シーンごとの独特の空白に死の気配が滲む。死に包まれて、呼吸とともに死を取り込んで生きている。
いい映画だった。
この先一体あと何回こんな素晴らしい作品と出会えるんだろう。
別離、というほどでもない別離。再会、というほどでもない再会。
同じ車に乗る、同じ火を見つめる、一緒に水を汲む、隣でお湯に>>続きを読む
空疎な逃避行。
終わりに向かっていたはずの道のりは始まりへと繋がっていく。
本能的な美への情感を掻き立てるような素晴らしいカットの数々。美しさと恐ろしさの綯い交ぜになった耽美さは絶望的ですらある。ひょっとしたら地獄は天国より美しいのじゃないだろうか。そこには「燃えたつ」という>>続きを読む
ユロ氏というのはジャック・タチが演じた一連のシリーズ物の主人公らしい。コメディ映画の割に画面作りが美しすぎる。空間を演出する構造の妙。
出来事一つ一つが意味を持たないまま、夜に朝にと押し流されて誰に>>続きを読む
ノイズノイズノイズ台詞ノイズ
壊れたブラウン管の中に放り込まれたよう。下卑た口説き文句、崇高なイデオロギー、何もかもが同質になって便所の落書きみたいに意味をなくしていく。そこには命もクソもない。
チラチラ面白いけど難しい
聖書何回も読んどかないと楽しめないことが多い
飲みで好きな福音書訊かれた時も困ったし
カメラワークが良い。
めちゃくちゃ胸糞なはずなのに妙な笑いがでちゃうのは、登場人物の誰にもイマイチ共感できないからかもしれない。
彼女の生命線は短い。小さく瞬間的な箱庭が彼らの生きる全てだ。過去も未来もなく、空だけがどこまでもどこまでも高い、そんな極縦長の鮮やかなスクリーン。季節は一瞬で、あとには何も残さない。
時間の取り去られた映画。断片的イマージュ。しかし画面の外の僕らは確かに抗いがたい時間に取り巻かれているわけで、永遠をすら想起するそのずれは僕を茫漠とした暗い海に突き落とされたような気持ちにさせる。画面>>続きを読む
例えば3歳の少年少女に街の絵を描いてもらったとして、その空はやっぱり巨大な飛行体で埋めつくされているんだろうか。たくさんのクレヨンを使い、最もみずみずしい感性で飛行体を表現した1枚に金賞のリボンがくっ>>続きを読む
隣のおっさんがイカや納豆、その他各種キテレツな匂いを放ち続けていて嫌だった。
戦争そのものよりは、あくまでオッペンハイマーという人についての映画だ。個人にフォーカスをあてている分基本的には淡々と進行>>続きを読む
怖さはさすがに原作とは比べものにならないけど、映画全体を通しての彩度がめちゃくちゃ良かった。腹痛のときの青空みたいな、軽快と鬱屈の奇妙に混合したアンビバレントな陽気さが感じられる。
B級のくせしてなかなかおしゃれに見せてくれる。『何がジェーンに起ったか?』を観たことがある人ならテンションがちょっとだけあがる。美術が良すぎた。
POVの良さとイマイチさが戦っている。特に前半はカメラマンに実体が感じられず、つくりもの感が強調されてしまった印象。カメラマンは常にそこにいて、もっと目線を集めなければならない。
全体的に大味で、思>>続きを読む
世界は死によって色彩を増す。死を決意した瞬間から、「それ」が「そこ」にあるという至極些細な事実の一切があまりにも輝かしく思えてくる。まるで世界が監督になって、自分を離さないためにできるだけ美しい映画を>>続きを読む
天使から人間になることとは、物語の主人公になることであり、そして無数の囁き声をかき分けてただひとつの声がきこえるようになることだ。僕が他の誰でもない僕自身として生きることはどんなに驚きに満ちた奇跡なの>>続きを読む
慰安婦問題に関する中立的なドキュメンタリー、というにはいささか韓国寄りの内容。右派のオピニオンリーダーとしてあの差別主義者(としての面を強調された人物)ばかりをピックアップしたのは適切だったのか疑問が>>続きを読む
「変態を恥じるな!」
園子温の見事にそそり立った股間の十字架に磔にされたまま、僕らは太鼓腹を丸く縁どる毛むくじゃらの稜線越しに、それをうっとりとしごき続ける彼と見つめあう哀れな犠牲者となる。バカバカし>>続きを読む
文字の発明を以て人類史最大の転換点とするのなら、地球史のそれは海の誕生にあるだろう。あらゆる存在のきっかけとしての海。それは時間や空間の輪郭をすら曖昧にする。その無限の振幅は、やがてあるひとつのボタン>>続きを読む
自分より背の高い草花に囲まれて、花びらを透かして手の甲を色とりどりに染め上げる光が万華鏡みたいにちらちらひらめくのを見つめながら、花々の濃密な精液のような匂いで鼻をいっぱいにしたい。そんな命の聖域に身>>続きを読む
サイレント、モノクロという技術的な制約にかかわらず、その優れた画面作りやカット割りにより古臭さを感じさせない秀作。レストアのため画質が異常にいいことも確かに大きく影響しているのだが、この作品が100年>>続きを読む
キッチュなハートフル・ドラマだと勝手に思い込んでもったいない見方しちゃった。この作品の凄まじさに気づいた時には遅かった。
忘れた頃にもう一度見たい。
歩いても歩いても、いつもちょっと間に合わないんだ。アキレスは亀に追いつかない。さまよう指先は蝶々に届かない。
ムキになって何かにしがみついては取り返しのつかないものをいくつも取り逃す。変われない自分>>続きを読む
旋回するスーフィーは宇宙だ。
幾層にも折り重なった祈りの襞をかき分けるように星が流れ朝がくる。
手を合わせる。私はどこか遠くへ行きたい。敬虔な口付けをほどこす。私は死の恐怖から逃れたい。体を投げ出す。>>続きを読む
いい映画を観た。『ルナ・パパ』観たときと同じ類の奇妙な爽快感と絶望に包まれる。
滅びゆく祖国より醒めない夢との心中を選ぼう。未来というのは火柱を立てて回転し続ける車椅子のようなもので、うんざりするほ>>続きを読む