ちゃんゆいさんの映画レビュー・感想・評価

ちゃんゆい

ちゃんゆい

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セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)

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何も起こらない、退屈な日々が、何もドラマがないまま終わる。何も起こらないことを予期できず見続けてしまうことに驚く。
退屈な日々は、なんの違和感もないまま消え去りうることを証明した作品。

キャラクター
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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

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コメディとリアルのバランスがよく取れた脚本だった。名門校へ通うものの家庭に難のある一人の学生と、頭の硬い古代史教師が嫌いだなんだと言い合いながらも、共に過ごさざるを得ないクリスマスと新年までの日々を描>>続きを読む

セレブレーション(1998年製作の映画)

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ある貴族階級の父親の誕生日パーティに集まる親族や友人たち。その城のあらゆるところで同時多発的に起こる細かな出来事が、一人の息子のある告発によって最終的に集結してくる様子を、デンマークの映画運動・Dog>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

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誰もが理解し合えないなにかを抱えていて、見えている世界を少しずつ切り取ることで疑心を生み、互いを「分かり合えない"怪物"」として見てしまう、というニュアンスを受け取った。

一番最初に見ていた筋では、
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ラストエンペラー(1987年製作の映画)

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めちゃくちゃ面白かった!

中国最後の王朝・清の皇帝の生涯を描いた作品。生い立ちから、日本との関係など歴史に翻弄される人生を描く。

時代が変わる演出が滑らかですごかった。
皇帝ともあろう人が、なぜ囚
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

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少し前なのでかなり忘れてしまった!

ある老夫婦の最期の日々を二画面に分割して映し出した作品。

体よりも脳が先に死んでいくひとびとへ

認知症の妻が放った「ここにいて」という言葉が印象的だった。推測
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

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ランティモスとエマストーンのタッグいいです。ちゃんと人間の毒素が滲み出ていて、美しすぎない脚本だと思う。完璧な人間がいなくて、みんな何かが欠如しているから、キャラクターを愛せる気がする。
もう一回集中
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ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

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誘拐から25年ぶりに帰ってきた息子を、誘拐犯の思想を内包した今の彼ごと愛すという家族の再構築の物語。
こんなにとんとん拍子に家族の修復が進むわけないと思うけど、まわりの人みんないい奴なので主人公はすん
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

言葉巧みな男たちによって未知の旅を展開させていくベラ。容姿端麗だったから生き延びれたよね。混乱を抱えながら"実験"を繰り返して、自分の正しさを獲得していく。最後のオチ、ハッピーエンド?て思ったけど元夫>>続きを読む

肉体の門(1964年製作の映画)

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戦後を生きる女たちの肉体!生きる喜び!裏切り!愛!を言葉や肉体のぶつかり合いで描いている。この時代の役者さん、目力がすごい。悔しさの表現が目だけで伝わる。失うものはない、生きるためには戦わなきゃいけな>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

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ずっとなにかが起こりそうな不穏な空気があるが、友情は眩しく、救いがある。いつ不穏なことが起こるかわからないから、ずっと見てしまう。後半にたたみかけるバリーコーガンの、やっぱり来たかな奇行は、待ってまし>>続きを読む

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

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感想浅瀬レベルだが記録

画角が美しかった。光も自然光かな?差し方が設計されてて美しかった。構図は真ん中に堂々と人物を据えるカットが大胆でかっこよかった。
散文的に展開する物語が層をなして、いつの間に
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ロブスター(2015年製作の映画)

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今作も全員なにかが極端に狂っているという登場人物たちで、結末はまるごと観客に任せるという作りだった。
状況設定が面白い。説明はなく、あとから少しずつ明らかになる少子化社会、それに伴ったカップル生成ホテ
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

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物語が怪奇的なのに、画が美しかった。
脚を映すカメラワークが多かったのは、家族の成り立ちが性から始まっていること、そして目指すところが繁殖であることを示唆していたんじゃないかと思う。

まずは説明もな
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ガザ 素顔の日常(2019年製作の映画)

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知らない波の形を見た。地中海沿岸に位置するガザ地区に暮らす様々な年齢、仕事、立場の人たちを追ったドキュメンタリー。
その中の1人の女の子は、世界の人々に常にかわいそうな対象として憐れまれてしまうが、そ
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さかなのこ(2022年製作の映画)

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幼少期に見つけた、自分の「すき」を追いかけ続けることの尊さを教えてくれる物語。

時間も忘れて没頭してしまうようなものに出会ってしまったひとは、大人になれば仕事という壁にぶつかる。本作の主人公は、不器
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

服役を終えた元受刑者が、喧嘩っ早い気質をなんとかこらえ、社会から厳しい目を向けられながらも、真人間として社会に馴染もうと努力する物語。
彼を取り囲む人々がすばらしい。彼の立場や人柄に寄り添いながら、時
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

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一冊の分厚い小説を読み終えたような重みのある作品だった。
数々の暴力・罵声シーンが出てくるものの、愛をすごく感じる作品。
組長の眼差しや、主人公の原動力が義理や恩や愛によるものだったからかもしれない。
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枯れ葉(2023年製作の映画)

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北欧が好き!あっちの暮らしをしてみたい!と浮かれている人ほど見ておいた方がいい作品。
北欧の価値観は、基本的に生きることは厳しく、それでも光を探そうというものだ。

本作は低所得階層に着目した作品。社
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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清掃員として公衆トイレの掃除シフトをこなす主人公のとある数日。

毎日のルーティンが一つでも狂えば、崩れてしまいそうな危うさを感じさせる。

誰かが散らかしたゴミを回収し、便器の汚れをなかったものにす
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メランコリア(2011年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「最低だと思う。
みんなでトイレに集まれば?」
というセリフ、いい。

最初の複数のスローモーション映像は、質量を持って主人公に重くのしかかってくる想像の世界なんだろう。

人生で最も幸せな結婚の日と
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キッドナップ・ブルース(1982年製作の映画)

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主役は誰なんだろう、な作品。
なんでもない描写が長回しされ、人生について重要なことを語っていそうなところは手短にシーンが展開される。
旅も人生もそんなもので、なんでもなさそうなシーンばかり長いのかもし
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キャロル(2015年製作の映画)

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ただただ画が美しい同性愛の物語。
一目惚れとは、人生のレールが変わる瞬間でもある。

独身/アルバイト/20代の女性テレーズと、既婚/子持ち/富裕層の女性キャロルの恋は、人生で抱えているものが違いすぎ
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美しき緑の星(1996年製作の映画)

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パリを舞台に、文明に囲まれた現代社会を風刺する作品。
楽園のように描かれる緑の星と、地球での日々を比較し、現代の生活がどんなものに囲まれているか、再確認させる作品。
ルールや時間の縛り、紙幣経済を人知
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老人Z(1991年製作の映画)

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おじいちゃんと人工知能という組み合わせで予想外の方向へ物語が進むものの、最終的には人間ドラマに持っていく脚本が面白い。

文明の発達により、冗談のような万能介護ロボットが開発された。
そこに巻き込まれ
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タンポポ(1985年製作の映画)

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冒頭から日本人の食に関わるありそうな小ネタと、確実に一歩ずつ繁盛店へ向かおうとするラーメン屋の奮闘群像劇が繰り広げられる。

小ネタはほとんど本筋と関係なく、とにかくやりすぎていて笑うしかない。
とは
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いまを生きる(1989年製作の映画)

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歴代の詩人たちの詩を引用しながら、鑑賞者にも『今を生きよ』というメッセージを訴えかける物語。

物語の主軸は、この世の真実を教えてくれる先生の存在とはどのようなものか、ということと、1人の学生が自分の
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ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

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登場人物には情緒の波がなく、何かが著しく欠けているものの、素直でサクサク物語が進んでいくのがウェス作品の沼要素。
ろくでもない父親に振り回されながらも、個人の個性も揺るがない家族は、結局は愛で繋がり助
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天才マックスの世界(1998年製作の映画)

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役者の演技力も相まって、脚本がめちゃくちゃ面白い。
笑いの間が緻密に構成されているコメディ作品。
マックスほど自信過剰で想像力豊か、行動力があれば、巻き込まれることに辟易するものの、それでも揺るがない
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

これは、舞台を観にきた観客の空想世界なのかもしれない。
ミクロから描いて、断片的なセリフから状況を想像する。
部分は取りこぼし可能で、現実とは所詮そんなものの蓄積でできている。
創作に関わる人びとの夢
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