武倉悠樹さんの映画レビュー・感想・評価

武倉悠樹

武倉悠樹

Dr.コトー診療所(2022年製作の映画)

2.5

 大分ひどい出来。離島医療の現実を描きながら、何の解決策も提示せず「自己犠牲で成り立っている欺瞞をいつまで続けるんだ。全員助けるなんて奇跡は起きないんだよ」。という問題提起を若手医師の涙の叫びに仮託さ>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

 ”日日是好日”を単純に謳う作品ではなく、それは色んなことから降りれることが出来たと思っているだけの嵐の前の静けさなのでは?って作品。

 思っていたのと違うなぁというのが、観終えての第一印象。

 
>>続きを読む

テノール! 人生はハーモニー(2022年製作の映画)

3.0

 悪くはないけど、少し粗めの『Coda コーダあいのうた』ってところだろうか。いきなり才能を見初められオペラ座のスターダムを百足飛びくらいに駆け上がっていくシンデレラストーリー。その過程で、自分の中に>>続きを読む

search/#サーチ2(2023年製作の映画)

4.0

 決してつまらないわけではないのだけど、やはり前作の衝撃は超えてこないよなぁ&警察無能だなぁというのが観終わった後の最初の印象。あと、Googleって怖いなっていう。

黄金のアデーレ 名画の帰還(2015年製作の映画)

3.5

 文化財の返還問題と言うのは、なるほど、こういう戦後の引きずり方もあるのねと見聞が広がったな面白みがあったが、オーストリアのモナ・リザとも呼ばれる世界的名画、クリムト『黄金のアデーレ』が、実は「自分の>>続きを読む

ALIVEHOON アライブフーン(2022年製作の映画)

4.0

 小規模な制作なんだろうと思いつつも、こだわるところにこだわって、こういう世界もあるのかと惹きこんでくれるウェルメイドなドリフトカーレース映画。勝敗の付け方がいまいちわからんなぁというところは最後まで>>続きを読む

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

4.0

 大分素材の味と言うか、設定そのまんま。若くして病に侵され余命が限られたシングルファーザーが、息子を託す里親を探しながら、自らの命や子供との関係について懊悩する話。
 設定からしてハッピーエンドになる
>>続きを読む

皮膚を売った男(2020年製作の映画)

4.0

 シリアの難民が、金持ちのベルギー人と結婚してしまった恋人に会うために、自身の背中を芸術家に売り渡し、背中にビザのタトゥーを入れることで芸術品として、自由に国を行き来できる権利と金を手に入れる話。
 
>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

3.0

 実話もののサクセスストーリーは、原則全部そうなんだと言われればそれまでなんだけど、なぜかこの作品は勝つのがわかっている試合をダラダラと見せられている感覚に陥った。
 今のNIKEの成功に比べれば遥か
>>続きを読む

チーム・ジンバブエのソムリエたち(2021年製作の映画)

3.0

 てっきり劇映画だと思っていたので、ドラマチックさの薄さにおどろいたのだけど、なるほどドキュメンタリーだったのね。政変のあったジンバブエの難民が、お金が掛かるハイカルチャーなワインの世界に魅せられてい>>続きを読む

ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)

4.0

 滞在許可の無い移民は成年か未成年かを検査し、成年なら本国へ強制送還。年齢は自称かも知れないし、出生証明なんかも当てにならないから、精密検査して骨年齢で判断って、フランスすげえな。
 
 良くある、落
>>続きを読む

不思議の国の数学者(2022年製作の映画)

4.5

 数学モノと、南北問題モノという二つの個人的ツボを同時に打ち抜いてくれたので、とても満足。そこにツボが無くても、偏屈な老人の頑固さを絆す朴訥な青年というテンプレとしてみても、過不足なく良く描けている。>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.5

 彼女たちの営為がとても意義深いものだということはわかるが、劇映画としてどうかという点で、3.5点。

7番房の奇跡(2013年製作の映画)

4.5

 そりゃ泣く。『アイ・アム・サム』『ショーシャンクの空に』『グリーン・マイル』あたりの要素の相盛りで、展開などもかなりファンタジーな部分はあると思うが、そりゃもう泣く。

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

 宗教と性の問題という触れ込みはミスリードを誘うんじゃないかなと思った。もちろん、そういうシーンもあるが。それよりは、風刺的、諧謔的な目線で「信仰とは何か?」という本質的な問いを突いてみて見せた怪作で>>続きを読む

オットーという男(2022年製作の映画)

4.0

 まぁ、多くの人が言うように『グラン・トリノ』である。そこに『容疑者Xの献身』とか、老年世帯をカモにした詐欺的な『パーフェクト・ケア』みたいな要素だったり、SNSだったりクィアへの目配せだったりの現代>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

4.0

 技術やプログラミングへの敬意がそこまで高くないように思える日本で、全国規模で公開され、地上波のCMが打たれる程『Winny』を作り、”人を殺したナイフを作った罪”に問われ、その裁判が世界的な注目を浴>>続きを読む

砂漠でサーモン・フィッシング(2011年製作の映画)

3.0

 ヘンテコでつまんない映画。イエメンでダムを建造し、川を人工的に造ってそこに鮭を放流して釣りがしたいという、オイルマネーのシャイフの話に奮闘する学者が、中年の恋をする話。実話ものと思いきや元は小説らし>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.5

 アメリカでおんぼろコインランドリーを営む、中国人中年女性エブリンが、マルチバース世界を行き来できるデバイスで、異世界の自分の力を借り、あらゆる可能世界を自在に行き来できる邪悪な存在ジョブ・トゥパキを>>続きを読む

サイド・エフェクト(2013年製作の映画)

3.5

 精神疾患の患者が治療の為に服用している薬の副作用による夢遊病で、人を殺してしまったとして、罪に問えるのか?という命題だったとしても、彼の国の精神医療や何かと薬を服む医療文化を背景にそんなことが語られ>>続きを読む

映画 太陽の子(2021年製作の映画)

3.5

 うーん、点をつけるのに、すごく悩む。

 太平洋戦争末期、敗戦の色濃くなる日本で起死回生の一手として研究の続けられていた原子核爆弾。日米の開発競争に翻弄された若き科学者柳楽優弥と、そんな兄に家族を預
>>続きを読む

ワース 命の値段(2019年製作の映画)

3.5

 テーマは良いが、脚本が良くないという所だろうか。アメリカ史上無二ともいえる厄災。その補償。911同時多発テロ事件、その賠償基金の交渉にあたった特別管理人を描いた実話もの。
 航空産業という国家の屋台
>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.0

 このテーマを2時間の映画にしたのは、正直、蛮勇だと感じた。その勇気あってこそ、こういう物が世界にあるのだと触れることができた。その意義は大変重いものだと感じる。とは言え、わからん。まったく分からん。>>続きを読む

アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

3.5

 うん、決めた。今度こそ、アベンジャーズしか劇場にはいかない。

沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.5

 近代における刑事司法制度において、人を殺すことと殺人罪を犯すことは必ずしもイコールではない。推定無罪の原則、黙秘権、検察、求刑側に立証責任があることの難しさ、日本の司法の自白偏重主義、海外から中世と>>続きを読む

>|