touchさんの映画レビュー・感想・評価

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違国日記(2023年製作の映画)

3.8

"書いた。死ぬ気で、殺す気で"
* * *
音と光の交感、エコー(反響・反復・真似)して相互作用する人と人の変容。
.
これはあまねく創作活動の賛歌だ。
小説を書くことはもちろん、みんなで料理をつくる
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ブリーディング・ラブ はじまりの旅(2023年製作の映画)

-

"俺とお前は似ている だがパパよりずっとマシだ"
* * *
試写にて
荒野をドライブする父娘…どこへ向かっているのか、二人に何があったのか…?
ユアン・マクレガーと実娘クララ・マクレガーが実経験を投
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AGGRO DR1FT(2023年製作の映画)

3.5

"俺こそが世界で最高の殺し屋だ"
* * *
ギャングと殺し屋とストリップバー、グラセフの世界を恥ずかしげもなく再現。
世界最強を自称しながら敵のボスからは臆病と煽られ、孤独と不安に苛まれる男。ヤワな
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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.2

"人生は鶏小屋のはしご クソまみれで短い"
* * *
試写にて
大多数の人々から疎まれ、見過ごされるアウトサイダーの人情ドラマ。
人間味あふれるキャラクターの3人が織りなすユーモラスな掛け合いに笑い
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チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

3.7

"私の望みは最高のテニスを見ること"
* * *
試写にて
なんとも芳醇な「この関係性がスゴい映画」…さすがルカ・グァダニーノ監督、一筋縄じゃない愛の物語。
予告の印象ではゼンデイヤの独擅場だったが、
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

4.1

"こんな展開は望んでいなかった"
* * *
ゼロトレランス(不寛容)方式の綻び。
「疑わしきを罰した過ち」から波紋が広がり、やがて学校の秩序が崩壊する。
理想とする答えに辿り着くためには遠回りに思え
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ドライブアウェイ・ドールズ(2023年製作の映画)

-

"愛はそり滑り 地獄へと向かう"
* * *
パルコ ユニバーサル映画より招待いただき試写にて
ハードボイルドなサスペンス劇になると思いきや、ナンセンスな笑いと共に空回りする男たちの滑稽さ!
『テルマ
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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

3.4

カトリック教による子の連れ去りの史実映画。重厚な映像は見応えがあるが、歴史的ダイジェストを羅列した感が否めず。
肝心のエドガルド少年と家族の話も散漫な印象を受ける。
監督の前作『夜のロケーション』が対
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青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

3.6

"君はどんな気持ちで 旅をしていたのだろう"
* * *
18年前の台湾と現在の日本、時系列を反復する恋愛ストーリー
臆面なく『Love Letter』を作中に取り込むなど、明け透けな岩井俊二フォロワ
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ピクニックatハンギング・ロック(1975年製作の映画)

3.5

"私たちを100万年も待っていたのね"
* * *
寄宿制女子学校で生活する抑圧された生徒たちの耽美な空気、白いドレスが神秘的に。なるほどソフィア・コッポラの『ヴァージン・スーサイズ』に多大な影響を与
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辰巳(2023年製作の映画)

3.8

"覚悟あんのか 生きて帰れる保証ねぇんだぞ"
* * *
風前の灯のヤクザ・ノワールを「絶やしてたまるか!」と言わんばかりの気骨と熱量を感じさせる。丁寧な作劇に感心するだけにラストの淡白さが寂しい…。
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ラジオ下神白―あのとき あのまちの音楽から いまここへ(2023年製作の映画)

4.2

"人生とは不思議なものですね"
* * *
歌は世につれ世は歌につれ…誰しも人生には分かち難く結びついた歌があり、歌が呼び起こす記憶がある。
震災でバラバラになった人々のゆるやかな連帯をカメラが優しく
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HOW TO BLOW UP(2022年製作の映画)

4.0

"あなたの財物が破壊される理由"
* * *
試写にて
手に汗握る緊迫感のクライムスリラー
大企業による環境破壊への抗議として石油パイプライン爆破を企てる若者たち。彼らがそれぞれに抱える動機に胸が揺さ
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デュエル(1976年製作の映画)

3.5

ジャック・リヴェット特集上映にて
「魔法の石をめぐる太陽の女王と月の女王のバトルファンタジー」という設定あらすじだけ読めばキャッチーだが、混線した人物関係に奇想天外な展開でかなり難解。
魔法的な力でタ
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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

3.9

"星と共にあれ"
* * *
唸るエンジン音、上がり続ける復讐のボルテージ。不屈の闘志を宿した若き日のフュリオサに扮するアニャ・テイラー=ジョイの眼力!
白から赤、そして黒に染まる衣装が血と暴力の連鎖
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僕はキャプテン(2023年製作の映画)

3.6

"僕らは必ず乗り越える"
* * *
イタリア映画祭2024にて
第96回アカデミー賞国際長編映画部門ノミネート作品。
セネガルからヨーロッパ渡航を夢見る少年の過酷な旅路…サハラ砂漠の絶景も楽しむ余裕
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まだ明日がある(2023年製作の映画)

3.9

"お母さんはいつも何もしてくれない そうかしら?"
* * *
イタリア映画祭2024にて
家父長制のヤダみをグツグツに煮込んだコメディドラマ。
「これがオッペンハイマー&バービー超えの2023年イタ
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青春(2023年製作の映画)

3.5

"金を稼ぐのって楽じゃない"
* * *
衣料品工場に住み込みで働く若者たちの群像ドキュメンタリー。
猛スピードの裁縫手さばきにまず目を見張る。
終わらない作業の繰り返し、まったく埒があかない賃上げ交
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

3.8

"人類も食物連鎖の中にいる 怪獣はそのことを思い出させてくれる"
* * *
観たいものが観られて大満足、期待通りの快作。
コングとちびコング、さながら「子連れ狼」の関係構築を人間抜きで進めていく思い
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

"大事なのはバランスだ。やりすぎたらバランスが壊れる"
* * *
あえて形容するなら「一流シェフがつくる極上キャンプ料理」。
小規模・低予算でもここまでできるという心意気をいまいちど見せつけられた感
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空に聞く(2018年製作の映画)

4.0

"高田のことだけやるラジオにしようって思ったんです"
* * *
陸前高田災害FMパーソナリティを務めた女性のドキュメンタリー。
小森はるか監督だから撮れたであろう風通しの良さ。
まちで長く暮らす人々
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マイ・スイート・ハニー(2022年製作の映画)

3.3

"イタいやつが多すぎる"
* * *
試写にて
いまどき珍しいぐらいコテコテのロマコメで一周まわって新鮮だった。
ベタな設定を盛り込みつつ、思いもよらぬポイントで予想を裏切ってくる。
『梟 フクロウ』
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異人たち(2023年製作の映画)

4.0

"これは現実?"
* * *
得られなかった愛、喪失と孤独、それでも続く人生…。
心の調子がよくないときに観たら死に引き寄せられてしまいそうで怖い。
ポール・メスカルの何者にも代え難い存在感。物哀しい
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愛していると伝えて(1977年製作の映画)

3.8

"わたしの人生はわたしのもの"
* * *
初クロード・ミレール。愛と呼ぶにはあまりにも歪なメロドラマ。
幼馴染に粘着する男、そんな彼に執心するストーカー気質の隣人女性、彼女に夢中の奔放な同僚…激ヤバ
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.8

"失って初めて本当の価値を考える"
* * *
ノーラン監督の代名詞ともいえる前後する時系列、緊張感を煽る秒針音の演出…デビュー当時から現在の作風が既に確立されていたことが分かる。
だが、70分という
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

4.0

"ノンと言うべき時に どうしてウィと言ってしまうのだろう?"
* * *
ビビッドな色彩が目に楽しい傑作!
亡き父との想い出の料理、パプリカチキンを作る母娘の約束がとんでもない大騒動に…。
誰も彼も清
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ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ(2022年製作の映画)

3.4

"私はただの母でしかない"
* * *
試写にて
グアンタナモの米軍施設に収監された息子の解放を求めた女性の奮闘記。
無情にも過ぎていく月日が恐ろしい…。
重い題材ながら人権派弁護士との凸凹バディムー
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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

3.5

"同時にいろいろ起こりすぎだろ!"
* * *
土方歳三と北の大地に隠された財宝の争奪戦…どうしたってゴールデンカムイが脳裏にちらつく。
幕末から現代へと繋がるアバンの手際の良さに感心したのも束の間、
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ミッシング(2024年製作の映画)

4.1

"考えすぎなくらい考えましょうよ"
* * *
試写にて
こんな石原さとみは見たことがない…復帰作にしてキャリア最高の演技。つられて思わず咽び泣いた。
子を失った親の複雑な心理とマスメディアの報道姿勢
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インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.5

"白砂のような死んだ脳では 自分でも食べられない"
* * *
ミア・ゴスと関わったが最後、約束された破滅。捻転するカメラ、ネオンカラーの嗜虐の誘惑。
「高級リゾート地で自分のクローンに罪をなすりつけ
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

4.0

"言葉がわからない"
* * *
異文化に対する軽蔑、傲慢な利己心がもたらすディスコミュニケーションの悲劇。
荘厳な大自然を前にした生命のちっぽけさたるや…。
人間の愚かな業をたとえ神(GOD)は赦し
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.1

"俺たちの一族は呪われている"
* * *
試写にて
アカデミー賞はなぜこの傑作をスルーしたのか?
今年ベストキャストアンサンブル映画の最有力候補。
プロレスラーの肉体を完璧に作り上げたうえに技の数々
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貴公子(2023年製作の映画)

3.7

"死ぬ前に会う最後の友達"
* * *
試写にて
荒唐無稽なハッタリに翻弄される痛快さ!
『THE WITCH/魔女』のパク・フンジョン監督らしいケレン味たっぷりのバイオレンス・ノワール。
立ち止まっ
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.8

"生き残ることがアートだった"
* * *
医療用麻薬オピオイドの被害者団体を創設した写真家ナン・ゴールディン。彼女の半生を振り返るとともに、薬害拡大の元凶とされる製薬会社の経営一族、ひいては彼らから
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プリシラ(2023年製作の映画)

3.7

"私は自分の人生を生きる"
* * *
試写にて
正真正銘、プリシラの物語だった。
『エルヴィス』で見えなかった彼女の人生、まるで籠の中の鳥の幽閉生活に光を当てる。
グルーミング的な出会いに始まりDV
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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

3.9

"ピカソになった気分よ"
* * *
人工中絶が違法だった当時のアメリカで推定1万2千人の中絶を支援したとされる女性団体「ジェーン」。
裕福で何不自由ない生活から一転、ひとりの専業主婦がその活動に身を
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