いやはや凄まじい148分というか、1945年生まれで御年79歳になるジョージ・ミラーの類まれなる画力と武骨な叙述形式再びで、超傑作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』からおよそ9年ぶりの鑑賞体験だ>>続きを読む
5月は本当に心がささくれ立つような映画が多く、充実した鑑賞経験だったのだが同時に心も疲弊した。昔ならば心に刺さるシリアスな良作の後に大変馬鹿馬鹿しいアクション映画を観て心の洗濯をしたのだが、今の館に>>続きを読む
25年前はこれを爆笑しながら観ていたし、何なら今回も爆笑しながら観ていた若者が沢山いたが、今観るとクスリとも笑う気になれないドキュメンタリーである。兵庫県西宮市にあるすずかけ作業所の絵画クラブに入っ>>続きを読む
冒頭のお婆さんの棺が大勢の人の力を借りながら、階段を降りて行く場面のラジ・リの巧みな描写は本当に秀逸で、これだけで彼らが住む団地の構造や背景すらも想像出来る。一方でその後市長に選ばれたピエール(アレ>>続きを読む
舘ひろし74歳、柴田恭兵72歳にここまでさせるか的なカタルシスの連続で、大変に痺れた。あの頃の横浜のアッパーな好景気はどこにもないが、2人がそこにいるだけで圧倒的なスターのオーラが漂う。それに対して>>続きを読む
残念ながら前篇を観ても私の中では永遠に原作未読なのだが、高校時代を描いた前篇よりも大学時代を描いた後篇の方が登場人物やエピソードが羅列的に多く、セカイは確実に崩壊に向かうにも関わらず、何かダイジェス>>続きを読む
『若武者』というタイトルにも関わらず、ここにはどこにも若武者など出て来ない。未来への希望も持てず、時間と暇を持て余し、ただため息をつくだけの怠惰な人生なんてアイロニーとして笑い飛ばせば良いものを、「>>続きを読む
何かもう本当に2024年の5月は神経がささくれ立つようなチクチクした触感の映画が世界中どこの映画を観ても多かった印象だ。その中でも今作は超一級の傑作と言っていい。収容所のあるアウシュビッツのすぐ横に>>続きを読む
これもある意味胸糞案件だが、これの比じゃないキング・オブ・胸糞案件たる『胸騒ぎ』という糞映画があったので、随分と中和されているが、この冒頭もある意味タチが悪い。思春期のイキったガキならならまだしも、>>続きを読む
今週はまず何よりも私が贔屓にしている吉田恵輔、白石和彌、大森立嗣という日本人監督の新作を丁寧に見守りたかったのだが、結果的に3人の監督の明暗ははっきりと分かれたと言っていい。今作が終わった後、どうし>>続きを読む
Bob MarleyやReggaeに対してあまりにも思い入れが強過ぎるので、今作を観るのはパスしようかと思っていたのだが、東宝東和の肝入り作品でもあり、シネコンでも大きな館で観ることが出来るのは初週>>続きを読む
映画の設定は2022年で、もっと観られても良い映画だとは思うが、昨今の作家主義の形骸化もあり、なかなか若い世代にリーチにしない映画ではあるのだが、むしろ今作のディストピアな世界を若い世代が観てどう想>>続きを読む
吉田恵輔の『ミッシング』同様に、何と言うか世界中の先進国では同じような問題がいま、同時に起きているらしい。それはささくれ立った棘のようなもので、観客の気持ちに寄り添うというよりは針のような触感が痛覚>>続きを読む
いや〜これは素晴らしかった。先週の『鬼平犯科帳 血闘』に引き続き、何か時代劇復権の予感すらある。原作はどうやら『柳田格之進』という古典落語のようで、今どき珍しい清廉潔白さが令和の時代に響く。浪人・柳>>続きを読む
とある街で幼女の失踪事件が起きる。あらゆる手を尽くしても見つからないまま、3カ月が過ぎる。母・沙織里(石原さとみ)は娘・美羽(有田麗未)の帰りを待ち続けていたが、少しずつ世間の関心が薄れていくことに>>続きを読む
ニナ・メンケスがハリウッド映画の底知れぬ暗闇の中で僅かながらに掴んだシャンタル・アケルマンの『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』という微かな感触を大事に丁寧に拾>>続きを読む
私は最初に『ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー』というニナ・メンケスによるフェミニズム講義を一通り目にしたところで、その実践編となるニナ・メンケス監督の作品2本を観た。今作はニナ・メンケス>>続きを読む
『鬼平犯科帳』も新たなキャストによる新シリーズ到来となったが、悪くない。昨年の『仕掛人・藤枝梅安』前後編と比べると明らかに時代劇としてのクオリティが充実している。というか個人的には昨年の池波正太郎の>>続きを読む
何か特殊なレッテル張りなど本当にどうでも良くて、アメリカに暮らす映画監督の実験的な映画理論は面白いし、大変興味深かったしタメにもなった。ある種ヘテロ社会に男性として生まれ落ちてすみませんとスクリーン>>続きを読む
街角で急に尿意をもよおし、カフェに入れば長蛇の列に並ばなければトイレを利用することが出来ない。そんな店員の杓子定規な応対までの一部始終をつぶさに見ていた長蛇の列の先頭付近にいる金融マンのベン(グレ>>続きを読む
終わってみれば今年最大の胸糞案件。というか2000年代でもこれ以上の胸糞案件はないのではないかと思う程だった。率直に言って吐き気を催すほど不快な映画で、不快を通り越して有害にも近付きつつある。こんな>>続きを読む
いや~これは松居大吾が確信犯的に意味不明な物語を紡いでいるだけなのかも知れないが、語りの形式から何もかもがただただ新しい。傑作『ちょっと思い出しただけ』が数年間に及ぶ愛の日々を現在から過去へと丁寧に>>続きを読む
完全新作ということでワクワクしながら観に行ったのだが、率直に言ってかなり微妙に見えた。何と言うか『ゴジラxコング 新たなる帝国』の時も思ったのだが、動物の擬人化と進化したVFXの融合は金をかければか>>続きを読む
久しぶりの中国映画で、登場人物がワンとかタンとかファンとか言うものだから途中で頭が混乱してしまい、さっぱりわけがわからなくなってしまった1回目を経て、今日2回目を観てようやく人物の相関関係と物語のあ>>続きを読む
何やら随分仰々しいタイトルで、そこにはジョージ・W・ブッシュの記名も出て来るが、当然だが本人は出て来ない。あのアメリカとキューバの法的な無人地帯に建てられた悪名高きグアンタナモ収容所に収監された長男>>続きを読む
もはや知られざる過去の佳作・名作に、新世代の若手女性たちが今の世界線で通用する字幕を付け、上映するプロジェクトとしてグッチーズ・フリースクールさんが提唱するかつての名画の掘り起こしには一定数のファン>>続きを読む
夏休みを迎えた高校2年生のココロ(濱尾咲綺)とミク(仲吉玲亜)は、体育教師の山本(さとうほなみ)から特別補習としてプール掃除を指示される。その時点で先生とどうしても単位が欲しい生徒との主従関係はほと>>続きを読む
幼い子どもを連れたシリア人家族が、「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」といういったい誰が流したのか知らぬ根も葉もない情報を信じて祖国を脱出する。しかし、>>続きを読む
一人娘を愛し、彼女の為に運命のパートナーを見つけようとする41歳のイ・イルヨン(キム・ヒソン)はある日、自身が勤める高利貸し店の顧客となった男の弟として、45歳の製菓会社の研究員チャ・チホ(ユ・ヘジ>>続きを読む
なにわ男子の道枝くん見たさで六本木の舞台挨拶に駆け付けたが、両隣は道枝くんファンで、この日会場を訪れていたほとんどの客がおそらく道枝くんファンだったのではないか。映画上映前なので作品の詳細には触れる>>続きを読む
いや~普通に面白かったし、アニメ版を思い出しながら懐かしく観た。原作は1980年代のバブル期へと向かう新宿歌舞伎町の猥雑さが余すところなく描かれていたし、今振り返ればあまりにもハードボイルド色が強め>>続きを読む
どこかの港町。解体工場が舞台で、組織の底辺にいる人間にはいつも面倒な汚れ仕事が舞い込んで来る。冒頭から唐突に映画は始まる、というか始まっている。いや、正しく言えば最初は過去形なのだが、主人公の辰巳(>>続きを読む
昨年の迷作『キラーカブトガニ』に引き続いて今年の『キラー・ナマケモノ』というキラー・フレーズにはゴールデンウィークのMEGA盛り祭りここに極まれりの感慨に浸る。タイトルの時点で明らかに数年後の午後の>>続きを読む
あの赤いジャケット(実際はピンク色)を羽織ったポスターの彼女の太々しいまでの表情が最高で、これはもう絶対にゴールデン・ウィークに観なければならないと心に決めていたのだが、とにかく壮絶に涙が出た。とい>>続きを読む
スティーブン・スピルバーグが世界中で起きる戦争の歴史の全てを自身のフィルモグラフィで描かんとする一方で、イタリアきっての巨匠マルコ・ベロッキオもまた、キャリア最終盤に差し掛かってから、様々な時代のイ>>続きを読む
例えば山崎貴の『ゴジラ-1.0』や庵野秀明の『シン・ゴジラ』のおそらく数倍の製作費がじゃんじゃん投入された作品だし、もしかしたら日本のゴジラ・シリーズとはゼロが1つ違うスケール感かもしれないが、鑑賞>>続きを読む