八咫烏

機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096の八咫烏のレビュー・感想・評価

4.6
ファーストからの流れを汲む、宇宙世紀ガンダム。しばらく宇宙世紀とは関係のないシリーズが続いた後の原点回帰作。

それをこだわりが過ぎて納期が遅れ、完成が大幅にずれ込んだ作画で観れるんだからたまらない。
MSの戦闘シーンは当然いいのだが、人物描写(キャラの表情)もいい。

素晴らしい作画の背後には、素晴らしい音楽が流れて欲しいものだが、そこも抜かりない。
澤野弘之の音楽は期待以上。
劇伴は神がかっている。
キャラの平均年齢が高めなのもいい。
珍しくメンヘラ女子もいなくてノーストレス。

主人公バナージはだいぶ視聴者に寄り添ったキャラ。お約束の揺らぎや苦悩はあるが、少年らしい潔癖さがありつつ芯が強い。
子供なんで甘ちゃんだけど、カミーユみたいに情緒不安定じゃなくて安堵。
ユニコーンを呼ぶシーンは何度でも観たくなる。いい叫びだった。

ミネバがザビ家の血をひくヒロインだったことで、+ロミジュリの王道ボーイミーツガールと、カッコいいおじさん達の大人の矜持、ラプラスの箱をめぐる国家とセレブなお家の攻防。
この3つの要素のバランスが良い。
バナージをあちこち動かす展開も良くできている。
毎度の事ながらセリフには含蓄たっぷり。今作はマジでおじさんがみんないい。
寄ってたかってバナージを育て、導いてくれた。
ヒロインはもちろんの事、ファーストからの顔ぶれが登場するのも嬉しいし箱の中身が現実的なのも◎。

それとヒロインより驚いたのが、塗り忘れたのか?と思うくらい真っ白で強すぎるユニコーンガンダム。
これが光る時がまた毎回ゾクゾクするんだわ。。
物議を醸してはいるが、サイコフレームファンネル達もカッコいい。

まぁニュータイプの能力も、サイコフレームもインフレを起こしてはいるけど、これをオカルトと言うのは今さら感。
ファーストからこんな感じじゃない?
どこかで歯止めをかけなきゃいけないにしても、それは今作ではなかったんだろう。

ここで「ジオン」の終焉、そして「アムロとシャアのガンダム」の終焉を描くという意義は果たせたと思う。

ファーストや逆シャアと同じ熱量で観られた気がする本作。
個人的にガンダムにしては(人間関係もキャラも)アクが強くないし、ガンダムを知らなくてもギリ楽しめそうな、間口の広い宇宙世紀。
薄味で物足りないと感じるコアなファンも居るだろうが、作画、音楽、脚本、キャラデザ、cv、ストーリー、締め方、どれをとっても高水準で、1本の作品として完成度が高いのは確か。

ライトなガンダム好きの自分は視聴当時、この先これ以上のシリーズを観ることは出来るのだろうか。。と心配になるくらいに面白かった。
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