otomさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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モーリス(1987年製作の映画)

4.6

25年振りくらい。草の上で戯れる絶頂に流れる『悲愴』が悲愴。英国上流階級のあれやこれを描かせたら敵なしな感じのジェームズ・アイヴォリーで安心して観ていられる。理解される事の難しい時代にあって袂を分つ対>>続きを読む

11人のカウボーイ(1971年製作の映画)

4.8

ほのぼのボーイスカウト体験記と思いきや、予想を遥かに超えたハードっぷり。ドッシリと構えて決して誇りを失わないジョン・ウェインから次世代へ大事なモンの継承をきっちりしっかり描く。頼りないカウボーイズから>>続きを読む

デリカテッセン(1991年製作の映画)

5.0

四半世紀ぶりくらい。長編デビューにしてほぼ完成形のジュネ+キャロで、90年代の青春の匂いが蘇る様。映像は勿論の事、音符からノイズまでの音使いが細かいとこまで徹底されていて飽きるシーンがないから見事。肉>>続きを読む

武蔵野夫人(1951年製作の映画)

4.5

戦後の時点で既に失われまくってる武蔵野の風景に道徳観念。今じゃ家だらけでモラルも底な具合な我が国。オトすの無理な感じな貞操の塊みたいな田中絹代が死を持って前に進めと手向けの言葉を送るも、誇りまで失っち>>続きを読む

チェンジリング(1979年製作の映画)

4.4

激しいタイプのポルターガイストな具合で駄々っ子の如き全自動ハウスっぷり。妻娘を亡くした主人公が上手い事使われてるも、大体怨念自身で解決出来るんじゃないかとも思われる勢い。OPに随所のカットバックに後の>>続きを読む

花咲く港(1943年製作の映画)

4.8

木下恵介デビュー作って事で、戦時下の半ば無理矢理な国策映画っぷりが激しいものの、実に良く出来たコメディ作品。小沢栄太郎といつでもイケメンな上原謙のペテン師2人組に常に神風が吹きまくってるのもイケイケな>>続きを読む

アメリカン・ストーリーズ/食事・家族・哲学(1988年製作の映画)

5.0

アメリカへ再びって事で、『家からの手紙』のラストから逆転する様なオープニングからして良い。故郷なきポーランド系ユダヤ移民のアメリカでの結構壮絶な生活体験のあれやこれでありつつ、ウディ・アレンばりの自虐>>続きを読む

ゴールデン・エイティーズ(1986年製作の映画)

5.0

トリュフォー+ジャク・ドゥミが始まりそうなカラフルな足OPからして最高。景気は悪くとも馬鹿みたいに突き抜けて明るい黄金の80年代って事で、どこか仄暗い70年代のシャンタル・アケルマン作品とは敢えて別物>>続きを読む

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

5.0

写し出されるNYって云う刺激の塊と、必要とあらば雑音でかき消すも止む無しなちょっと煩わしい母ちゃんの便りの内容と故郷のニュースで、画面には決して映らない娘アケルマンの滞在の記録と気持ちが浮かび上がる立>>続きを読む

一晩中(1982年製作の映画)

5.0

眠る事のない夜から夜明けの(ヴァカンスに行かない人々の?)活動のあれやこれ。暑さや涼しさや匂いまでが伝わってくる様。きっちり起承転結のある個々の短いシーケンスの連続でありつつ、それぞれのキャラのストー>>続きを読む

街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

5.0

創造と破壊、生存活動と死への活動、静寂の中の陽気さでより寒々しくなる。'70年代を前にして既にアナーキーさ全開なシャンタル・アケルマン18歳(カワよ)で色んなもんが凝縮されとる。ニャンコを事前に避難さ>>続きを読む

アンナの出会い(1978年製作の映画)

5.0

シンメトリー尽くしながらも、アンナの心理に合わせてポジションが変わって行くのが秀逸過ぎる。ジャンヌ・ディエルマンでもあったけどホント上手い。世間様のこうあるべきだを押し付けてけてくる様々なキャラとの噛>>続きを読む

暗黒街の美女(1958年製作の映画)

4.6

清順名義の最初のやつって事で、初期作品ながらそれっぽさが満載。ハートのやつ居たっけって感じなんだけど、スペードやクローバー等がダイヤを巡るって構成からして洒落てる。〜と見せかけての人を喰ったカメラワー>>続きを読む

セブン・デイズ・イン・ハバナ(2012年製作の映画)

4.7

寒いので陽気なやつを求めて。インフラほか国的には結構酷い感じなんだけども、幸福度はソコじゃないと云った具合。全編上手い事まとまりつつ、リンクが良い塩梅。クストリッツァ出す反則技(良い意味で、水辺のトラ>>続きを読む

西鶴一代女(1952年製作の映画)

5.0

御所勤めから旗本、化け猫様を経て托鉢ENDで諸行無常が過ぎる。一つずつ身を落とす方向を前提に上がったり下がったりしつつ、結局どん底へって事で体張ってる流石の田中絹代。走馬灯如く、五百羅漢を前に過去の男>>続きを読む

イディオッツ(1998年製作の映画)

5.0

久々〜(^q^)。社会的弱者に優しい風世界が加速してる昨今を遡ること四半世紀前にこれをやるラース・フォン・トリアーで改めて尖ってるなと。ドグマ95の理念の元に生々しく描写された不謹慎&悪ふざけの数々の>>続きを読む

アレックス STRAIGHT CUT(2020年製作の映画)

5.0

時は全てを破壊すると謳いつつ、時間軸に直しても攻めまくってる印象が全く変わらんギャスパー・ノエ。シーンごとの完成度が高いからこそってな具合で、圧巻壮絶なモニカ・ベルッチの地下道一連とガクブル演技やミン>>続きを読む

銀座カンカン娘(1949年製作の映画)

4.8

名曲堪能。若々しいデコちゃんが可愛いのは勿論の事、笠置シヅ子に古今亭志ん生、浦辺粂子からワンコまで脇もきっちり見せ場がある。世田谷辺りの野っ原に住むややこしい構成の一家が戦後のソレを思わせるけれども、>>続きを読む

みかへりの塔(1941年製作の映画)

4.4

子供の頃に悪さをすると「戸⚪︎ヨットスクールに入れちゃうよ」と脅され、子供心に何やら怖さがあった記憶がある。今作の感化院は流石に今の時代にそぐわないにせよ、自身の子供時代も含めて段々と教育(モラル的な>>続きを読む

バウンス ko GALS(1997年製作の映画)

4.4

記憶にある形態の渋谷と時代過ぎて、色んな意味でキツい。当時にして大人も子供も既に壊れてるニッポンで、そこから四半世紀後の現在でコイツらが大人になってる世界(同世代)で崩壊待ったなしなのも納得できる。あ>>続きを読む

眺めのいい部屋(1985年製作の映画)

4.8

久々。OPの『私のお父さん』からして良い。20世紀初頭の若い世代は如何にして生きて行くべきかって事で、自分の気持ちに正直であれば見えてくる景色も自ずと変わってくると。絶頂期のヘレナ・ボナム=カーターに>>続きを読む

戸田家の兄妹(1941年製作の映画)

5.0

上流階級の部分的没落って云う上手いとこを突いてくる筋。ベースになる米映画の元ネタがあるらしいけど、流石に小津色に染まってる。居候になると立場が逆転するやつで、憂さを晴らせない方のモヤモヤ感の積み上げが>>続きを読む

扉の影に誰かいる(1970年製作の映画)

4.7

お手のものって感じのアンソニー・パーキンスのサイコ演技に記憶が欠落してオロオロしているチャールズ・ブロンソンとで役者同士のぶつかり合いの熱量がスゴイ。新世界よりの『家路』を流しながら家の中で展開する訳>>続きを読む

パトニー・スウォープ(1969年製作の映画)

4.9

シニアの方のロバート・ダウニー監督作って事で、内容も中の人間も真っ黒に攻めてる。クールなタイトルバックから始まり、無害無味無臭な現代とは真逆な具合でピリリとしたアイロニー尽くし。やっぱり必要悪というか>>続きを読む

サンストローク ロマノフ王朝の滅亡/サンストローク 十月革命の記憶(2014年製作の映画)

4.7

赤い勢力との負け戦後で、失われた白ロシア。ありし日と交互で現代まで続く、なんでこうなった感をやる。華開いた19世紀のロシア文学に音楽にと大国ロシアと民族の行く末は明るく、ドスト氏の言葉を借りると『宿命>>続きを読む

イン・ザ・スープ(1992年製作の映画)

5.0

ドストエフスキーにニーチェ、ルノアールやゴダール、更にはタルコフスキーが好きなのは良いとして、映画制作に本当に必要なのはソコじゃないって云う説得力。映画を一本作れそうな体験をしたアレクサンダー・ロック>>続きを読む

潮騒(1972年製作の映画)

5.0

岡本喜八もびっくりな切りまくり鬼編集と、全てが予測不能な事故や災難の様でありつつも、原題然り劇中でも引用された『客観的偶然』って事で最初から最後まで綺麗に一本の線で繋がっている。所構わず爆音で『ロメオ>>続きを読む

渚の果てにこの愛を(1969年製作の映画)

4.8

何考えてるか良く分かんない表情のミムジー・ファーマー(脱ぎまくる)の配役がまずハマっている。『モア』の翌年の出演作って事で、ピンク・フロイド崩れみたいなサイケな劇伴と白っぽい太陽の感じとで雰囲気は結構>>続きを読む

まあだだよ(1993年製作の映画)

5.0

黒澤明遺作。25年くらい前に観た時は普通に良い映画程度ってほどだったけれども、年齢を経て改めてみると今はもう沁みてしょーがない。特にノラのとこで涙腺がブッ壊れる。金無垢先生こと内田百閒とその門下生の交>>続きを読む

ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

5.0

寝室兼仕事場な一室(お洒落)だけで繰り広げられるいびつ過ぎな愛憎劇。主人公ペトラ曰く『人間は他人を必要とするけども、共生の仕方を知らない』とこれで話を的確に説明しつつ、特大ブーメランが刺さりまくる具合>>続きを読む

おませなツインキー(1969年製作の映画)

4.5

オッサンの妄想と願望と挫折も16歳の少女のソレと大差ないって具合。リヴァプールサウンドっぽいのをバックに、チャリで行くパブリック・スクール制服のミニスカJK達のOPやらトリッキーなカット割りなんかの演>>続きを読む

スピリッツ・オブ・ジ・エア(1988年製作の映画)

5.0

荒野に赤い錆だらけのあれこれにパキッとした空、それに加えて謎オブジェの数々との決まり過ぎな構図とでまぁ美しい。土地に釘付けにされるタイプの人間と、通過し超えてくタイプの人間との束の間のシンパシー。俺達>>続きを読む

あしたのジョー(1970年製作の映画)

4.2

これはこれでって感じ。石橋正次と辰巳柳太郎の丹下サイドは音声だけならかなりイイ線行ってる。衣装なんかと併せて原作とリアルタイム進行形なアニメにきっちり寄せてる感じで好感が持てる。ものの、モブっぽい力石>>続きを読む

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

5.0

15年くらい前にエルメスシアターで観て以来。そう云うものだ(定理)、もしくはそうあるべきだって事でブルジョワジーには破滅をプロレタリアには奇跡をな図式。モーツァルトのレクイエムと共に描かれるアイデンテ>>続きを読む

白い巨塔(1966年製作の映画)

4.8

今月は『キングダム』を一気に観たせいか、なんとなくチョイスの大学病院ものって事で20年振りくらい。悪い奴ほどなんとやら、額に悪って書いてありそうな目元の黒い田宮二郎でいつもの眩し過ぎな笑顔はなくとも良>>続きを読む

ブルーベルベット(1986年製作の映画)

5.0

やたらとカメラ目線なバダラメンティ(ピアノ)+イザベラ・ロッセリーニのブルー・ベルベットのとこと、イン・ドリームスでく〜ッとなってるデニス・ホッパーが観たくて。なんだかんだで20年振りくらい。金髪と黒>>続きを読む