖かった。
社会のレールから外れてしまってどうにもできない人を描く残酷さが好き。

②マサキのとうだい
哲学的で残酷です。言葉にできない重さ。あとマサキの関西弁がすごく綺麗でかっこよかった。

③きょだいポケモンのしま⁈
アーボとドガースの純粋な発言がなんとも複雑だった。悪事を働いている自覚はなく、あくまでご主人さまに従ってるだけなんだ。

④ナツメ登場回(22〜24話)
アダルトチルドレンや引きこもり(子供部屋おじさんやおばさんなど)を想起させる。
現実でも近年引きこもりや心に何かを抱えたの子供が親に暴力を働く事件が多いがそれを思い出した。

⑤でんのうせんしポリゴン
今流行りのメタバースや仮想世界がモチーフ。時代を先取りした世界観です。なんといってもポリゴンがかわいい。
秋葉原にエヴァンゲリオンネタ、お礼をいうロケット団…ギャグも効いててポップです。

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重い内容ばかりを上げましたが、カントー編のギャグは今見ても面白いです。言葉遊び、洒落のきいたセリフ、チャリンコ暴走族、アオ(アカ)プルコのオババ、コジロウの無駄にセクシーな女装など(笑)。

キャラクターはシゲルがダントツ好きです。子供らしい背伸びした痛々しさがたまりません。ゼニガメの回のカメオ出演は一瞬だけど笑えます。

作画も安定していてすごく綺麗です。

最後に首藤さんが生前コラムにあった打ち入りパーティーの際にロケット団の声優さんが3人揃って挨拶に来て、この台詞を流行らせますと決意表明したというエピソードが大好きです。首藤さんもそれが嬉しかったのか、何度かコラムでこの話をされていました。演技からも御三方のその熱意が伝わってきて、見ていてワクワクします。

本当にいいアニメです。これを見て育った世代で本当によかったです。
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