クドゥーさんの映画レビュー・感想・評価 - 26ページ目

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罪の声(2020年製作の映画)

4.0

『今の幸せな自分を、少し嫌いになるとしても』

実在の未解決事件をモチーフに脅迫テープに使用された子どもの声の真相に迫る土井裕泰作品は、罪がない以上問題になるはずがないという先入観が覆される当事者の苦
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レッドタートル ある島の物語(2016年製作の映画)

2.0

『命だけ見ればいいなら、こんなに簡単なことはない』

無人島に漂着した男の生涯を描くマイケル・デュドク・ドゥ・ウィット監督作品。社会の枠組みから外れた命の営み、その尊さが絶対の価値観として提示されてい
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思い出のマーニー(2014年製作の映画)

4.5

『あなたの思い出が、わたしの思い出となるとき』

喘息の療養に来た内気な少女と海辺の家に住む不思議な少女が出会う米林宏昌監督作品は、今この瞬間を容器にいれて冷凍保存できればいいのにと思ってしまうほどの
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かぐや姫の物語(2013年製作の映画)

4.0

『この地に降りたことが、罪であり罰であるとしても』

日本最古の物語といわれる「竹取物語」をベースに姫の犯した罪と罰を描いた高畑勲監督の遺作は、シンプルなデザインで表現される絵が日本人の根底にある美意
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風立ちぬ(2013年製作の映画)

5.0

『君が生きてと言う、だから僕は生きねばと思う』

ゼロ戦の設計者と同時代に生きた文学者をモデルにした男の半生を描いた宮崎駿監督作品は、偉大なる先駆者によって託された人間が最も創造的である十年間の仕事と
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ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-(2020年製作の映画)

2.5

『人間としての適性も、教えであると言うのなら』

就職活動で人生の岐路に立たされた男を少年時代の回想を交えて描くロン・ハワード監督作品は、客観的に見るとすれば不幸の継承性を断ち切るために切り捨てるべき
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ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年製作の映画)

4.0

『人類を問うべき時、怪獣は過去からやって来る』

現代日本に突如現れた宇宙の守護神ガメラと超遺伝子獣ギャオスの戦いを描く金子修介監督作品は、大怪獣決戦に各方面から選ばれし者として集結した人間を交えての
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ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

4.0

『今日の君がいなくても、私は明日を生きていく』

事故により宇宙に放り出された女性エンジニアの生還を描くアルフォンソ・キュアロン監督作品は、一瞬にして音のない闇の世界へと叩き込まれるという極限状態の中
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コクリコ坂から(2011年製作の映画)

4.0

『掲げてきたものが、互いの灯であるように』

坂に建つ家から旗を上げる少女と学校新聞の記者として奮闘する少年が出会う宮崎吾朗監督作品は、まるで坂を駆け降りるように落ちていく二人の恋とそれを阻む真実とい
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借りぐらしのアリエッティ(2010年製作の映画)

4.0

『命を助けたボクが、キミの生き方に救われる』

緑豊かな家で療養する少年とその家から物を「借りる」小人の少女が出会う米林宏昌監督作品は、本来であれば出会うはずのない二人がお互いの弱さに理解を示し合う心
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崖の上のポニョ(2008年製作の映画)

3.5

『地球人類がいまだ、崖っぷちでなかった頃の』

崖の上に建つ家に住む少年とクラゲに乗ってやって来た魚の娘の触れ合いを描く宮崎駿監督作品は、子供目線で作られているという意味では「となりのトトロ」以来の意
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ゲド戦記(2006年製作の映画)

2.0

『これが詞の世界ならば、心をたとえられる』

国王である父に刃を向けた王子と大賢者と呼ばれる魔法使いの出会いを描く宮崎吾朗監督作品は、子どもたちに「限りある命だからこそ美しい」というテーマを伝える意義
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MOTHER マザー(2020年製作の映画)

3.5

『好きでいることが、罪ではなく罰となる』

母親と共依存関係にある少年が引き起こした祖父母殺害事件に着想を得た大森立嗣監督作品は、約束された最悪の結果に対する経年的過程をドキュメンタリータッチで描かれ
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STAND BY ME ドラえもん2(2020年製作の映画)

3.0

『一緒にドラ泣きマックス、すればよかろうなのだ』

誰もが知っている国民的アニメをフル3DCGで再映画化した八木竜一&山崎貴監督作品は、マーケティングとしては「ドラ泣きマックス」というパワーワードで失
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ハウルの動く城(2004年製作の映画)

4.0

『無意識領域において、紡がれていくのが愛情』

荒地の魔女に老婆に変えられてしまった少女が歩く城に住む魔法使いと出会う宮崎駿監督作品は、一口に映像美という言葉では括れない巨匠の多彩な表現に衝撃を受けな
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ホーホケキョ となりの山田くん(1999年製作の映画)

4.0

『平凡な家族というものが、どんどん遠く難しく』

古き良き日本の家族像を象徴したような山田家の生活を短編エピソードで描く高畑勲監督作品は、何気ない日常が何よりも愛おしいというテーマが響くのは今となって
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猫の恩返し(2002年製作の映画)

3.5

『恩が仇となったとしても、私が選んだ道だから』

車に轢かれそうになった猫の王子を助けた少女が王子と結婚させられそうになる森田宏幸監督作品は、スタジオジブリの映像体験としては「千と千尋の神隠し」で燃え
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耳をすませば(1995年製作の映画)

4.5

『心をすませてみれば、君の音が聴こえてくる』

読書好きの少女が本の貸し出しカードで名前を見かけていた少年と出会う近藤喜文監督作品は、「時かけ」とか「秒速」と並ぶ映画を観始めた大学生が好きそうな映画の
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STAND BY ME ドラえもん(2014年製作の映画)

2.0

『いっしょにドラ泣き、するはずがないだろうが』

誰もが知っている国民的アニメをフル3DCGで映画化した山崎貴&八木竜一監督作品は、原作における珠玉のエピソードを幅広い世代に紹介するという意義はあると
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魔女見習いをさがして(2020年製作の映画)

4.0

『ハッピーラッキーに、選ばれる人間を目指して』

子供の頃に夢中だったアニメの聖地で悩める三人の女が出会う佐藤順一&鎌谷悠監督作品は、「オールスターズメモリーズ」から続くコンテンツの継承性探究の新次元
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平成狸合戦ぽんぽこ(1994年製作の映画)

2.5

『本当の脅威からは、敵とすら認識されない』

都市宅地開発で住処を追われた狸たちが団結して人間に挑む様を描いた高畑勲監督作品は、ナレーション中心の語り口や狸変幻のクオリティには目を見張るものがあるもの
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紅の豚(1992年製作の映画)

4.0

『本当にイイ女たちが、男をイイ男にする』

飛べなくなった飛行機乗りの豚が新たな出会いによって再び飛べる豚を目指す宮崎駿監督作品は、言葉より行動で示すクールな奴らが自分の責務を全うする様が丹念に描かれ
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おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)

3.5

『取り零してきた中で、最後まで離さないもの』

休暇を利用し訪れた田舎の生活で小学5年生の頃に想いを馳せる女性を描く高畑勲監督作品は、自分という存在をかたちづくってきた原体験に他者に招き入れることによ
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魔女の宅急便(1989年製作の映画)

4.5

『出来ていたことが、出来なくなる日がきたとしても』

13才となった魔女修行の旅で訪れた港町で配達事業を始めた少女を描く宮崎駿監督作品は、町の人々に優しくしてもらった経験やその中で落ち込んでしまっても
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羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来(2019年製作の映画)

3.5

『ぼくが選ぶ未来なら、ぼくの経験の中にある』

妖精と人間が共存する現代を舞台に黒猫の妖精が世界に触れる冒険を描いたMTJJ監督作品は、キャラクターの魅力が愛着に変わっていくロードムービーテイストの中
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火垂るの墓(1988年製作の映画)

4.0

『どうすればよかったを、どうしていくべきか』

第二次大戦の終戦間近に両親を失って戦災孤児となった兄妹の姿を描いた高畑勲監督作品は、物事が悪い方向に転がっていったまま最悪の結果となってしまった体験を通
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となりのトトロ(1988年製作の映画)

4.0

『不思議であっていいから、報われてほしい願い』

父親と田舎町に引っ越してきた姉妹と不思議な生物たちとの出会いを描く宮崎駿監督作品は、時代が変わっても変わらないでいてほしい豊かな自然と人の中での健やか
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天空の城ラピュタ(1986年製作の映画)

4.0

『少年を男にしてくれる、そんな冒険が待っている』

空から降ってきた少女をその腕に受け止めた少年が空に浮く城の謎に挑む宮崎駿監督作品は、これ程までに家族みんなで楽しめるという言葉が似合うものはない超王
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とんかつDJアゲ太郎(2020年製作の映画)

3.0

『二兎を追っているから、二兎とも得ることがある』

惚れた女を振り向かせるためとんかつも揚げてフロアもアゲられる男を目指す二宮健監督作品は、一歩間違えるとスベり倒すシュールな展開をクオリティ高く描くこ
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ルパン三世 カリオストロの城(1979年製作の映画)

4.0

『スタンダードであり、超えられない壁でもある』

盗み出した偽札の秘密を探るため危険な公国に侵入したルパン三世の活躍を描いた宮崎駿監督作品は、とにかく最初から最後までハラハラドキドキさせる怒涛の展開の
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ゲキ×シネ「偽義経冥界歌」(2020年製作の映画)

2.5

『汗と涙の結晶すらも、バイアスとなる語り口』

奥州と冥界を舞台に源義経の偽物を演じる青年を描いた中島かずき作・いのうえひでのり演出作品は、身体中の汁という汁がほとばしる程の熱演をみせる役者たちには敬
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フェイフェイと月の冒険(2020年製作の映画)

2.0

『違う悲しみであっても、同じ気持ちを分け合える』

亡き母が信じていた月の女神を探しに月に向かう少女を描いたグレン・キーン監督作品は、ピクサーの最新作と比較しても遜色ないどころか凌駕すらあるスペクタク
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劇場版 空の境界/未来福音(2013年製作の映画)

4.0

『希望と不安に満ちた、不確かな未来しかいらない』

万物の生の綻びが視える少女を描く劇場アニメーション劇場版「空の境界」の再起動作品は、未来を予測できる少女と測定できる少年の人生を変える出会いを観念的
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劇場版 空の境界/終章 空の境界(2010年製作の映画)

3.5

『ラストそのタイトルに、涙も出ないとしても』

普遍的という特別性を持った少年が、二重人格の少女の第三人格との邂逅を果たした劇場中編アニメーション。二人だけで後日談というか今シリーズのオチを語り合う語
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劇場版 空の境界/第七章 殺人考察(後)(2009年製作の映画)

4.0

『死が二人を結ぶまで、もうずっと離れない』

万物の生の綻びが視える少女を描く劇場アニメーション「空の境界」佳境となる第七章は、ラスボスとの死闘で棚上げとなっていた考察の考察によって繋げられた線が面を
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劇場版 空の境界/第六章 忘却録音(2008年製作の映画)

4.0

『美しく舞い散らす、彼女たちのたたかい』

魔術師見習いが妖精によって学生の記憶が奪われる事件に挑んだ劇場中編アニメーション。ラスボスとの戦いを終えて小休止といきたいところだが、特別であるために実の兄
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