気取った女を大嫌いと言い放ち、駄々をこねて拗ねた顔をし、むしゃくしゃして草履を放り投げてプイと横を向いたかと思えば、おどけて歌い始める。自分自身の中に存在する感情の動線との相似を確かに認めてしまうけれ>>続きを読む
いつか子どもを儲けることがあったとして、その子の成長をこのように愛おしい画面のなかに収めておけるとしたらどんなにか素晴らしいことだろう!
どんな間柄の人間関係でも、子はかすがいなんだなあ。世界に新しく>>続きを読む
水中から見上げる揺らめく太陽、魚のシルエット。クバ笠、大きな動物の骨、民家のエイサーの練習。虹色の腹をした魚の口から流れる鮮血、夕日のなかの柔らかい果実。『モモ』のような亀。雨乞いの民謡が誘う少女のな>>続きを読む
現実とフォークロアのはざまを辿りながら、おじさんもおばさんも猿も森に入っていく。森の領分はあいまいで、時間軸は自由にゆらめいている。われわれは本来こういうあわいで暮らしていたんじゃないかと、わたしもた>>続きを読む
森の廃電車は二人きりの秘密基地で、そこはなんぴとにも侵されてはならない銀河鉄道のような少年のサンクチュアリなのだ。
シスジェンダーの大人やクラスメイトらの間で、怪物を自認していく過程がいたましい。
そ>>続きを読む
(あまりに静謐な時間の流れにとらえられ何度も眠りの淵に引きずり込まれかけてしまった…)
庭にしつらえられた天蓋の中にたたずむマルメロの木と画家の交感。同じ木でも今年のマルメロと来年のマルメロは何もかも>>続きを読む
幼かったころ、父親は強くて絶対に揺るがない大木でわたしにとってはほとんど世界全体よりも大きな愛だった。
少女が父の知らない一面に気づき、琴線に近づいていこうとする無邪気な恐ろしさ。秘事を暴くことには>>続きを読む