minaさんの映画レビュー・感想・評価

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フィシスの波文(2023年製作の映画)

3.6

とても満たされる。
不思議な音が紡ぐ静かなドキュメンタリー。

連続する文様が生み出す規則性が、何故か安心感のようなものを感じさせる。
永遠に続く柔らかい波のような。
イタリアの教会の床石、ミナの布地
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異人たち(2023年製作の映画)

4.2

このレビューを書きながら、また泣いている。もう泣きすぎて頭が痛い。

いつもながら選曲が神。
Always on my mindがこう来るとは…

監督も俳優も死を漂わせるのが上手い。
心を閉ざし、ど
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ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

3.8

恐らくタルコフスキー本人の話。

「ソラリス」も「ストーカー」も水がキーワードになっている。これも然り。

能の舞台を見ていたよう…静々と。
退廃的な画と鈍い光が美しい。

大切に守ったロウソクの炎は
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.3

公開前に13分の予告編を見て「ジブリに似てるなぁ」と思ったまま、全部見た気になっていた。

草太のような役目を太古からずっと引き継いでいる家が現代にもいるだろう。
触れてはいけないもの、踏み入ってはい
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それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

3.4

介護がテーマになっている作品で希望のあるものはとても少ない。
生きていくことと死にゆくことが同時並行に同じ強さで流れる年齢に近づくほど、不安と怖さが形になって見えてくる。

天井に届く本棚に埋まる数え
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遺灰は語る(2022年製作の映画)

3.6

薄っすらしか知らないイタリアの現代史とルイジ・ピランデッロを調べながら鑑賞した。

ムッソリーニに愚か者扱いされ遺言は一言たりとも実現されない。WWⅡを経てようやく故郷シチリアに遺灰を移されることにな
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なのに、千輝くんが甘すぎる。(2023年製作の映画)

2.8

千輝くんが棒すぎる。
いや、体型もそうだけど。
感情の分からない役柄なのだが、そうじゃない。
真綾の対抗馬の女子、そうじゃない。
真綾、ブスじゃない。
韓流に慣れすぎたのか…もの足りなすぎる。

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.4

作品自体はかなり雑だが低予算でなかなか頑張った。
ローグ・ワンの時は設定がほぼ決まっていて、その中での遊ばせ方は自由みたいな感じだったから粗さも飲み込めたけど、今作は途中まで、いや最初から最後までどう
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君だけが知らない(2021年製作の映画)

4.0

思いの外、良作。
ただ守りたいだけ、幸せになって欲しいだけだったのに。二人の結末はこんなにも切ない。

夫(兄)がその身を張って作り上げる「君だけが知らない」無償の愛の世界。
妻(妹)は現実と幻覚の間
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私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

3.4

モノクロ画面がとても苦しい。

オルガは恐らくただ自分を認めて、受け入れてくれる居場所が欲しかっただけなのだと思う。たったそれだけ…といえばそうだが、他人の気持ちを上手く汲み取ることの出来ない人間から
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Here(2023年製作の映画)

3.5

「わたしの色は緑」
ブリュッセルの高層ビルの工事現場を見上げる足元に広がる深い森。人間よりも遥か昔から変わらず有り続ける小さな世界には、特別なことや劇的な展開はない。

ここではないところで薄く根付く
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ヒューマン・ボイス(2020年製作の映画)

3.4

短くて面白い一人舞台。
マネキンのようなティルダも、そのファッションも、インテリアも、本も、DVDも、壁の絵画も、全てが出演者のような存在感があるものばかりカラフルに揃えられている。

そして―。
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わたしの幸せな結婚(2023年製作の映画)

3.6

アニメや小説の実写版はほぼ期待値0で見始めるが、これはこれであり。
目黒蓮は銀髪の長髪も軍服もよく似合っていたし、今田美桜の虐げられて薄幸な感じも違和感無く伝わり二人のケミもよかった。

あの薄刃の能
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古の王子と3つの花(2022年製作の映画)

3.5

あふれる色彩とアニメーションデザインに深く浸れる、王子と姫のオムニバスの世界。 
それぞれに花が入っていて妙。

リアルな動きや表情がほとんど無いのに何故か見入ってしまう。
3話目トルコのが気に入った
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⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

3.5

輝くサテンの波、美しいペトロールブルー、金糸を撚り合わせ模様を作り縫いつけていく果てしない手仕事。

誇り高きカフタン職人。
ミナは愛する夫をユーセフに託す。
遺された者はまだ人生が続くから。
ハリム
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イントロダクション(2020年製作の映画)

-

わからない。
全くわからない。

そして忘れていた。
他の作品も見てから途中止めしていたのを。
苦手なんだと思う、ホン・サンス。ご容赦。

二つの光(2017年製作の映画)

4.5

柔らかい光があふれる映像が本当に美しい。

パク・ヒョンシクの透明感とハン・ジミンのしなやかな演技は素晴らしく、いつまでも見ていたいと思わせる。
撮影期間は一週間ほどだったらしく、役柄への理解と集中力
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星をかった日(2006年製作の映画)

4.8

何年越しか。やっと見られた。

なんて瑞々しいのだろう。
とても静かで穏やかな時間の中に、若さや生命の力強さが溢れて燦いている。

「60年なんて、あっという間さ」
会えそうで会えない長い時間、遥か遠
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僕らの先にある道(2018年製作の映画)

3.8

若者のカップルが抱える社会的、経済的な問題は国は違えど同じようにつきまとう。

当たり前にあったものが本当に大切だと知るのに、それを失うまで気が付かないのは常。

結局、彼よりも彼女の方が好きの気持ち
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スワンソング(2021年製作の映画)

3.8

実在の人物がモデルの作品。

町外れの老人ホームで淀んだ暮らしを送っていた元ヘアードレッサーのパットが、過去を思い返し本来の自分らしさを取り戻す最後の一日。

古いブランドのタバコを吸い続けていること
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馬を放つ(2017年製作の映画)

3.4

馬と人。別々ではなくもう一体化しているケンタウロスと呼ばれる主人公。

かつての文明の十字路には今も人種、宗教、慣習が複雑に入り混じり、加えて現代の富や権力の差も影を落とす。
キルギスの小さな村で抱え
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コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版(1993年製作の映画)

3.6

何だろう、この感じ。
よく分からないが、ものすごく脱力して楽しめた。

戦争のすぐ側で普通の暮らしをする人々に淡々と日常を運ぶオンボロのロープウェイ。内戦の銃声響く市街地から丘の上までのんびりつないで
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

3.8

こんな状況で結論が出せるのか?
思わず身を乗り出すような、私もその輪に加わっている感覚になった。

文字を知らず、言葉を許されず、全てを赦しで丸め込まれる家畜同然の扱いの女性たち。
何と2010年の実
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パリタクシー(2022年製作の映画)

3.6

久しぶりのパリの風景は懐かしいのと変わりすぎているのと。

海外のタクシーのエンジン音は身体に響く重低音が多く、ドライバーは結構飛ばす。
凱旋門辺りなんて信号も矢印も無く、車列がぐるぐると大河を渡る波
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

「俺の世界はこうだったけど君たちのはどうかな?」ものすごい挑戦状だ。
宮崎駿の夢の中に迷い込んで一緒に冒険して、そして目が覚めて。
彼に敵う人はいないし、たぶんこの先も現れない。
それを再確信するそん
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.8

疲れた。
最近振り切れた役どころの多いケイト・ブランシェットは今回も大熱演。
リディア・ターが実在の人物に思えてくる。

張り詰めた日常、人生、耳。

人を威圧し肩で風切って歩くカリスマの姿よりも、ア
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スイミング・プール(2003年製作の映画)

3.5

一番最後で分からなくなったので何回か見返した。
どこまでが現実でどこからが小説か。
なかなか秀逸。

それにしても出てくる男が気持ち悪いのばっかり。わざと?

アネット(2021年製作の映画)

1.9

残念。
レオス・カラックスてこんなんだっけ。

カラミティ(2020年製作の映画)

3.5

実話を元にした作品。
この絵の感じ、どこかで見た。
色んな色が重なって限りなく広がっていく美しい風景は、マーサのこの先を示唆しているようだ。

西部開拓時代のアメリカでフランス語よき。
馬を走らせなが
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.7

フラッシュシーンと手ブレに酔いそうになりながら鑑賞。

ラストで父が持っていったビデオカメラを、20年後にソフィが見ている。
最後になった旅行で感じたよく分からない薄い不安や寂しさや不穏な雰囲気が今自
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