Sさんの映画レビュー・感想・評価

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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

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僕たちは結ばれなかったけど前世では運命的な結ばれ方をしたかもしれない。現生において君は「去るひと」だ。そして君の夫は、君のそばに「残るひと」だ。

ひとりの女性の恋愛模様を描くと同時にひとりの男性の自
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Exhuma(英題)(2022年製作の映画)

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俳優陣が豪華で韓国内では大ヒットしている作品なので映画館で鑑賞したけれど、大衆が信じられなくなった。
オカルトチックな話や演出を見慣れてないからか、伝統的な民俗信仰に基づく作品かと思いきや後半なんでも
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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一人の歴史的人物を描く映画はたくさんあるけれど、3時間にわたって何人もの登場人物を交差させながらもここまで連鎖的に面白くなっていく自伝作品は初めて見た。
ストーリーは「語り」に焦点が置かれていて、当時
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

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早稲田松竹に行けない代わりにNetflixで見た本作。原作は読んだことなくジャズや楽器に関しても造詣が深くないので、新鮮な題材として映った。
元々のストーリーを映画に収めるにあたり展開を早めるしかなく
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

証拠となる録音は生活の一部に過ぎず、夫婦仲における軋轢の原因は、挫折感、プライド、嫉妬心、罪悪感など複雑に交わっている。それからとうとう吐露される言語の抑圧。 
「フランスに引っ越して、あなたの母国語
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市子(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

社会的な問題が先にあり、そこの当事者を描くことは難しい。問題そのものが現在進行形である場合は当事者自身が語ることができないし、我々が語ろうとするなら当事者への十分の配慮が必要だから。
加害者と被害者の
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ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

料理はチームワークであり即興アンサンブルである。
昔から料理を趣味とするひとが羨ましかった。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚という五感をフル活用する料理には、読書や美術音楽鑑賞にはない豊かさがあると思って
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マイ・エレメント(2023年製作の映画)

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ウェイドが大好きだからか、

涙もろくなった時
私のこころの中のウェイドが疼いているだけ
と言い訳をしたり

太ってしまった時
私のお腹の中のウェイドが食べすぎただけ
と言い訳をしたりしています。
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グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独(2009年製作の映画)

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やはりどうしても耳からだけではなく
映像からグールドを知りたくなった。
クラシック音楽のように音楽家も「鑑賞」しないとと言わんばかりに

グレン・グールドをめぐる32章(1993年製作の映画)

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アルゴリズムに誘導され辿り着いたドキュメンタリー。オープニングで雪の平野の映像とゴルトベルク変奏曲のアリアが流れる。アリアを聴くたび冬を思い出していたので想像にぴったりな雪景気が映し出されたことに驚き>>続きを読む

ミレニアム・マンボ(2001年製作の映画)

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片時も煙草を手放さず、飲酒ときどきクスリ、ネオン色やオレンジ照明を背景に喧嘩、鳴り止まない電子音が繰り返され、煙が充満していて息するのが苦しかった。頭痛くなる瞬間から音楽がノイズに変わって、いつまで耐>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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本、音楽、樹木を愛でる毎日を描く。

ヴィム・ヴェンダース、高崎卓馬、柳井康治、役所広司らが手を組んでTHE TOKYO TOILET(TTT)という、東京の公共トイレに“small sanctuar
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枯れ葉(2023年製作の映画)

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口づけシーンが二度登場し
一度目は”劇場”の前で頬に
二度目は”病院”の中で額に
特別な空間として扱われる
空爆や紛争犠牲者に対する
哀悼の意を表したとも推測

シネマ讃歌にも受け取れる
特にエンディ
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ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

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小学生の時に見たチャーリーとチョコレート工場が忘れられず、ウォンカ&ウンパルンパのいるあの世界観、あの頃の衝撃とドキドキを期待した自分が悪かった。ティモシー・シャラメにジョニー・デップを求めてしまい改>>続きを読む

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

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序盤は口喧嘩ばかりで聞くにたえなかったり緊張感が流れていたりしたけど徐々に炭酸が抜けるように口元がゆるむ。終盤はみんな周り気にせず笑っていた。ほんわかと微笑ましい終わり方と、クレジットに流れるピアノ演>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

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「ワレヲ学ブ者ハ死ス」という黄金の門の命題から自分は学問の意味を問われている気がした。

自分自身を探すべく
過去にとらわれる者
生に意味を求める者
創作や芸術に励む者

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

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かつて花畑を駆けながら遊んだレミはこの世におらず
唯一悲しみを分かち合えたひとは引越しで遠ざかった。
だけど僕は毎年花を摘んで、ダリア畑を耕さなければ。
この色鮮やかさを見る度彼らを思いださざるをえな
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怪物(2023年製作の映画)

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台風の音は列車の発車音に似ていて
校内で少年が吹いた吹奏楽器の音も
出発する列車の警笛の音に聞こえる

廃れた車両、秘密基地のなかには
隠して飾って匿って片そうとした
数々の言えない秘密が残ったまま
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別れる決心(2022年製作の映画)

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子曰、
知者樂水、仁者樂山。
知者動、仁者静。
知者樂、仁者壽。

「子曰わく、
知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。
知者は動き、仁者は静かなり。
知者は楽しみ、仁者は寿(いのちなが)し。」

【講
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人生は小説なり(1983年製作の映画)

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神保町の古本まつりが数年ぶりに開催され足を運んでみたがすずらん通りにワゴンが並ぶのは29日からであった。さらに、神保町が自分にとって昔ほどワクワクする場所ではなく、どこか場違いな違和感というか、意志と>>続きを読む

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

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貪欲になり物思いに耽る秋はいつもより映画が恋しくなる。そんなとき早稲田松竹クラシックスはとっておきのご褒美。

ブレッソン作品を語る前にドストエフスキー読まなきゃ読まなきゃとなって、数年が過ぎてるな。
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湖のランスロ(1974年製作の映画)

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手ではなく、下半身(後ろ姿)ショット多用。
男性たちカラフルのタイツがすごい目につく。
王への忠誠心と仲間への友愛に身を捧げるランスロットの英雄主義的な性格に反して愛の運命論者としてギニベアは描かれる
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カモン カモン(2021年製作の映画)

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記録忘れ 

どうしてモノクロで撮ったんだろうと思っていたが、この監督さんはヴィム・ヴェンダースの作品が大好きで、本作は『ベルリン・天使の詩』や『都会のアリス』から影響を受けているらしい。

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

アピチャッポン監督の個人的な記憶と「脳内爆発音症候群」を、都会から大自然へ移る物語にとかして作品に仕上げている。

コロンビアで映画上映に向けて急いで歩いていたとき、フランスから来たという男が監督に
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アネット(2021年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

監督の舞台挨拶付き。足を組んでゆっくりと静かに話す。どんな質問にも適度な長さのある真摯な答えだった。思い馳せてトークショー付きのチケットを買ったけど、応答質疑が作品そのものより印象に残る瞬間はなかった>>続きを読む

欲望(1966年製作の映画)

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若い頃60年代の作品をよく見ていたというひとから薦められた映画。映画好きがフィルムカメラにハマる気持ちがわかる。

海辺の金魚(2021年製作の映画)

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今回の紫陽花の出演は控えめでしたが自分の心にはちゃんと鮮やかに映りこんでいました。

「たとえ晴海の手を取るウサギになることができなくても、せめて私は彼女のそばに咲く花々でありたかった。嬉しい時は祝福
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