アサニシマサさんの映画レビュー・感想・評価

アサニシマサ

アサニシマサ

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リトル・オデッサ(1994年製作の映画)

4.0

NYロシア系移民街の張り詰めた空気と役者陣による素晴らしいアンサンブル。ムダなシーンなど一切無い98分

もうひとつのラブストーリー(1990年製作の映画)

3.7

私立探偵が田舎町の名士惨殺事件と謎の女に引き込まれていくノワール。煙に巻かれたようなラストも含め偏愛したくなる拾いもの

マイ・ファースト・ミスター(2001年製作の映画)

3.7

「ハロルドとモード」の翻案ともいえる拗らせ者讃歌。傷を抱えながら懸命に生きる登場人物たちが愛おしく、家族を見守るような気持ちに

ピアニスト(2001年製作の映画)

3.7

支配/被支配の関係に仮託することでしか愛を表現できない痛々しさ

緑色の部屋(1978年製作の映画)

3.8

トリュフォー&アルメンドロスによるロウソク3部作最終作。同年公開の「天国の日々」と並ぶ自然光撮影の到達点

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

3.7

現代的な設定の面白さ、爽快な後味。リンクレイターの職人技が光る

ジェヴォーダンの獣 ディレクターズ・カット(2001年製作の映画)

3.5

フランス産の闇鍋的娯楽作。ジャンルの交ざり具合が変でクセになりそう。珍味

アムステルダム(2022年製作の映画)

3.4

妙に豪華なオールスター映画で盛り上がるものの、後半の重要な場面を悉くモノローグで処理しておりイマイチ

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

兵器製造に携わった者の生涯を通して、人が持つ無秩序で矛盾に満ちた業を浮かび上がらせるところは宮崎駿の「風立ちぬ」とそっくりで、WW2を日米双方の視点から描いた「父親たちの星条旗」~「硫黄島」の関係にも>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.2

作品全体を覆うマイクロアグレッションひとつひとつの解像度の高さたるや…。辛辣なユーモアを武器に、黒人差別の実情を軽やかに描いてみせた手腕に脱帽。当事者にしか語ることのできない物語の強さを改めて思い知ら>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

「2001年」のモノリス猿よろしく女児が赤ん坊の人形を叩き壊す最高のオープニングから、バービーランドと現実世界が鏡像の関係にあり、性役割こそが問題の核心だと気付くまで。「TAR」と並んでジェンダー理解>>続きを読む

山の焚火(1985年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

聴覚障害を持つ息子と家族の生活を通して、自然と近代との相克を描いた寓話。一家は閉ざされた山奥で次第に文明との接点を失い、エロスとタナトスに呑み込まれていく。語りの余白が豊潤さを生んでいる典型

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

神への愛と性愛の両立、偶像崇拝への反感とレズビアニズム賛歌をマリア像ひとつで表してしまう離れ業。ヴァーホーヴェン御大、枯れるどころかますます自由奔放になっていて驚いた

かもめ(2018年製作の映画)

3.8

古典のお手本のような映像化。主役の女性3人が達者なのでチェーホフの箱庭世界に没入できる

小説家を見つけたら(2000年製作の映画)

3.6

「死の三部作」における撮影が生々しく鮮烈だったハリス・サヴィデスとガス・ヴァン・サントのコンビによる1作目。バスタ・ライムスなど意表を突くキャスティングでブラックカルチャーにもアプローチしている
「窓
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オルランド(1992年製作の映画)

3.8

メイキングによると、原作の「時空を超えて生き続ける主人公」という型破りな設定に対し製作費が400万ドルほどと少なく、撮影は苦労の連続だったようだ。それでも豪奢な衣装やロケーション、ティルダ・スウィント>>続きを読む

ショーイング・アップ(2022年製作の映画)

4.0

ハリウッドシステムを拒絶したアルトマン「ロング・グッドバイ」へのオマージュをはじめ、インディペンデントな物作りに対する敬意と信頼の表明。動物をカメラに収める技術に毎度驚かされるが、鳩のシーンは映画の神>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.7

ケリー・ライカートの映画を見ていると90年代全盛だったMatadorやK、MergeといったUSインディーレーベルの作品を思い出す。オルタナティブな音楽性はもちろん、ジャケットデザインからブックレット>>続きを読む

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

3.7

アクションと音の映画。冒頭から30分続く調理シーンは垂涎もの