つるばみ色の秋津凡夫さんの映画レビュー・感想・評価 - 39ページ目

つるばみ色の秋津凡夫

つるばみ色の秋津凡夫

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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

1.9

リア

動乱の中で空回りする音楽が印象に残る。
また服の着こなしが似通った登場人物が大変多く、さらに内部派閥の諍いや敵方の人間との交流が絡まるなど人間関係が複雑である。

社会のせいにするのは良くない
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T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)

3.3

邂逅

ヘロイン依存性の様に集う悪友の背後に映る破滅も、ノンストップで走り続ける悪態も、拭えぬ罪も、行き詰まりの人生も、憎しみや殺意でさえもが彼等を構成する大切な要素であり、だからこそ可視化されぬ彼等
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トレインスポッティング(1996年製作の映画)

3.1

健全なる社会へ贈る剃刀入りラブレター。

享楽的な音楽、燻る若者の演技が良い。

不敵な笑みに映るラストカットは、ワーキングクラスに渦巻く負そのものであるかのようだ。
才能なき者が劣悪な環境から抜け出
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LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

2.1

2つのバトン

冒頭の印象的な風景が我々とサルーを繋ぎ、末尾の歓喜の声が我々の気持ちを代弁する。
だが寝ている弟に対して謝辞を述べても、単なる自己満足にしか見えない。
きっと別の機会に改めて伝えたのだ
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タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

2.5

和合を描いた作品。

心の清らかさをそのまま映した画。
民族文化の違う音の交わり。
優しさに溢れた演技が胸を打つ。
描くべき所と描かない所のバランスが絶妙であり、説得力と余韻を残す仕上がりになっている
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はじまりへの旅(2016年製作の映画)

2.3

調和

犯罪である事を自覚したなら、罪を償う姿勢まで描くべきだと感じた。

我が子を思えばこその熱烈な教育。
しかし子供が真に大人になる瞬間は、保護者の庇護から外れた所や、反抗にこそ宿る。
たとえ鹿を
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キングコング:髑髏島の巨神(2017年製作の映画)

1.7

ノア

シンゴジラと違い、程良い大きさで暴れ回る為、迫力ある映像が撮れている。
音楽もお国柄という雰囲気が出ていて良い。
だがウィーバーがコングと心を通わせるシーンはありきたりな描写で物足りない。
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夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

1.7

人恋しい病に罹った人々に絡まるご縁の糸を手繰る物語。

音響が良く、映像演出やキャラの動きはユーモラスだが、過剰に思う部分も多々あった。
脚本はご都合主義であるが、それをご縁と言われると反論の余地など
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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

2.3

壊れた心を壊す物語。

点検し分解する事から、理解とはかけ離れた破壊に変換された為に、デイヴィスが得た爽快感を感じる事が出来なかった。
またカレンの家庭問題に関しての結論が投げやりに思えた。
しかし邦
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ムーンライト(2016年製作の映画)

2.7

光明

冒頭では過剰なカメラワークが目立ったが、それを補って余りある美しいカットの数々。
Boris GardinerのEvery Nigger is a Starに始まる秀逸な楽曲。
役者の演技に至
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セッション(2014年製作の映画)

3.4

鉄粉

ドラムの鼓動は死したる文化の哮り。
独善的に削ぎ落とし、無理矢理得た歓喜と連帯。
追い風など吹きはしない。
ただ、ラストに味わう確かな高揚感に愛は無い。
悲劇としても半端に映る。
しかし、魔力
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お嬢さん(2016年製作の映画)

2.3

沼地に咲く花

抜群のカメラワークがどろりとした物語をテンポ良く映す。
原作から舞台を大きく変えたが、過不足なくしっかり作り込まれており、作品に対する愛と熱意を感じた。
また役者の演技力は申し分無いが
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しゃぼん玉(2016年製作の映画)

2.0

ふるさと

壮大な自然の美しさが画面に彩る。
また、慎ましながらに美しい生活も丁寧に描かれている。
浴槽から磨りガラス越しに映る人影のカットは、幼い子供が親を見る視点であり、ノスタルジーを感じた。
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わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

1.6

同じ街に生きる人間の温度差を描いた作品。

無駄な音響効果が全く無く、役者の表現も完璧な等身大で描かれている。
しかし起伏に富んだ物語では無い。
また場面転換の際、カメラに工夫が見られなかった。

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哭声 コクソン(2016年製作の映画)

3.0

異質なものに対する不安と貧しき心から見たキリストを照らし合わせ、混沌の社会の中で踠き苦しむ者への慈悲と殺を打たれた真実を描いた作品。

役者の演技は國村隼を筆頭に素晴らしい。
また脚本は極めて巧妙であ
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ラビング 愛という名前のふたり(2016年製作の映画)

1.6

不自然な環境下での自然な愛を描いた作品。

動きが少ない中で役者達の表情が見事に活きている。
脚本については、3人もの子宝に恵まれ、数は少ないが理解者・協力者もおり、衣食住に不自由無く暮らせているにも
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素晴らしきかな、人生(2016年製作の映画)

1.2

再生を描いた作品。

映像美や音響の拘りは感じられなかったが、ウィルスミスの熱演が光っていた。
しかしハワードの失意の描写がチープであるのと、ホイットに対して堂々と父親であれと言うのに納得がいかない。
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彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

1.3

やりきれない気持ちを昇華する物語。

マキオを演ずる桐谷氏の棒読みの台詞や、ぎこちない表情が気になって仕方がなかった。
また家庭内でのだらしのない仕草や、リンコさんを抱き締めるシーンでは筋肉の強張りが
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

3.4

夢はつまり、思い出のあとさき

映画も音楽もアメリカ大統領選を皮切りに、同調圧力の奴隷に成り下がってしまった。
問題の本質を腫れ物扱いし、文化衰退を讃え合う世に於いて、「ポジティブ」とはそれだけで革命
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愚行録(2017年製作の映画)

1.7

脚本は分かりやすいが、あの様な稚拙なトリックで警察の目を欺く事に違和感を覚えた。

表面的な善行も愚行の内にあると言うのか。
冒頭の車外からの表面的なカメラワークから、末尾での車内から一人一人の内面を
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劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール(2017年製作の映画)

1.0

仮想の騎士、仮装の紳士

作画は丁寧であるが、キャラクターの仕草や表情、会話のやりとりは古臭いテンプレ。

また脚本に驚くべき展開は無く退屈である。
まずARに対する規制が緩過ぎる為、連日関連事件が起
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マリアンヌ(2016年製作の映画)

1.6

夢の様な

CGの不自然さ、雑な心理描写、夫婦間での感情のやり取りが淡々としている為、その後の展開に対してもどこか視点の遠さを感じ、物語に入り込めなかった。

苦難の中にある愛と自己犠牲はいつの時代に
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LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門(2017年製作の映画)

1.5

またつまらぬものを

迫力ある画と、キャラクターの仕草は漫画的で良い。

しかし脚本は予定調和かつ一本調子で、五ェ門の修行も第三者の視点から描いている為、都合の良いタイミングでの覚醒に白けた。

虐殺器官(2015年製作の映画)

1.6

覚醒

映像、キャラクターの表情や仕草は丁寧に作られている。
だが、エンディング曲は映画の余韻を打ち消す。

また、クラヴィスの過去を省いた為、テーマの鮮明化と引き換えに、ルツィアとの関係性の熱量を失
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スノーデン(2016年製作の映画)

2.5

音響や演技はもう一捻り欲しい所だ。

日夜情報に振り回され、自分なりの考えを持って行動する事が困難な時代に、改めてこの事件を世界へ投げかけた事に意義がある。
しかし滅私で公に務めた彼の生活を通して見る
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ザ・コンサルタント(2016年製作の映画)

1.5

伊達眼鏡

主要キャラ以外も其々行動するが、群像劇とまではいかず中途半端。
また、発達障害の描写がチープに感じた。

彼女が求める絵画を贈る事が出来たのは、心の機微か感謝か。

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

2.9

パライソ

眼を開け祈れば、苦しみの音。
眼を閉じ祈れば、真理の声。
命からがら生き延びた貧しき魂。
それを美化する事なく、しかし美しく。

ルパン三世 カリオストロの城(1979年製作の映画)

2.8

愛をこめて

キャラクターの演技が生き生きとしており、古いアニメーションながら奥行きを感じる。
物語は王道であるが、細やかな演出が随所にあり退屈はしない。

伯爵の胸の内、ルパンも気付いていないローマ
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マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション(2015年製作の映画)

1.5

アラブの春

他人の起こした革命に乗っかり、束の間の春を謳歌しようとする民衆を描かれても満足出来ない。
彼等はジョーの部隊と同じく他者依存であり、自由も尊厳も得られはしない。

此処では無い何処かへ希
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傷物語Ⅲ 冷血篇(2017年製作の映画)

2.6

商魂

画面も音響も、あの手この手で魅せようと空回り。
役者の声は、この冷血で整った。

美しさと正しさは一本の線で結ばれるとは限らない事を知る為に、曖昧な存在を分かち合うという脚本は面白い。
しかし
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アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(2015年製作の映画)

1.8

無情

操作室や会議室と変わらぬ映画館という安
全地帯にいる我々との立ち位置が効果的に響く。
キャラクターそれぞれの人間性は掘り下げず、これも俯瞰視点で描いている。
しかし現実的な描写に対し、人の葛藤
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幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)

2.6

妙好人

画面や音響はもっと拘りようがある様に思う。
物語には一応の危機的状況は用意されているが、解決への過程は御都合主義的であり、勿体無さを感じた。

現代では興味のある情報、物、人と繋がる事は容易
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スモーク(1995年製作の映画)

1.9

渡る世間に鬼はなし

味のある役者を活かし、余韻を愉しむ作りをしており、描写不足は受け手に補わせる手法。

同じ場所や時間でも、そこに写るのは掛け替えのない一瞬であり、その一コマ一コマが物語を作る。
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ニーゼと光のアトリエ(2015年製作の映画)

2.5



患者達の演技が恐ろしく上手で、日頃からこんな感じなのではと密かに疑っている。
映像と音響は殆ど作っておらず自然な演出だが、手持ちカメラの揺れが気になるのと、偶にある挿入曲が合っていない。
また、
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ヒトラーの忘れもの(2015年製作の映画)

3.0

砂に埋もれた歴史

抜群のロケーションの中で起きる惨劇が脳裏に焼き付き、迫真の演技に胸を打たれた。

憎しみの矛先を向けるべきはあの少年兵で無いのは明白だが、それは平和の世に生きてこその考え。
時代も
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ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

1.6

冗談

迫力あるカットが爺さんの存在感を増長させている。
猛犬に対してのスマートな制圧と、物語の幕引きの際あれ程痛めつけられてからの反撃に違和感を覚えた。

登場人物全てが神の不在を認める人間。
単純
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