ToMoさんの映画レビュー・感想・評価

ToMo

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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.0

悲惨な黒歴史を、映画を以て昇華させる。映画監督たる矜持を感じる。
繋がれた鎖も、刻まれた隷属性も抗えばいいんだと。ちょっぴり照れながらも確かな信念を感じる一言に胸を打たれた。私も言える「我慢できなかっ
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マイル22(2018年製作の映画)

2.8

マーク・ウォールバーグ+特殊部隊という絵面でなんとか持ちこたえた感満載。ゴムパッチンや離婚問題等、設定の意味を見い出せず突き進む悪行。終始罵詈雑言なのも不快感が募る。強い愛国心は、人格さえ犠牲にするの>>続きを読む

ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット(2021年製作の映画)

3.8

これが目指したかったジャスティスリーグの形なのだろう。どうあれアベンジャーズとは比較されるし、紆余曲折を経てよくここまで作り上げたなという印象。この姿を完結と捉えないと厳しいだろう。スーパーマンを"原>>続きを読む

ロケットマン(2019年製作の映画)

3.8

成功と幸福は比例しない。
けれどその光と影がクリエイティブ性を生み出しアーティストとして形作る。奇抜な恰好は違うなにかに成りたいという彼の思いだったのだろう。世代は違えど毒親という境遇からのストーリー
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.8

危険が迫るときは歌え。
黒人文化を宿らせた白人。なるほど彼の根幹がそもそも異端児たらしめた。その信念は社会的タブーを犯す「ロックンロール」という概念さえも生み出した。世代ではないが偉人の人生を観る追体
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スポットライト 世紀のスクープ(2015年製作の映画)

3.5

誰もが被害者になり得たし、黙認していた構造に闇があるという問題提起。対象を攻撃するでもなく、個人を陥れるでもない。起きた事実を社会に伝えるために。鋭いジャーナリズムは静かだが、深い闇にスポットライトを>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.0

どうしてわざわざ崖の上に登るのか?
なんて突っ込みは今更野暮だろう。それでも彼は飛ぶし、命を懸けて作り上げた結晶がMIシリーズだ。そのバイタリティとあくなき挑戦心に拍手を送りたい。
いかなる結末になる
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帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)

3.5

ヒトラーというタブーを用いて、ナショナリズムへの警鐘や現代の貧しさを浮き彫りにするというブラックユーモア。
大勢の視線を受けながら動じないという様がいかにも独裁者という姿のようで印象的だった。
「総統
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ダンケルク(2017年製作の映画)

3.8

戦争の追体験。言葉を極力廃した映像が真に迫る。
事前に「ウィストン・チャーチル」を観た後だったこともありより感慨深く歴史を感じることができた。第二次世界大戦の表側と裏側を見ているようで、この2作はセッ
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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

3.8

光すらも入らぬ地下室で、自国の命運を左右する言葉の応酬を受ければ疲弊する。俯瞰して見れば非常に箱庭的舞台であったと気づかされる。庶民との触れ合いより息を吹き返す様は蘇る不死鳥のよう。同時に誇り高き英国>>続きを読む

マグニフィセント・セブン(2016年製作の映画)

3.8

多種多様の人種をまとめ上げ、そのど真ん中に黒人がいる。それが記号化されてるようで印象的だ。
差別への抵抗と、多様性を以て勝ち取るということ。そしてどんな時代でも成敗しなければならない悪党はいる。デンゼ
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.0

アルゴリズムが定めたから?
スパイダーマンの定めだから?
そんなものは受け入れまいと運命と対峙するマイルズは、もしかしたらカノンイベントを不成立させる唯一の存在なのかもしれない。
彼がたどり着く運命は
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RRR(2022年製作の映画)

3.8

母なるインドに栄光あれ。
悲惨なる歴史を映画を以て昇華させる。差別・宗教・神話をエンタメに練り上げ、多少の無謀さは目立つものの、作品にかける熱量が画面を占める。それらは激動の歴史を生きたインド人の矜持
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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.8

マイケル・ジョーダンが顔を隠すように、本作の命題は別にあると示される。勇気と無謀は表裏一体で、革命児か狂信者かは成功か失敗かで分断される。それでも欲しいなら実行しないと。「さあ、やってみよう」と世のビ>>続きを読む

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

3.0

一歩踏み間違えれば刑務所行き。拳銃、暴力、差別。黒人が抱える苦悩が映し出されてる。
他にも障害や引退からのカムバック等の要素もあるがカタルシスに至らない。ゆえにトレーニング場面も不完全燃焼となる。新人
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リトル・シングス(2021年製作の映画)

3.3

目撃者たる我々からしたら大きな出来事でも、未解決事件全てにその感情は抱かない。いつか風化されてしまう。そんな「ささいなこと」が心を蝕んでいく。
黒や白を見せるだけが映画じゃないし、淡く判然しないものを
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イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.8

ワインオープナーで倒す図は最早伝統芸。
シチリアやマフィアという舞台設定と硬質な画作りは相変わらず巧い。
平穏を脅かす悪党を倒せとイタリアから天啓は下された。暴力を超える暴力。そこに正義の鉄槌を映す。
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.8

宮崎駿の美術館。されど摩訶不思議の仕掛け満載、時の回廊ゆえご注意を。まさに巨匠の世界観を回遊するかのごとく。言語化できない体感。うごめく絵画だった。
不思議の国から帰還したのち「どう生きるか」と問われ
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THE GUILTY/ギルティ(2018年製作の映画)

3.5

ドラマでもなく漫画でもなく「ドラマCD」が好きな人に渡したい作品と表現できる。
"観る"だけでは未完となろう。電話口から聴こえるあらゆる"音"を頼りに、情景を描くことで本作は完成される。足りないピース
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ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.0

車で少し離れた場所に行った。そんな距離感の先に差別という銃弾はある。
我々はそんなことが人種差別になるのか?と首を傾げることはよくある。その認識の差も感じた。正直得られた所感は心地良いものではないが、
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スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

4.0

アニメかCGかアメコミか。いやそのどれもを詰め込んだクリエイティブに満ちた作品だ。
映像美だけで終わらず「マスクを被る意味」をしっかり描いて魅せてる。あり得ないお話。それでも起こり得たかもしれない、も
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「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ(2023年製作の映画)

3.8

“ハイクオリティなアニメ”は数多く観てきたと思うが、“ハイクオリティな少年漫画のアニメ”はなかなか目にしていないことに気づく。ともすれば娯楽の中で最も老若男女を楽しませることができるジャンルだろう。つ>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.5

ある種『ジョーカー』の続編。
汚職も暴力も殺人も個人の産物だけではない。社会そのものが産み出したという問題提起。巨大な闇に明確な答えは出ず、不気味な笑い声がやたらに響き渡る。それでも暗闇に松明が灯った
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.5

原作者の絵が動き出し、色を帯びる様は、二次創作にしないという矜持を感じる。事実本作は今できるスラムダンクを表現し再構築をした。若者の苦悩と決意を乗せて、伝説の山王戦を新しい価値観で上書きしている。
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Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.5

パッケージからして、ダークな血生臭い映画かなと思いきや、これは血が流れるコメディである。第二の人生頑張ってみたけど、無理でした!と開き直るかのように、水を得た魚は拳銃を携え踊りまくる。
でもその水を一
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ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

3.3

当監督のコメディセンスはアクが強いので、肌が合うかが重要。それにより評価は大きく左右されるでしょう。個人的には合わなかったかな。
ソーというキャラは出来上がってるのでその点はキャラ立ちが素晴らしい。権
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ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

3.8

感情論だけでは打破できない資本主義の本質が映し出される戦いに息を呑んだ。
いくら否定的に彼を罵倒しようと、「君も食べだことあるだろ?」と言われたら、なんて言い返そうか。ゴールデンアーチは彼の発想ではな
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TENET テネット(2020年製作の映画)

3.3

もはや「私の映画が難解なのは承知の上だろ」とノーラン監督は挨拶もなく突きつけてくる。その挑戦状に乗るのなら本作は何度挑んでも快感だろう。言わば2回目から楽しい映画。されど一方で「1回で楽しませるのがプ>>続きを読む

キャッシュトラック(2021年製作の映画)

3.8

復讐劇が観たいと聞かれたら『イコライザー』か本作を勧めよう。ただし両作似て非なるもの。前者は悪を成敗し「正義」を描き、後者は悪を以って悪を制す「怒り」を描いた。ソレを了承するのならば浸れる映画。お酒片>>続きを読む

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.0

所有した瞬間、ソレはすでに過去の遺物だ。残すのならお前はソイツに支配されてる。ソレは財布の中身・車・パンツのブランド、どこにでも潜んでる。だから魂の戦争を起こそう。腹の底に燻ってる消えかけた炎が灯る感>>続きを読む

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣(2016年製作の映画)

3.3

バレエダンサーの友人に勧められて。
探求者とは常に自分が納得し得るモノを求め続ける。誰もが羨む名声や成功も、心が是と言わなれば同じ場所には留まれない。芸術家たる孤独と追求の旅を描いたドキュメンタリー。
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ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

3.3

スタイリッシュなチャンバラ劇。銃弾を補填し撃ち込む、次のターゲットを絞る、殺す。全ての動作が作り込まれたアクションは芸術的でもある。音・舞台・映像全てがアクションを引き立てている。「殺しのプロ」として>>続きを読む

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

3.8

クレイグボンドの完結。つまりこれはエピローグだろう。今までとは立ち位置が異なるゆえ、見方次第では物足りなく感じるが、いくつもの苦境を乗り越えた男の花道であるならば、これ以上ない幕引き。ウィルスに影響を>>続きを読む

ジェームズ・ボンドとして(2021年製作の映画)

4.0

続けることも辞めることも困難なジェームズ・ボンドの15年。それでも幕引きのときが来た。その尊さが垣間見える良き特集でした。ダニエル・クレイグに拍手を送りたい人は是非ご覧あれ。ブルーアイズのブロンズボン>>続きを読む

アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

4.8

今さら評する言葉も出てこないがメモとして。
壮大な物語・企画を打ち出し、まとめ上げ、終結させたビッグムービーを体感できたことが奇跡。いつか未来に伝説と言われるであろうこの過程の目撃者になれたことに感謝
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ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

3.5

トム・クルーズアクション劇。
007を意識しながら違う価値観を生み出そうとする挑戦は目を見張る。だが「チームワーク」「侵入ミッション」「コミカル要素」等のMIシリーズの特徴はその分薄れた。良くも悪くも
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