サトシさんの映画レビュー・感想・評価

サトシ

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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

子供時代の一時期、その危うい体験の、印象そのものを宮崎駿流のファンタジーとして表現した作品だった。導入と終わりが簡潔で良い。内容は考えるものではなく、初めての場所へ色々と連れて行ってもらった思い出に近>>続きを読む

マスター・アンド・コマンダー(2003年製作の映画)

3.5

個性的な映画だと思った。奇をてらったという意味ではなく、展開の変化や配役の活かし方、雰囲気が独特だということである。これは監督の個性なのだろうが、その頃に流行っていた海戦物を隠れ蓑にして思う存分自分の>>続きを読む

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

4.0

面白い。紙面のコミックに自分が入って行って物語を眺めているような不思議な感覚はこの作品でしか味わえない。多数の優秀な人間が脚本を徹底的に作りこみ、そこから映像でどう表現していけるかを分析的に構築したに>>続きを読む

インターステラー(2014年製作の映画)

4.0

宇宙の広さや、特に遠さを映像で表現するためには空一面をスクリーンにしても小さ過ぎるだろうし、まして劇場であればなおさらである。さらに多次元空間をどう描くのか。時間の感覚は伝えられるだろうか。SFをやる>>続きを読む

シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

3.5

序盤の脂汗の出るような展開から、後半はどんどん明るくなっていく。美しい前妻と頼れる仲間、かわいい息子がいて、お気楽な映画とも言えるが、息子と対等な関係を見せることで子供の視点を上手に導入していて、そこ>>続きを読む

いまを生きる(1989年製作の映画)

4.2

真面目に生きねばならぬ。この映画からはそれだけが聞こえてくる。自分を省みてみるがいい、いかにごまかして逃げてばかりの人生であるか、それを考えさせられる。真面目に生きねばならぬ、ならば、真面目に考えねば>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

4.0

画面から伝わってくる色や音や絵やしぐさなどが、ある一定の流れと統一感を持っていて、それが終わりまでずっと続いている。鑑賞中に目を背けることも身を乗り出すこともない、つまり、姿のいい人を見ているようで、>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

私とは、自分とは何か。それは温かさであり、人柄であると言いたい。では、それはどこにあるのか。人でなくてもいい、猫の、動物の、植物の、さらにはAIの、アンドロイドの温かさの所在はどこであるか。心であると>>続きを読む

劇場版 アーヤと魔女(2020年製作の映画)

3.5

フルCGのおかげで宮崎吾朗監督がようやくオリジナリティを出すことができた。ジブリのいわゆるジブリらしい絵というのはつまり、宮崎駿の脳内を表現するために演繹されたものだということがよく分かった。映画の内>>続きを読む

エイリアン(1979年製作の映画)

4.5

ディテールが濃密で、衝撃的なボリュームを生み出している。それが全編続いて情報量が落ちない。艦内の照明、警報音、コンピュータ端末のブラウン管とワイヤフレームと表示される文字ごとに鳴るタイプ音。宇宙服の大>>続きを読む

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

4.3

初代、Z、逆襲のシャアを見ていたので内容は分かったと思う。まず思ったのはクオリティの圧倒的な高さ。最近の劇場アニメはここまで凄くなったのか。バストアップでごまかすようなシーンはほとんどなく、全身の歩く>>続きを読む

ハンコック(2008年製作の映画)

2.8

ウィルスミスの映画はなんだか見たくなる。しかも、おちゃらけたキャラクターよりも、この映画のような陰のある役が魅力的だと思う。クセが強く偏屈で市民に好かれないヒーロー、ハンコック。そのイメージアップ戦略>>続きを読む

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016年製作の映画)

4.2

二度目の鑑賞だった。一度目はキャプテン・アメリカシリーズだけ追って見ていたので分からない所が多かったが、マーベル作品を大体見た上での今回は格別に面白かった。この作品はマーベル全てを追っている前提の作り>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

5.0

前3作はテレビで鑑賞した。エヴァを劇場で見るのは今回初めてだったが、それだけに終始圧倒されっぱなしだった。映像、キャラクター、演出、シナリオ、全てにおいて抜かりのない濃密な作りこみが、劇場内にまさに充>>続きを読む

ピンポン(2002年製作の映画)

4.3

脚本がよくできている。作り手の心情に合わせて主観と客観を分けずに表現している。配役もピッタリと合っていて、高校生らしさを潔く捨てているのがかえって良かった。漫画原作の実写映画化はこうあるべきだというお>>続きを読む

ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女(2005年製作の映画)

3.0

以前、漫然と見て漠然といまいちだと思っていたが、改めて見返してみて面白かった。吹き替えのお蔭かもしれない。内容に華がある。主人公たちの地味さもこれでよい。何といってもアスランである。CGとは思えない迫>>続きを読む

崖の上のポニョ(2008年製作の映画)

4.8

宮崎駿が、自分の他に何ものも頼りにすることなく苦しみながら作品を紡いだのがとてもよく感じられた。宗介とポニョは、不明瞭だが二人には信じられるある道筋をとにかく歩いた。歩くことでしか確認できない果敢ない>>続きを読む

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.0

コミカルな動きが多い。千尋が生き生きと描かれる。階段を駆け下りて壁にぶつかるのはやりすぎだがご飯を食べて泣いたり、天井に頭をぶつけたり、あるよねと思わず言いたくなる場面が多くて楽しい。湯屋の絢爛豪華な>>続きを読む

チャーリーとチョコレート工場(2005年製作の映画)

3.5

実写だがCGとメイク、セリフで非現実な印象を与える。そのためか、からくり人形が出迎えるシーンでは逆に現実に引き戻されて面白かった。工場長が子供に少しも媚びていないのが良かった。演技が大げさで拙いが敢え>>続きを読む

ラヂオの時間(1997年製作の映画)

3.0

見ていて単純に楽しい。演技は大げさだが気持ちを込めるシーンでは逆に抑え目なのがうまい。限定した空間で、厳選した役者を使い切っていて良い。それだけにゲスト出演の役者はいかにも余計で、単に知っていると目に>>続きを読む

カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)

2.0

想像していた内容とかなり違ったので驚いた。これは追憶の話ではない。新しいスタートを切る話だ。暗い過去を見るのではなく、明るい未来を見る話だ。それで、主人公の老人の何を描きたかったのか。少年の方が主人公>>続きを読む

クライマーズ・ハイ(2008年製作の映画)

3.5

音楽が少なく画面に緊迫感を持たせている。俳優が上手く、さりげない動きが良い。一の倉沢の映像は鮮やかで見ごたえがあった。場面をテンポよく変えてだれることがない。全体を纏める堤真一の貫禄が光る。

パディントン(2014年製作の映画)

4.0

CG技術がすごい。役者の演技も合っていて、クマがCGだということはすぐに忘れられた。展開は足早で、奇想天外な設備とか都合のいい流れとかはどうかなと思った。終盤になるにつれ何故か胸がいっぱいになった。

イノセンス(2004年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

均一なマトリクスとは想像の産物である。現実は個人に帰属する異質な印象に満ちているのだから、私たちのいるこちら側こそ本来マトリクスの向こう側と言うべきだが、この映画ではそこをあえて逆転させていて、自分た>>続きを読む

センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島(2012年製作の映画)

3.0

未知の世界を探検する映画は生きるか死ぬかの連続なのが常だが、これは始めから死にそうもないので安心して見ることができた。吹き替えの良さもあるだろうが役者の演技が自然で、程よいジョークも内容の明るさによく>>続きを読む