TheCharacter

TEXHNOLYZEのTheCharacterのレビュー・感想・評価

TEXHNOLYZE(2003年製作のアニメ)
-
凄い冴えないな。びっくりする。絶対冴えてなきゃいけない部類の作品なのに、随所に色んなダサさを散りばめた結果、攻殻機動隊を薄ーーーく伸ばしたような話になっている。週一放送で倍速視聴もできない環境だったら完走できん。倍速だと若干テンポが良くなる。

話数が多い割に人物や環境を掘り下げず、そのことで深みが生まれるようなこともない。魅力を感じたり、関心を持てる事柄が無さすぎて、想像を巡らせる気も起こらない。大体どっかで見たようなことしかないし。滑稽さが寧ろ面白くなるようなことも無い。でも地上はシュルレアリスム絵画に入り込んだような趣きで良かった。虚無の世界。ユートピアは存在せず、タイプの違う地獄があるだけと明示するわけだが、今日の現実世界から見れば、ああいう状態の方がマシというか、かなり良いような気さえする。争いも不安も無いんだもの。明らかに働く必要無いのにあの人達何やってるんだろう。暇でしょうがないのも苦しいだろうけどさ。

戦闘が激化するにつれ、描写が案外凄惨。そういうとこは拘るんだなあ。SHAPESにされるの嫌だー。昆虫的フォルムが絶妙に嫌。改造シーンは別段過激なわけでもないのに、めちゃくちゃ嫌な気持ちにさせられる。あれ凄い。あんな状態で顔だけ残されてもなあ。

イチセは最後まで格好よくならない。そこが寧ろ凄い。流されて、何故か戦い続けている印象。彼に限らず、登場人物に芯を感じない瞬間がちょくちょくあって、その度に『この人こういう発言/行動/表情するかなあ?』と疑問。ギャップが良い場合ってあるけど、肯定的に捉えられたことが無かった。蘭に拘る理由もよく分からないし、終いに「俺が守ってやらなきゃ」とか言い出す始末。ちょっと構ってもらっただけでそんな感じになるの恥ずかしいと思った方がいいよ(若干ブーメラン)。独り善がりキモすぎる。そんなだからオープニングでJuno Reactorの曲の「your guardian angel...」みたいなヴォイスサンプルもダサく聴こえてきちゃう。元からダサいのかもしれんけど。ドクも無条件でイチセを愛して、特別な力を与えてくれて、勝手に離れてくれて、ほんと都合がいいね。"第2の母親"と表現されてたけど、ま、そーですかと。

最終話の前話でいきなり本編から始まるの画期的だった。最終話のラストで初出のいい感じの曲が流れてきて、良いものを観た気にさせてくれる。やっぱ音楽って凄いわ。ネットワークが云々みたいな話が出てこないのも意外。固定電話だしね。

攻殻とかlain観た方が遥かに有意義だとは思うけど、ハズレを引くのもまた味だよね。
TheCharacter

TheCharacter