pherimさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

しあわせのパン(2011年製作の映画)

3.4

北海道の洞爺湖ほとりでパン屋カフェを営む夫婦の日々。🍞

原田知世と大泉洋の浮遊感に、矢野顕子&忌野清志郎の歌が乗るやきたて雲状パン感覚なごむ。🥖

2012年1月公開の三島有紀子監督&脚本作で、明示
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幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)

3.8

『幼な子われらに生まれ』

すれ違う家族の心が軋みをあげる中、お腹の子は育ちゆく。義妹の誕生を畏れる長女、元夫を恐れる妻。

浅野忠信と田中麗奈の緊張孕む夫婦演技を、元妻/寺島しのぶ、元夫/宮藤官九郎
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ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)

4.0

合板製の恐竜骨格キットやゾイドシリーズに心ときめかせた幼児体験をもつ身としては、記憶の古層に棲まう彼らがヌメヌメ走り飛び吼える姿にもう感涙。娯楽映画の粋を堪能させてくれた感。バンコクトヨタIMAX3D>>続きを読む

怪物はささやく(2016年製作の映画)

3.7

追い詰められた少年が、巨樹の怪物を友として試練に立ち向かう。パトリック・ネスの英国児童文学名作を原作とする、感情表現の繊細さと瑞々しさで魅せるダークファンタジー。現実と幻想は世界の表裏で、両者のせめぎ>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

4.3

アンデス山中の墜落事故に伴うサバイバル実録物。🏔️Netflix

人肉食への強いタブー反応からの、「氷で包むと食べやすい」とか摂食描写の淡白さが生々しい。鑑賞後、スマトラ沖地震津波描くナオミ・ワッツ
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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.9

女戦士ミシェル・ロドリゲス&悪徳貴族ヒュー・グラントって座組の鉄板感パない。🐉

剣と魔法の映画は(ゲームやる方が楽しいから)敬遠しがちだけど、迷宮&🐲まんまのギミック再現とか、クエストいじりネタとか
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弟は僕のヒーロー(2019年製作の映画)

3.6

ダウン症の弟を“特殊能力者”と思い込んで育った少年が、思春期に入り弟の存在を恥じ隠し始める。

大人のようには割り切れない心の揺れを、繊細に表現する脚本&演出に見入る。弟の兄に対する愛を《ナチの鉤十字
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レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)(2022年製作の映画)

4.1

元アクション映画監督の72歳お婆が、脚本賞応募を思い立つもTVに頭をぶつけhypnagogia=半覚醒となって始まる奇想天外。

アピチャッポン初期作『アイアン・プッシーの大冒険』『真昼の不思議な物体
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ビヨンド・ユートピア 脱北(2023年製作の映画)

3.9

“脱北者”を扱うドキュメンタリーは数多い中、北朝鮮から中国→ベトナム→ラオス→タイ→韓国へ至る逃亡ルートへ密着する点で本作は際立つ。

メコンを渡河した瞬間にお婆ちゃんがみせる安堵の表情、韓国の発展を
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ガザ・サーフ・クラブ(2016年製作の映画)

4.4

未来のみえない毎日、サーフィンだけが魂を自由にする。🏄‍♀️

汚染されゆくガザの海。青年はハワイ修行を夢みるもビザが下りない。少女は周りの目を恐れ、海へ出るのをやめていく。若者にサーフィンを教え続け
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ニューヨーク・オールド・アパートメント(2020年製作の映画)

3.5

不法滞在で暮らす双子のペルー人兄弟が、英語学校で知り合うクロアチア人女性に恋して直面するリアル。🏙️

低賃金で働く母やヒロイン女性の身辺描写に移民社会の厳しさが象徴され、無視される“透明人間”と自嘲
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ヴィクラムとヴェーダ ヒンディー語版(2022年製作の映画)

3.6

泥棒と警察による善悪迷宮物語。🔪

インド説話集/屍鬼二十五話に基づく同題タミル語映画の役者を換えたリメイクで、アーナンド先生(↓)を演じたリティク・ローシャンのヴェーダ役が、不敵に笑う阿部寛インド版
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シャクラ(2023年製作の映画)

3.7

拳と剣、そして愛。

ドニー・イェンが、仲間からも少林寺からも敵視された四面楚歌のもと、陰謀を嗅ぎつけ闘い抜く。

金庸小説をノワール基調でアクション映画化。漢族でなく契丹人の出自ゆえ疎外される物語が
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BLOODY ESCAPE -地獄の逃走劇-(2024年製作の映画)

3.0

改造人間vs吸血鬼デスバトル。ゲーテッド化した新宿クラスタなど、東京メインの終末世界描写が良い。🚄

谷口悟朗監督代表作のコードギアス群では長尺台詞もネタ的な持ち味だったけど、本作で3分に1度は動きの
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彼方のうた(2023年製作の映画)

4.3

穏やかな出逢い、偶然のすれ違い。
漂う不思議な空気と、不穏の気配。

映画でこその密やかな描写を磨く杉田協士監督作。小川あんのジト見に『天国はまだ遠い』が想起されると、濱口竜介『偶然と想像』の音が流れ
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レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

4.7

ガンギマリ傑作なの知ってて再鑑賞、どちゃ糞カッコ良くて驚いた。

狡くて最高スティーヴ・ブシェミ🔺、近年の深化甚だしいティム・ロス🍊精悍、そして盤石ハーヴェイ・カイテル🥛etc. すでに限界突き破って
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レザボア・ドッグス デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.8

ガンギマリ傑作なの知ってて再鑑賞、どちゃ糞カッコ良くて驚いた。

狡くて最高スティーヴ・ブシェミ🔺、近年の深化甚だしいティム・ロス🍊精悍、そして盤石ハーヴェイ・カイテル🥛etc. すでに限界突き破って
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ただ空高く舞え(2020年製作の映画)

3.7

掃除婦やリキシャ運転手を飛行機に乗せたい。
インド初の格安航空会社を立ち上げた元空軍男の一代記。🛫

航空大手や政治家や官僚がスクラム組んで潰しにかかる理由が、《飛行機は富裕層のもの》という固定概念な
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ある天文学者の恋文(2016年製作の映画)

3.4

ジュゼッペ・トルナトーレ監督エンニオ・モリコーネ音楽で、死んだはずの恋人から届く声に導かれてヒロインが各地を旅する贅沢な観光映画。開幕ミステリーでかましつつ風光明媚&オルガ・キュリレンコ眼福安定。>>続きを読む

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.1

凄まじい出演陣。エンニオ・モリコーネをトルナトーレが撮ることでのみ為しえた、戦後映画史を体現する70名超の顔ぶれに圧倒される。

映画音楽の道を迷い恥じたという驚き。ハンス・ジマーらが解析する旋律の革
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.5

単純に楽しかった。この「単純に」を引き出すべく張り巡らされた手管へ意識を向かわせないことが、ある種の人にとってはたぶん肝要。次のシーンで何が起こるかわからない、そのワクテカだけでエンドロールまで行ける>>続きを読む

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

4.3

タランティーノによる楽しすぎるウェスタン密室劇。

オタク的に娯楽映画を極めるとこうなるっていう理想形で、いつもの面子のいつも通りを速度超過で突き破る。🐎

嗜虐諧謔詭弁緊縛抱腹激おこ全部盛り。🏔️
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無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語(2024年製作の映画)

2.8

2006年、おもちゃ屋を営む代表サムソン宮本のもと旗揚げされたプロレス団体・新根室プロレスの来し方。💪

人気者アンドレザ・ジャイアントパンダの登場&地元愛に和む。難病による宮本の引退と死、そして再生
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バグダッド・カフェ(1987年製作の映画)

4.8

見惚れる。

4半世紀ぶりに観た。とてもいい時間。筋立てや派手さやどんでん返しより大事なものを表現する力が、映画にはあるということ。

初めて観たのは渋谷南口時代のユーロスペースで、十代だった。ふいに
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バグダッド・カフェ 完全版(1987年製作の映画)

4.9

見惚れる。

4半世紀ぶりに観た。とてもいい時間。筋立てや派手さやどんでん返しより大事なものを表現する力が、映画にはあるということ。

初めて観たのは渋谷南口時代のユーロスペースで、十代だった。ふいに
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バグダッド・カフェ<ニュー・ディレクターズ・カット版>(1987年製作の映画)

5.0

見惚れる。

4半世紀ぶりに観た。とてもいい時間。筋立てや派手さやどんでん返しより大事なものを表現する力が、映画にはあるということ。

初めて観たのは渋谷南口時代のユーロスペースで、十代だった。ふいに
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コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

4.0

天変地異にてソウル壊滅、1棟だけ残ったマンション住民が生存を賭け協力して外部を排斥、英雄を創りだす。

君臨し狂気の王となりゆくイ・ビョンホン、白頭山大噴火/非常宣言など災害物で醸してきた孤高の系譜の
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ゴッズ・クリーチャー(2022年製作の映画)

3.8

アイルランドの漁村で、義父の介護をしながら牡蠣工場で働く主人公の元へ、家出息子が帰還する。

エミリー・ワトソンが僻村の閉塞感や母の欲望入り混じる複雑な役柄を熱演。小さな嘘が雪ダルマ式に膨れる村八分ス
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アース・ママ(2023年製作の映画)

3.7

養護施設にいる実子と暮らすため更生教育中の主人公が、お腹の子を里子に出すか悩む。👶🏼

基調はMoonlight以降のA24味ながら、母として目醒めゆく点や映像の距離感、サンフランシスコの町景などカサ
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マイ・ハート・パピー(2023年製作の映画)

3.3

求婚相手が犬アレルギーとわかり、愛犬の里親探しを始める青年とその従兄。🐕

ユ・ヨンソクxチャ・テヒョンのコンビがハマるハートフル・コメディを、『ディヴァイン・フューリー/使者』他の監督が撮る意外性。
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天命の城(2017年製作の映画)

4.2

厳寒、孤立、飢餓。1636年、清の大軍に囲まれた南漢山城内で、李氏朝鮮の帰趨を賭け重臣二人が対立する。竜虎の激突かの如き論戦の気魄にひたすら痺れる。厳しく抑制を利かせた坂本龍一音楽が、籠城を巡る密使、>>続きを読む

ザ・ヒューマンズ(2021年製作の映画)

4.3

A24製作。

感謝祭の夜、和やかな一家団欒の端々に不穏さがむくりと顔を覗かせゆく。NYの古住宅建築が影の主役で、舞台劇を観たような充実感。

スティーヴン・ユァンxビーニー・フェルドスタインの夫婦演
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スライス(2018年製作の映画)

3.2

田舎町でピザ配達員が殺されて始まるホラー・コメディ。👻

BGM&キャストでストレンジャー・シングス味も出しつつ、基本はトロマ・エンタメ&ブラックスプロイテーションへのオマージュという、A24配給でB
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エターナル・ドーター(2022年製作の映画)

3.7

霧深く隔絶したホテルで過ごす母娘の黄昏。

ティルダ・スウィントン1人2役で、神経質な娘と超然とした母の演じ分けはお見事。音への敏感さに『Memoria メモリア』も想起させる。A24xBBCxスコセ
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ちっちゃいサムライ 三浦正雄の子供時代(2023年製作の映画)

3.0

樺太で虜囚となりカザフスタンへ移送された少年の道行き。

「サムライ!」と少年を呼ぶ好々爺演じるキルギスの名優アクタン・アリム・クバト(馬を放つ/父は憶えている)、奔放に演技を楽しんでいる様が大変好ま
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NOCEBO/ノセボ(2022年製作の映画)

3.4

脚光を浴びるファッションデザイナーが、巨大ダニに寄生された病犬に襲われる幻から始まるスリラー。

妖しげな民間療法により主人公を癒やすフィリピン人家政婦の下地に、現代資本主義の搾取構造を敷く仕立ての妙
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